こんにちは。あなぶきハウジングサービスの福田です。
今回は、分譲マンションの建築基準法に関する大事なお話しをいたします。
建築基準法の規定とは?
少しお堅いお話ですが、分譲マンションの建築基準法の「法順守」ということに触れてみましょう。
建築基準法の規定には「単体規定」と「集団規定」というものがあります。
「単体規定」は主に建築物の安全確保に関する規定が、そして集団規定には健全な街づくりについての規定が盛り込まれています。
単体規定
敷地:衛生・安全の確保
構造:地震等による倒壊の防止
防火・避難:火災からの人命の確保
集団規定
接道規制:避難・消防等の経路確保
用途規制:土地利用の混乱の防止
形態規制:市街地の環境の維持
等です。
また、主な改正(構造に関する)の経緯は1950年に公布されて以来、大地震が発生するごとに構造規定の改正があります。
1980年の「新耐震設計法」の導入は有名ですね。
新潟地震・十勝沖地震の後、1970年の構造規定の改正後に宮城沖地震が発生し、それからこの規定になっています。
その後、1995年の阪神・淡路大地震の発生後に新たに部分的な改正があり現在に至っています。
分譲マンションで守りたい建築基準法の5つの事例
①地下受水槽室内の受水槽の水中ポンプ更新
“水中ポンプ更新する場合は、同じ水中ポンプにするべし”
理由:受水槽内に水中ポンプを設置することによって、地下受水槽室の床面積が免除されていますので、たとえば、ポンプを床置型に更新した場合は床面積が増えるので増築になります。当然役所への申請※が必要ですね。
②受水槽室
“受水槽室に汚水・雑排水管を通してはいけない!”
理由:居住者の飲料水ですから、安全な水でなければなりません。
地震などで配管が破裂して受水槽に悪影響を及ぼしてはいけませんので、禁止されています。
実例:わたしたちの管理するマンションで実際にありましたが、既存の排水管が老朽化しており、更新する際に配管ルートがなかなか見当たりませんでした。地下受水槽室を貫通する計画でしたが、管理組合理事長に上記の理由をご説明して工事中止となりました。
③機械駐車場の解体工事
“駐車附置義務がないかの確認しましょう”
理由:利用者のいない機械駐車設備はとんでもなく金食い虫ですので、『いっそのこと機械式駐車場を解体して、平置きの駐車場にする』というマンションは少なからずありますね。
しかし、そのマンションの建築許可条件の中に、郊外型のマンションは特にそうなんですが「駐車附置義務」があります。
この義務がある場合、駐車附置義務台数を確保しながらの解体撤去でなければなりません。
④駐輪場へ屋根の設置
“建築面積や床面積を確認しましょう”
理由:屋根を設けることによって、建築面積や床面積がカウントされます。そうすると増築行為になり、役所への申請が必要になります。※
⑤マンション敷地内の植栽面積を変更する(樹木の伐採撤去等)
“緑地面積を確認しましょう”
理由:④と同じくそのマンションの建築許可条件の中に、「緑地面積の確保」があります。敷地面積の数パーセントの確保が義務付けられる場合がありますので、勝手に変更することはできません。
(注)※印:都市計画区域内で防火・準防火指定区域外で10㎡以内であれば申請は必要ありません。
まとめ
わたしたちマンション管理会社では、居住者の利益も守りながら、建築基準法という法律を順守していかなければなりません。
ついつい居住者のメリットばかり気にしがちですが、規律を守ることが私たちの「プライド」です。この気持ちは失いたくないですね。
建築基準法の罰則規定によると無確認工事に対しては建築主・設置者は懲役1年/罰金100万円となっています。厳しくなっていますね。
建築士法という法律の規定に、
(職責) 第二条の二
「建築士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、建築物の質の向上に寄与するように、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。」とあります。
これを見るたびに冷や汗が出ます。自分の仕事にはプライド(誇り)を持ちたいものですね。
福田 純行
前職の設計事務所時代に手掛けた設計・監理物件は北海道は北見市から南は長崎の佐世保市まで。今となってはとても懐かしい。現在は主にマンションの大規模修繕工事に関するコンサルティング(大規模修繕工事の改修設計・長期修繕計画(案)の作成等)を担当。人が住むマンションのストーリーを一つずつ守るのが役目です。
目指せ、「チェンジ・ザ・ワールド」・E.クリプトン・・・・グルーブな仕事を
皆さんのために。
有資格:一級建築士
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