マンションの外壁塗装は、単に見た目を整えるためのものではありません。建物の寿命や資産価値にも大きく関わります。
しかし「どのタイミングで行うべきか」「どれくらいの費用がかかるのか」といった悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。外壁塗装には適切な時期や計画があり、それを誤ると無駄な出費や住人からのクレームにつながる可能性があります。
本記事では、外壁塗装の適切な実施時期から費用相場、工事期間、さらに実施時の注意点まで詳しく解説します。
マンションの外壁塗装を行うタイミングは?
マンションの外壁塗装は、美観の維持と資産価値の保全に欠かせないメンテナンスです。一般的には、外壁に劣化の兆候が見られる、または塗料の耐用年数を過ぎたタイミングでの実施が適切です。ここでは、定期的な点検で確認しておきたい、具体的な劣化サインを解説します。
ひび割れしている
外壁にひび割れ(クラック)が見られる場合は、外壁塗装を検討すべき重要なサインです。ひび割れは、気温の変化による建物の膨張・収縮や経年劣化、衝撃などが原因で発生します。
一方、幅0.3mm、深さ4mm以上のひび割れや、ひびが網目状に広がっている場合は、構造上の深刻な問題が疑われます。この場合、早急な補修が必要です。
こうした深いひび割れには、塗材だけでは対処できず、シーリング材の注入や樹脂モルタルによる補修など、専門的な処置が求められます。
塗膜が剝がれている
外壁の塗膜が剥がれている場合は、塗装の劣化が進行している状態です。塗膜には、外壁を紫外線や雨風から保護する役割があります。塗膜が剥がれると、下地が露出し、建物自体が直接ダメージを受けます。
主な原因は、塗料の耐用年数を超えたことによる塗膜の吸水です。ただし、前回の塗装時に乾燥時間や下地処理が不十分だった場合、施工不良によって早期に剥がれが発生することもあります。
塗膜の剥がれを放置すると、建物の耐久性が低下しやすくなるため、早めの塗り替えが必要です。
チョーキングしている
チョーキングとは、マンションの外壁に触れると白い粉が手につく現象を指します。塗料に含まれる顔料が紫外線や雨風によって劣化し、粉状になって表面に現れることで発生します。チョーキングは、塗膜の防水性や保護機能が低下しているサインです。
チョーキングしている状態を放置すると、外壁が水分を吸収しやすくなり、カビや藻の発生、さらに塗膜の剥がれを引き起こすおそれがあります。チョーキングが見られた場合は、外壁塗装を検討すべき時期と考えられます。
タイルが浮いている
マンションの外壁にタイルが使われている場合、タイルが浮いていたり剥がれかけていたりしている状態は、美観の低下だけでなく、安全面でも大きなリスクとなります。
タイル自体は無機質であるため、比較的劣化しにくいですが、下地の影響で浮きや剥がれが発生することがあります。タイルを固定している下地のモルタルは、気温や湿度の変化によって膨張と収縮を繰り返し、次第にタイルへ影響を及ぼします。
浮いたタイルは非常に不安定なため、ちょっとした揺れでも落下し、事故の原因となりかねません。また、剥がれた箇所から雨水が侵入すると、建物の構造部を劣化させる原因にもなります。
タイルの浮きや剥がれは、見た目の問題にとどまらず、安全性や建物の寿命に関わる重要なサインです。専門業者による点検と早急な補修が必要です。
マンションの外壁塗装の期間と費用相場
外壁塗装の期間と費用は、マンションの規模や劣化状態、使用する塗料の種類によって、大きく異なります。ここでは、一般的な外壁塗装の工程と費用相場について解説します。
外壁塗装の工程と期間
マンションの外壁塗装は、単に塗料を塗る作業ではありません。下地の補修や洗浄など、複数の工程を経て行われます。主な流れは以下のとおりです。
- 足場の設置:高所作業を安全に行うため、建物全体に足場を組みます。
- 養生・下地処理:塗装しない箇所を保護し、高圧洗浄で外壁の汚れや古い塗膜を除去します。頑固な汚れには電動工具を使用することもあります。
- 下塗り:下地と上塗り塗料の密着を高めるための塗料を塗布します。
- 中塗り・上塗り:塗料を塗り重ね、耐久性と仕上がりを高めます。
- 検査・手直し:塗装の仕上がりを確認し、不備があれば修正します。
- 足場解体・清掃:工事完了後、足場を撤去し、敷地内を清掃します。
