マンション管理組合において、「居住者(区分所有者等)の高齢化」「空家の増加」などの理由により、役員(理事・監事など)のなり手不足でお悩みの管理組合が増加しています。先日あるマンション管理組合の理事長さまより、「役員のなり手がいないので、理事長を置かずに(役員を選任せず)に管理組合を運営したいと考えているが法律的に問題はないか」との相談を受けました。
理事長や理事がいなくても問題ないか?
このマンションは高齢者が多いため、相談をいただいた方が長年理事長を務められていましたが、ご自身も健康上の理由でこれ以上継続して理事長を務めることが難しい状況となったので今後の管理組合役員と管理組合の運営についてどうすべきかを悩んでいるのことでした。
上記の相談について、まずは法令面(区分所有法等)から考えてみますと、管理組合の役員選任については、法人化していない管理組合に関しては、管理者を選任することができる旨の規定はありますが、一般的に言う理事長や副理事長などの役員を必ず選任しなければない旨の規定はありません。つまり、管理組合に役員や理事長がいなくても法令面では特に問題はありません。
マンション毎に定められたルール(管理規約等)により、管理組合役員の選任について規定し、それに基づいて運用しているのが一般的です。
しかし、法令上は問題がないにしても、実際に管理組合の運営面で考えてみますと、管理組合においての役員(特に理事長)や理事会の役割は非常に重要であるため、理事長や理事会の機能や役割を担う人がいなくなると、管理組合の円滑な運営に大きな影響を及ぼすことになるため、その機能は必要だと思います。
では、役員のなり手不足に直面している管理組合が採れる対応については、どのうようなものがあるのでしょうか?
このような問題に直面した管理組合が採用する対策例としては、一般的には次の3つがあります。
役員のなり手不足の3つの対応策
① 理事長の資格要件の緩和
② 役員人数の見直し
③ 理事長の外部委託・管理者方式の採用
①②については、運営方法等の一部変更による対応ですが、③については理事長・理事会業務そのものを外部へ委託する内容となるため、少し①②とは意味合いが違っています。役員のなり手不足にお悩みの管理組合においては、解決の一案として是非検討いただければと思います。
なお、次回のブログには上記対応策の具体的な内容とメリット・デメリット等についてご紹介したいと思います。
田中一直
香川県出身。あなぶきグループに平成6年に入社。主に新築マンションの販売、中古マンション・戸建などの仲介業務を経て、その後、マンション管理業務に約20年従事しています。マンション管理組合の運営補助だけでなく、お客さまのマンション生活が安心で快適であるため、常にプラスアルファの提案活動を心がけています。
資格:マンション管理士・マンション維持修繕技術者
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