チョーケイ、準備OK?~マンションの未来予想図、長期修繕計画~

こんにちは!あなぶきハウジングサービスの濱崎です。
マンションのフロント業務は、日々状況の変化に富んでいます。朝穏やかにデスクでコーヒーを飲みながら同僚と談笑する日もあれば、自然災害やトラブルに続けて見舞われることも。
フロントの日常について、機会があれば当ブログにご紹介したいと思います。
また、皆さんも日頃接している担当者に、日々の業務内容を一度聞いてみてはいかがでしょうか。

さて、今回は、皆様のマンションにとって、将来計画的に修繕を行う際の、未来予想図ともいえる、長期修繕計画についてお話ししたいと思います。

20年ほど前、某テレビ番組の企画で「未来日記」というコーナーがありました。

各ストーリーはいくつかのエピソードで構成されており、各出演者には未来のことが記された日記である「未来日記」が、各エピソードの開始前夜およびエピソードの途中でスタッフから手渡され、それには「ある特定のシチュエーションになった際、あなたはこうふるまう」という指示が記載されており、日記を渡された出演者は、たとえその内容が本心と反する行動であっても、日記の指示通りに行動しなければならないというものです。

皆様がお住まいになられているマンションも、「まだこの設備使えるのに取り換えるの?」とか、「見た感じどこも悪くなっていないから大丈夫」と思われることがあるかと思いますが、あらかじめ推定される建物自体の劣化の進捗状況、設備等の寿命等を鑑みて作成を行う長期修繕計画は、マンションの未来をより明るくする資料といえるでしょう。

 

☑長期修繕計画とは?

マンションにとって重要な計画書となる、「長期修繕計画」。マンション担当者から、一度はお聞きになられたこともあるでしょう。
長期修繕計画とは、マンションの本来の性能・機能を維持し、かつ老巧化を防ぐため、マンションの大規模修繕や設備改修などの予定を10年、20年と長期的な期間を見据えて、マンションの管理組合にて作成を行う修繕計画書の事です。
長期修繕計画の作成は、計画的に修繕を検討することで、マンションの、マンション寿命の延長・快適な居住環境の確保、そして区分所有者の資産であるマンションの資産価値を維持することを目的としています。

 

☑誰が作成するの?

長期修繕計画の作成は、各修繕項目をピックアップし、それぞれの建物や設備の状況を把握しておく必要がございます。そのため、管理組合の役員様だけで作成することは現実的に難しいといえるでしょう。
国土交通省の標準様式等のソフトを活用して作成する方法もございますが、一般的な作成方法としては、①管理会社に依頼する、②設計事務所やマンション管理士に依頼する方法が挙げられます。

  • 管理会社に依頼する

管理会社に依頼する場合、各管理会社にて推定修繕工事の周期や費用を、あらかじめシミュレーションしたソフトで作成、おおよその修繕周期や想定される工事費用が算出されます。
簡易的な資料であることから、国土交通省の推定周期に沿った内容でありますが、あくまで一般的な目安での長期修繕計画となり、概算での数量ととらえていただいた方がよいでしょう。
作成費用については、管理会社によって異なりますが、専門ソフトにて作成するため、大きな費用負担はないと思っていただければと存じます。

  • 設計事務所やマンション管理士に依頼する

こちらについては、より専門的な視点で作成を行います。国土交通省の推定周期だけでなく、事前にマンションの調査等を行ったうえで作成を行うことが多いため、より皆様のマンションにとって「オーダーメイド」感のある長期修繕計画が作成されます。

ただし、建物や設備の劣化を事前に調査を行って作成される長期修繕計画であることから、その多くは有償となり、費用としては、マンションの規模や作成内容にもよりますが、一般的に10数万円から5~60万円ほどかかる場合もございます。

国土交通省の水準によれば、長期修繕計画を作成する際には、建物調査診断を伴っての作成が望ましいとされていますので、より精査された長期修繕計画をご希望されるのであれば、設計事務所やマンション管理士、または管理会社へ有償となる長期修繕計画の作成を依頼されることをお勧めします。

 ☑長期修繕計画はぜったい!?

