こんにちは福田です。
今回は「エレベーターのない分譲マンション」にお住まいの方に向けたお話です。
これからの高齢化社会(もうすでに進行中ですね)が眼の前に迫っている一方で、高齢者の方々が住むマンションにエレベーターがないという現実が存在しています。
実際、「マンションにエレベーターがないから…」との理由で転居される方もいらっしゃいます。
主に、2階建て~4階建てのマンションが該当しますが、わたしは大きな社会問題だと思っています。そして、そのほとんどのマンションが築25年から30年が経過しています。
しかし、朗報があるんです!
建設費用はもちろん必要ですが、後付け可能の「小規模共同住宅用エレベーター(3人乗り)」※がエレベーターメーカーより発売されているんですね。これは”賃貸マンション用”と名打っていますが、一般的な6人乗りエレベーターの約2/3のコストで設置可能です。
※超小型エレベーターの主な特徴(参考)
・かご(室内)の大きさ900mm×1150mm 3人乗り(車いす+介護1人分が可能)
・停電時自動着床装置・手摺・インターフォン・身障者対応仕様・P波センサー付地震時管制運転等
・その他、防犯窓、非常ブザー、音声アナウンス、防犯カメラ、警報装置等
・設置条件:昇降工程13.0m(約5階建てマンションまで)
30m/min(分速)・・・通常45m~60m/分速
インバーター制御・動力:単相200v (モーター容量:1.2KW)等
・最低階高:H=2600mm(この条件が問題ありですね、しかし既存マンションの階高が低くても回避する手立てはあると思います。)
・維持費(電気料金):数千円程度/月・・メンテナンス費用は別途必要
・マンションの規模により従来型の最小タイプの6人乗りを選ぶことももちろん可能です。
・エレベーター設置に際しては別途エレベーターコストに昇降路の建築費が別途必要です。(三菱日立小規模共同住宅用エレベーターの資料より参考:商品名「Rメート」)
また、2015年の7月に”エレベーターの昇降路部分は容積率に含まない”と建築基準法の改訂(規制緩和)が行われたので、エレベーターを後付けするハードルがより低くなりました。
3人乗りですから、世帯数の多いマンションには不向きかも知れませんが、日常生活を過ごす高齢者の方々にとっては実に朗報ですよね。
以前より賃貸公営住宅に設置するケースは見受けられましたが、費用的には高額なもので、且つ法的規制をクリアすることに問題がありました。今回の規制緩和を受けても、すべての対象となるマンションに設置可能ではないと思いますが、以前よりは費用的にも設置しやすくなったということが言えると思います。法的規制についても容積率緩和になりましたが、建ぺい率や消防法、また日影規制等については確認が必要になってきます。
近い将来、それこそ最低基準の条件を順守することで、簡単にエレベーター設置が可能になればいいですね。
そうすることで、特に身障者や高齢者の方にとって、もっと住みやすいマンション生活が可能になってくると思います。
福田 純行
前職の設計事務所時代に手掛けた設計・監理物件は北海道は北見市から南は長崎の佐世保市まで。今となってはとても懐かしい。現在は主にマンションの大規模修繕工事に関するコンサルティング(大規模修繕工事の改修設計・長期修繕計画(案)の作成等)を担当。人が住むマンションのストーリーを一つずつ守るのが役目です。
目指せ、「チェンジ・ザ・ワールド」・E.クリプトン・・・・グルーブな仕事を
皆さんのために。
有資格:一級建築士
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