管理組合の仕組みを理解しましょう
輪番制で管理組合の理事を任されることになったあなたへ。
理事になったものの、何をしたらいいのか不安なあなたへ。
そんな方の疑問や不安を埋められるといいなと思い、マンション理事の基礎知識をまとめました。
※こちらの記事は2016年2月に公開されたものを加筆・修正しております。
目次
- 管理組合の組織とは
- 管理組合の役員とは
- 管理組合の役割とは
管理組合の組織とは
戸建てにお住まいの方は、管理や補修工事のやり方は、所有者自身が自由に決められます。まさに、自分自身が「管理者」といえます。一方、マンションの場合は、区分所有者全員で利用し、管理・維持していかなければなりません。そのため、お互いの役割分担やルールを定め、さまざまな意思決定をするのが「管理組合」です。
管理組合は区分所有者全員で組織・運営されます。具体的には、管理規約に基づき、総会で決まった業務の執行を担当する理事会、管理組合の業務をチェックする監事がおかれることが一般的です。また、必要に応じて専門委員会や部会が設置されることがあります。
管理組合の組織例
組合員の資格
管理組合の組合員は、マンションの購入者です。マンションを購入すると自動的に組合員になります。一方、売却等でマンションを手放したときは組合員の資格を失います。自分は興味がないから、「組合員には入らない」というわけにはいきません。
部屋を賃貸し、別な場所に住んでいたとしても、その人は組合員のメンバーであり続けます。賃貸でマンションに入居している人(占有者)は、組合員の資格はありません。組合員資格を持つのは、入居者に部屋を貸している区分所有者です。
管理組合の業務
管理組合の業務には、マンションの管理・使用に関する色々なものがあります。どんな業務を、どのように実施するかは管理規約の定めや総会決議に従って行うこととなります。以下の「管理組合の業務」のポイントを理解しましょう。
《マンション標準管理規約より一部抜粋》
管理組合の役員とは
管理組合役員とは、理事会を構成する理事や監事のこといいます。
区分所有法では役員に関する事項(資格、選任方法、任期、職務権限など)についての定めはありません(法人である管理組合は別です)。通常は管理規約で定めています。
役員は総会で選任されます。役員は、規約等のルールや総会決議事項に従い、誠実に職務を遂行することが定められています。
理事長は管理組合の代表者
理事長は理事会を代表するとともに、管理組合を代表します。また、理事長は区分所有法で定める「管理者」であることが一般的です。区分所有法上の管理者である理事長は、その職務に関し区分所有者を代理し、総会で決議されたことを実行します。理事長は、区分所有法上の管理者の職務権限を有するほか、管理規約において理事長がその職務を行うこととされている事項を執行します。また、理事長以外の理事は理事長をサポートし、互いに協力しながら、公正で民主的な管理組合運営にあたることが大切です。
監事はお目付け役
監事は、管理組合の活動状況や財産の状況をチェックすることがその役割です。いわば、管理組合のお目付け役です。そのため、監事は理事会に出席して意見を述べることができる、とされているのが一般的です。なお、監事と理事はその役割が異なるため、一人で両方を兼任することはできません。
マンション標準管理規約では以下の規定があります。
《マンション標準管理規約より一部抜粋》
第38条(理事長)
理事長は、管理組合を代表し、その職務を統括するほか、次の各号に掲げる業務を遂行する。
一 規約、使用細則等又は総会若しくは理事会の決議により、理事長の職務として定められた事項
二 理事会の承認を得て、職員を採用し、又は解雇すること。
2 理事長は、区分所有法に定める管理者とする。
3 理事長は、通常総会において、組合員に対し、前会計年度における管理組合の業務の執行に関する報告をしなければならない。
4 理事長は、理事会の承認を受けて、他の理事に、その職務の一部を委任することができる。
第39条(副理事長)
副理事長は、理事長を補佐し、理事長に事故があるときは、その職務を代理し、理事長が欠けたときは、その職務を行う。
第40条(理事)
理事は、理事会を構成し、理事会の定めるところに従い、管理組合の業務を担当する。
2 会計担当理事は、管理費等の収納、運用、支出等の会計業務を行う。
第41条(監事)
監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。
2 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
3 監事は、理事会に出席して意見を述べることができる。
管理組合の役割とは
管理組合の役割は、マンションの建物、設備、敷地などの共用部分を適切に管理・維持することです。エレベーターや給排水設備、電気設備などの施設は、定期的に点検し、必要があれば修理します。また、外壁の補修、鉄部塗装、屋上の防水などの劣化に対応するために、一定の期間ごとに大規模修繕工事を行う必要があります。
また、騒音やゴミ出し、ペット問題、駐車場問題などのトラブルに対応し、地域の防災訓練やお祭りなどの行事を通じて住民間の交流も大切なことです。これらの計画を立て、実際の運営をするのが管理組合の重要な役割です。
マンションは価値観や生活観が異なる複数の方が、ひとつ屋根の下で共同して居住する形態であるため、お互い一定のルールを守って生活することが求められます。居住者の方は等しく管理の仕組みとルールの大切さを理解しなければなりません。今回は、管理組合活動を理解するために、管理組合の組織、管理組合の役員、管理組合の役割についてまとめてみました。
北林真一
大学卒業後、一貫して不動産業界に従事してきました。
皆さまの大事なお住まい(マンション)のことは私にお任せください。
【得意分野】・合意形成の進め方 ・大規模修繕工事
【モットー】謙虚であれ、誠実であれ
【特技】日本酒と音楽(邦楽除く)は少しだけ詳しいです。
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