「今後、この年や周期で、○○工事を行うんですか?」

管理組合の総会で、よくいただく質問です。長期修繕計画に記載された修繕項目の周期や工事金額は、今後工事を行う際の目安であり、それぞれの工事を実施される際には、理事会や総会等で都度ご検討いただくことが多いです。

長期修繕計画は、あくまで計画書ですので、冒頭にご紹介した「未来日記」とは異なり、指定された年に必ずしも工事を行う必要はございません。
ただし、水道メーターの取替や、消火器交換等、あらかじめ法令上定められた交換周期のあるものは除きます。

☑オーダーメイドの長期修繕計画

このように、長期修繕計画は、各マンションの状況に応じて作成を行います。マンションによって、劣化進捗度合いが異なったり、設置されている設備が違っていたりとそれぞれの事情があり、修繕項目や工事金額が異なります。

長期修繕計画は各マンションに合わせて最善の計画を立てることで、最良の効果を得ることができます。そのため、長期修繕計画を作成する際は、修繕・点検を行う対象箇所の耐用年数等、あらかじめ把握しておくことが重要です。

マンションによって修繕箇所や点検の箇所、面積・耐用年数などは異なってくるため、もし管理組合で長期修繕計画を作成する場合は、他のマンションの計画を参考にすることはあっても、完成時まったく同じということはあり得ません。

☑長期修繕計画の見直し

では、この長期修繕計画は、一度作成してしまえば、半永久的に活用できるものでしょうか?答えは「NO」です。

というのも、長期修繕計画は、定期的な見直しをはかることで、「無駄な工事」や、「過剰な設備投資」等を抑制できることがあるからです。

長期修繕計画の作成が、一般的に25年から30年程度の期間を対象として、マンションの各箇所に関する鉄部等塗装工事・外壁塗装工事・屋上防水工事・給水管工事・排水管工事などの各種大規模修繕を、どの時期に、どの程度の費用で実施するか予定を計画するものです。

そのため、あらかじめ取替周期が定められた設備(水道メーターや消火器取替等)を目安にした場合、一般的に5年ごとに見直しをはかることが望ましいとされております。

「長期修繕計画=5年ひと昔」、とイメージしていただければと思います。

長期修繕計画作成時のガイドライン 001172736.pdf (mlit.go.jp)

 

☑長期修繕計画作成における、主なメニュー

それでは、長期修繕計画を作成する際、必要な項目はどんなものがあるでしょうか。

国土交通省の標準様式で定められている、長期修繕計画表に含むべき項目は、主に4項目です。

 

  • 計画年数・長期修繕計画の期間。約25~30年の範囲内で設定する。
  • 推定工事項目:修繕が必要な箇所の、工事単価、修繕周期、施工面積。
  • 収支計画:大規模修繕工事に係る支出と、修繕積立金の累計額のバランス。
  • 修繕積立金の金額:計画に対して必要な修繕積立金を設定する。

 

計画年数・長期修繕計画の期間については、大規模修繕工事を2回実施することを想定しております。そのため、上記期間の範囲内を設定していると言えます。

推定工事項目については、工事単価と修繕周期はおおよそ各マンションで違いはないものの、施工面積はマンションごとの面積を算出します。

収支計画については、大規模修繕工事の周期(施工予定金額)にて、どのくらいの積立金が繰越金として計上されているかのバランスを確認していきます。

そして、修繕積立金の金額については、各推定修繕工事を実施した場合、どのくらいの累計金額が必要かを把握するため、現時点での修繕積立金の累積額との不足分(充足分)を調整するため、あらかじめ設定を行います。

 

☑修繕積立金との関係性

長期修繕計画を作成した際、あわせて修繕積立金についても見直しをはかる管理組合様が多いかと思います。
長期修繕計画を作成、確認していく中で、おおよその推定修繕工事の内容が判り、工事費用についても把握できることから、皆さんのマンションの収支状況が理解できてくると思います。
「長期修繕計画上の工事を○○年に行う⇒○○年に修繕積立金が※※円不足する⇒そのため修繕積立金を改定する」、お分かりいただけましたか。

修繕積立金に関しては、前回の私のブログにも記載しておりますので、ご参考ください。

シューツミはツミな奴!?~修繕積立金は必要ですか?~ | もっとわくわくマンションライフ|マンションライフのお役立ち情報 (anabuki-m.jp)

 

☑長期修繕計画の記載内容

それでは実際に長期修繕計画とはどんなものか、具体的に見ていきましょう。記載されている項目(大項目)としては、以下の内容のものがございます。

・建築工事
・外構工事
・給排水空調設備工事
・電気防災工事
・その他設備工事
・建物調査診断費
・給排水管調査費
・設計管理費用・・・等々。

当然のことながら、建物にかかる工事の修繕項目が多いものの、「建物調査診断費」や「給排水管調査費」「設計管理費用」など、事前にマンションの劣化状況を把握するための項目も長期修繕計画では含まれております。