小規模マンションであれば、工期1〜3か月程度です。規模が大きくなるにつれて期間は長くなる傾向にあります。具体的には、50戸以上の中規模マンションでは3〜5か月以上、100戸以上の大規模マンションでは半年以上かかることもあります 。
外壁塗装の単価相場
マンションの外壁塗装費用は、建物の階数や使用する塗料、工事の内容によって大きく異なります。主な階数別の費用相場は以下のとおりです。
- 3階建て:130万~410万円程度
- 4階建て:340万~550万円程度
- 5階建て:450万円~670万円程度
- 6階建て:540万円~820万円程度
- 7階建て:630万円~950万円程度
使用する塗料によっても1㎡あたりの単価は異なります。
- シリコン塗料:2,300~3,500円/㎡
- フッ素塗料:3,500~4,800円/㎡
- ラジカル塗料:2,200~4,000円/㎡
- セラミック塗料:2,300~4,500円/㎡
- 光媒体塗料:3,800~5,500円/㎡
- 無機塗料:3,500~5,500円/㎡
このほか、足場の設置費や下地補修費、養生費、その他経費なども発生します。正確な費用を把握するためには、詳細な見積もりを業者に依頼しましょう。
あなぶきハウジングサービスでは、マンションの修理や大規模修繕といったメンテナンスに関する内容をご相談いただけます。
マンションの外壁塗装を行う際の注意点
マンションの外壁塗装は、美観の維持や資産価値の向上に欠かせない工事です。しかし、工事期間中はマンション住民や近隣の方への配慮が不可欠です。トラブルを避け、円滑に工事を進めるために、とくに注意すべきポイントを解説します。
住民だけでなく、近隣住民にも告知する
外壁塗装中は足場の設置や解体時の騒音、塗料の臭い、作業員の出入りなどで、マンションの住民だけでなく周囲の住宅にも影響を及ぼす可能性があります。クレームやトラブルの発生を防ぐには、事前の丁寧な告知が重要です。
工事開始の少なくとも1ヵ月前には、工事期間や作業内容、騒音・においが発生する時間帯、作業員の出入り、緊急連絡先などを記載した案内を、マンション全戸と近隣住宅に配布しましょう。
洗濯物が干せない可能性がある
外壁塗装の工事中は、塗料の飛散を防ぐためにベランダ周辺を養生します。そのため、期間中はベランダで洗濯物を干せない可能性が高くなります。
とくに、長期の工事では住民にとって大きな不便となるため、制限時間や対象範囲を事前に具体的に伝え、住民の理解を得ることが大切です。作業時間外であれば洗濯物を干せる場合もあるため、柔軟な対応が可能であればあわせて案内しましょう。
塗料を2色以上選ぶと高額になる
マンションの外壁塗装で印象を変えたいと考え、2色以上の塗料を使ってデザイン性を高めたいオーナーもいます。しかし、外壁塗装で複数の色を使う場合は、費用が高くなる傾向があります。
その理由は、色ごとの養生作業の増加や塗料の単価上昇、作業工程の複雑化による人件費の増加です。
外壁塗装の費用を抑えたい場合は、事前に業者と塗装色の組み合わせや費用についてよく相談しましょう。デザイン性も重視したい場合は基本色を1色にして、一部にアクセントカラーを加える方法が、費用と見た目のバランスを取るのに効果的です。
まとめ
マンションの外壁塗装は建物の寿命を延ばし、資産価値を維持するために欠かせないメンテナンスです。耐用年数の経過に加え、ひび割れ、塗膜の剥がれ、チョーキング、タイルの浮きといった劣化のサインが見られた場合は、早めに専門業者へ相談することが重要です。
あなぶきハウジングサービスでは、マンション価値を高める管理・運営事業や清掃・設備等の総合メンテナンス事業を展開しています。豊富な実績ときめ細やかなサービスで増加戸数ランキング2年連続ベスト3入りを誇ります。自社で運営しているコールセンターにて、24時間365日迅速に対応できる環境を整えており、マンションに関わるあらゆるご相談に対応可能です。お気軽にお問い合わせください。

あなぶきハウジンググループ公式
あなぶきハウジンググループは、これからの時代を創造するため
グループ全体で企業価値の向上を行っています。

最新記事 by あなぶきハウジンググループ公式 (すべて見る)
- マンションの外壁塗装はいつ依頼する?費用相場と注意点も解説 - 2025年8月8日
- 停電やポンプ故障の際に水は使えるの?~マンションの給水方式の違いと断水について~ - 2025年8月6日
- 夏場に増える害虫とその対策について - 2025年8月2日