前回のブログでは、政府が勧める長期・積立・分散投資とは何か、また、政府が投資に対する税制優遇措置を設けている『NISA』とは何か、についてお話ししました。
NISA?それともiDeCo? ①2024年にNISAが変わる | もっとわくわくマンションライフ|マンションライフのお役立ち情報 (anabuki-m.jp)
今回はもう一つの税制優遇措置である、『iDeCo』についてお話しします。iDeCoもNISA同様、長期・積立・分散投資を後押しする、政府が制定した制度です。iDeCoの特徴やNISAとの違いなどを見ていきましょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは
こちらもズバリ一言、『iDeCo』とは
【自分による自分のための年金】
です。年金といっても、自分の意思で申込みをし、掛金を拠出し、運用方法を選んで運用をします。将来、掛金とその運用によって得た利益との合計額を、私的年金として受け取ることができます。
国からの、
「公的年金だけでは老後の生活が不安な人は、自分自身でも個別に年金を準備しておいてね」
というメッセージですね。運用方法は基本的にNISAの「つみたて」と同じ長期・積立・分散投資です。毎月一定額を拠出し、それを数十年間コツコツ運用していく方式です。
こちらは「年金」としての役割を担うため、NISA以上に税制優遇面で優れている制度です。ただし、多くの税制優遇を受けられる反面、注意点もあります。
iDeCoのメリット
掛金が全額所得控除の対象
掛金全額が所得控除の対象になります。
例えば…年収450万で毎月の掛金が2万円の場合、年間約4万円の税金が軽減されます。これを30年間続けると、約110万円の税金を節約するとこができます。
運用益に税金がかからない
これはNISAと同じです。前回のブログに書きましたが、通常、投資による運用益には20.315%の税金がかかりますが、この税金が一切かかりません。
iDeCoによって得た利益は、税金がかかることなくそのまま受け取ることができます。
受取金は「公的年金等控除」または「退職所得控除」の対象
iDeCoは
①年金として継続的に受け取る
②一時金として一括で受け取る
③継続的+一時金を併用して受け取る
以上の3つの方法から選ぶことができます。
継続的に受け取る場合は『公的年金等控除』、一時金として受け取る場合は『退職所得控除』の対象となり、どちらの場合も税金が軽減されます。
iDeCoのデメリット
60歳までお金を受け取ることができない
iDeCoの目的が「年金」なので、原則60歳になるまでお金を受け取ることができません。運用の途中で急にまとまったお金が必要になっても、iDeCoのお金を引き出すことができないので十分注意が必要です。
途中でやめることができない
iDeCoは一度始めると60歳まではやめることができず、運用を続けなければいけません。しかし、拠出金を少なくしたり、拠出を一時的に休止したりすることは可能です。
手数料がかかる
加入・移管時に 2,829円
掛金納付の都度 105円(毎月)
事務委託手数料 66円(毎月)
給付の都度 440円
返金のある場合 1,048円
口座管理手数料 0~400円程度(毎月)※金融機関によっては0円
加入対象者に制限がある、人により拠出できる上限金額が異なる
条件がいくつかあり一見複雑ですが、iDeCoの実施機関である国民年金基金連合会が運営するサイトで、簡単に加入診断ができるのでチェックしてみましょう。
iDeCo(イデコ)をはじめるまでの5つのステップ|iDeCoをはじめよう|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】 (ideco-koushiki.jp)
iDeCoの注意点!
iDeCoの大きなメリット・デメリットについて紹介しました。これだけ見てもNISAよりも複雑な感じがしますね。以上をふまえて注意点を3点まとめました。
加入前にライフプランを立てる
税制優遇面ではとても魅力的ですが、60歳までお金を受け取ることができない点や、途中で解約できない点は注意が必要です。子供の教育費やマイホーム購入など、思わぬところでお金がかかることも出てくるかもしれません。
加入する前にある程度のライフプランを立てておくこと、NISA同様にギリギリの貯蓄状態で始めるのではなく、余裕のある資金で行うことが必要です。
月々かかる手数料…塵も積もれば…
また、申し込みをする金融機関によって手数料が異なるのも気をつけたい点です。拠出中の月々の手数料は最低171円~、高い金融機関では556円程度かかるところもあります。これが20年、30年と続いていくと、なんと10万円の差になります!少しでも手数料が安い金融機関を選びましょう。
その一方で、高い手数料がかかる金融機関では、対面で丁寧な対応をしてくれる場合もあります。金融機関は運用途中で変更することが可能なので、不安な方はまずは対面で対応をしてくれる金融機関を選び、慣れてきたら変更するのもいいかもしれません。
出口戦略が重要
iDeCoは出口戦略がとても重要かつ複雑です。出口戦略とは、iDeCoを数十年運用を続けたのちの「受け取り方」です。ここを間違えると「受け取り額」に差が出てきてしまうので注意が必要です。
とは言っても数十年後のことですし、税制は常に改正されていくものですので、きちんと情報収集ができるかどうかが鍵になります。
来年からNISAがバージョンアップし新NISAが始まりますが、実はiDeCoも昨年バージョンアップがありました。それまで企業型確定拠出年金に加入している人はiDeCoに加入することができませんでしたが、2022年10月からは、iDeCoに併用して加入することができるようになりました。
~おまけ~ 企業型確定拠出年金(企業型DC)とは
また新しい言葉が出てきましたね。企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)とは、一部の企業が導入している制度です。iDeCoに似た制度ですが、
・企業が拠出金をだす
・拠出中の手数料は企業負担
・拠出金は給与に含まれない
といったとても羨ましい福利厚生の一つになっています。
近年では退職金制度縮小や企業年金制度縮小の対策として、導入する企業が増えています。こちらは企業が導入しているかどうかなので、私たち個人の意思で加入することはできません。
しかし、企業型DCの中には、企業が出す拠出金にさらに自分で上乗せをして拠出金をだす「マッチング拠出」や、拠出金を企業ではなく自分の給与からだす「選択制DC」などもあります。
iDeCo加入の前に確認を
「マッチング拠出」や「選択制DC」は、個人の任意で利用する制度なので、入社時に説明を受けたきり忘れている方もいるかもしれません。iDeCoをお考えの方はお勤めの会社に、企業型DC(※マッチング拠出や選択制DCの場合)の有無を再確認し、制度がある場合はこちらを最優先しましょう。
まとめ
2024年からは「新NISA」がスタートすることもあり、ニュースはNISA一色ですが、iDeCoはさらに税制優遇面ですぐれています…さあ、「NISA」と「iDeCo」どっちを始めればいいか迷ってきましたね!
次回は、NISAかiDeCoか迷っている方にケース別におススメをお伝えします。
遠藤佳代
財務・経理本部 経理課
遠藤 佳代(えんどう かよ)
東京都出身 2008年入社後、2011年にあなぶきグループの一員になりました。
マンション会計課にて管理組合の会計業務に携わったのち、現在は経理課で会社の経理業務に従事しています。
皆様の身近で関心のある、お金にまつわる情報を発信していきます。
趣味:旅行(国内外問わず)・サッカー観戦(Jリーグ)
資格:日商簿記二級・管理業務主任者・マンション管理士・マンション維持修繕技術者・
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
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