事前にマンションの健康診断を行ったうえで作成される長期修繕計画は、まさにマンションのカルテともいえるでしょう。

☑「マンション管理計画認定制度」、「マンション管理適正評価制度」にも影響

また、2022年4月より国土交通省にて、マンション管理適正化法に基づく『マンション管理計画認定制度』(※1)が施行されました。
本制度は、管理組合がマンションを適正に管理する、また、行政がマンションの管理状況等を把握し、管理適正化の推進を図ることを目的とするものです。
本制度の認定を受けた場合、住宅金融支援機構の共用部リフォームローンやフラット35の金利優遇を受けることができます。

また、今後は本制度の認定の有無が、マンションの資産価値算定の基準の一つとなることが予想されます。『マンション管理計画認定制度』において、修繕その他の管理の方法を評価するポイントの一つとして、管理組合で承認された長期修繕計画書(認定制度申請日より7年以内に作成のもの)が必要となります。他方、一般社団法人マンション管理業協会による、『マンション管理適正評価制度』(※2)も同様にマンション管理組合の管理適正化を目的として制定されており、いずれにおいても、管理組合にとって長期修繕計画を作成、承認されているかがポイントとなってくることから、あらためて長期修繕計画の重要性が再認識されています。

(※1)国土交通省 マンション管理計画認定制度の概要

001356475.pdf (mlit.go.jp)

(※2)一般社団法人マンション管理業協会 マンション管理適正評価制度

マンション管理適正評価制度~管理組合の取組みが注目される時代に~|一般社団法人 マンション管理業協会 (kanrikyo.or.jp)

☑マンション標準管理規約における長期修繕計画

さて、マンションにはマンション住まう方にとってのルールブックともいえる管理規約と呼ばれるものが存在します。

そのモデルとなる標準管理規約とは、マンションの維持・管理、その他住民が快適かつ安全に生活を送るため基本的ルールを定めた管理規約を作成・変更をする際の参考になるよう、国土交通省が管理規約の標準モデルとして作成したものとなっております。

管理組合にて管理規約を改定する際の指針となるものであり、マンションの実態に応じて「ガイドライン」として活用することを目的としたものと言えるでしょう。
その標準管理規約において、長期修繕計画に関する記述は以下の通りとなります。

・長期修繕計画の作成は、管理組合の業務である(単棟型規約第31条)。
・管理組合の理事会は、長期修繕計画の案を作成する(単棟型規約第52条)。
・長期修繕計画を作成するには、集会の決議を行なう必要がある(単棟型規約第46条)。
・修繕積立金は、一定年数の経過ごとに計画的に行なう修繕などに限って支出することができる(単棟型規約第27条)。

つまり、長期修繕計画を作成するだけでなく、集会(一般的には総会といえるでしょう)の決議をもって、初めて皆様の長期修繕計画といえます。

☑まとめ

いかがでしたでしょうか。長期修繕計画が、皆様のマンションにとっていかに重要か理解いただけたかと思います。

冒頭でもお話ししましたように、長期修繕計画はマンションの未来予想図といえるものです。定期的に見直しを図ることで、その時々の重要な修繕項目の確認、劣化状況の把握、工事周期の見直し、新たな設備導入等、マンションという皆様の資産を維持していくため、長期修繕計画を有効に活用していただきたいと思います。

また、各修繕項目をご覧いただくことで、「この工事は早めにしておいた方がよいのでは」とか「定期的に建物調査診断を行うことで、先延ばしできるな」といった将来設計を皆様にご理解いただけるよう、私共はお手伝いさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

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濱崎修一

あなぶきハウジングサービス 西神戸支店
濱崎 修一(はまざき しゅういち)

香川県高松市出身。
メーカー、人材サービス業の営業を経て、2010年入社。

入社以来、分譲管理部門に一貫して従事、四国(松山)、中国(山口)、そして2016年の熊本地震直後より九州・熊本にて赴任しました。
現在は、数十年ぶりの関西(西神戸支店)にて勤務しております。
様々なご入居者様との交流を通じて、自分自身日々成長を感じながら業務を行っています。

これからもマンションにお住いの皆様にとって、日々の住生活がより豊かになるよう、「しあわせ『感』理」の情報発信を行っていければと思います。

保有資格:管理業務主任者
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