こんにちは、テクノ防災サービスの北村です。
早速ですがみなさまは、1寸や1尺という単位を耳にしたことはありますでしょうか。
建築業界、特に木造住宅のハウスメーカーでは広く使用されている長さの単位になります。
今回は「尺貫法と呼ばれる長さの単位」と、
設計の基準となる規格寸法「尺モジュール」について、ご紹介をさせて頂きます。
【1.単位について】
みなさまが普段長さを測るとき、例えば冷蔵庫なら縦1.8m横0.7m奥行0.7m等、
m(メートル)を使用して考える事が多いのではないでしょうか。
m(メートル)の他にも、マイルやヤード、尺、フィート等、長さを示す単位は多く存在します。
参考までにそれぞれの単位が何m(メートル)かをまとめました。
1マイル → 1609.344m
1ヤード → 0.9144m
1尺 → 0.303m
1フィート → 0.3048 m
1mを基本に考えると、中途半端だな・・・。と感じるのではないでしょうか。
私は趣味でゴルフをやるのですが、(下手の横好きですが。。)
始めた頃はゴルフのテレビ中継を見て、「ドライバーで300ヤード飛びました。」と言われても、
300ヤードってどのくらいの距離なのか見当も付かず、ヤードを使う理由がわかりませんでした。
調べてみると、ゴルフでヤードを使うのは、発祥地が関係していると言われています。
また、1970年代後半にゴルフ業界でメートルに変更する動きがあったものの、
ヤードに慣れた方からの反対の意見により、現在でもヤードが使用されているそうです。
ゴルフのヤードのように、
その他の単位についても、様々な理由があり、今現在でも用いられているのかと思います。
ただし、その業界やスポーツを知らない方には、わかりにくいですね。
そして、建築業界でm(メートル)の他に多く使用される単位が、
尺貫法と呼ばれる寸や尺等を使用した単位です。
基本となるのは3尺=910mmです。
m(メートル)が、長さによってmm(ミリメートル)やkm(キロメートル)があるよう、
尺貫法にも単位がいくつかございます。
1分(3.03mm) → 1寸(30.3mm) → 1尺(303mm) → 1丈(3030mm)
このように10倍毎に単位が決められています。
【2.畳】
畳のサイズは尺貫法が元になっています。
ただし畳にはいくつかの種類があり、全てが下図のサイズではありませんが、
中京間と呼ばれる畳のサイズは長手方向が1820mm(6尺=1間), 短手が910mm(3尺)となります。
畳一枚分を1畳(じょう)と呼び、2畳の面積を1坪(つぼ)と呼びます。
※6尺(1820mm)の事を1間(いっけん)と呼び、
3尺の事を半間(はんけん)と呼びます。
【3.尺モジュールについて】
次に尺モジュールについてご紹介致します。
まずモジュールとは、設計の基準となる規格寸法の事を言います。
そして建築で使用されるモジュールには、
①メーターモジュール
②尺モジュール の2種類があります。
メーターモジュールとは1スパン(柱の間隔)を1mとする考え方で、
尺モジュールとは1スパンを3尺(910mm)とする考え方になります。
ハウスメーカーが一般の方に普段なじみのない尺モジュールを使用する理由には、
- 建具やサッシ等の大きさは尺モジュールの方が一般的で、種類の多さや金額が比較的安い事。
- メーターモジュールに比べ、尺モジュールの方が小さくなるため、間取りの自由度が高い事。
等がございます。
【4.廊下の幅】
尺モジュールは、日本で昔から使用されているモジュールで、島国で有る為土地に限りがあることや、
日本人の体系や文化に合っていたことで、現在でも住宅業界では主流となっています。
尺モジュール・メータモジュールの違いを、廊下を例にして考えてみたいと思います。
左図が尺モジュール、右図がメーターモジュールでの一般的な廊下の図面になります。
尺モジュールの有効幅は、780mm
メーターモジュールの有効幅は、870mm となります。
事務所の建具の幅が尺モジュールの廊下と近かった為、
同僚に立ってもらい写真を撮ってみました。
人が1人通る分には問題はないようですが、
少し狭く感じるのではないでしょうか。
ちなみに、車椅子が通れるバリアフリーな廊下を考えるとき、
基準となる廊下の幅は800mmと言われています。
加えて手すりを設けるとすると、尺モジュールでは足りない事がわかります。
【5.まとめ】
いかがでしたでしょうか。
今回は尺貫法と呼ばれる長さの単位と尺モジュールについてご紹介させて頂きました。
尺モジュールについては、建築業界の方や木造住宅の購入を検討した方を除き、
馴染みのない考え方ではないでしょうか。
基本となる3尺=910mmだけでも、頭の片隅に入れておいて頂けると幸いです。
次回は、建築基準法12条に基づく定期検査の中の、特定建築物定期調査について、
検査の項目と関係法令を合わせて、ご紹介をさせて頂きたいと考えております。
建築基準法12条に基づく定期検査について、
以前に下記の記事で検査の種類や簡単な検査内容をご紹介させて頂いております。
合わせてご確認をお願い致します。
それではまた次回もよろしくお願いいたします。
北村順平
2007年あなぶきクリーンサービス入社
12年間 マンションの清掃設備維持管理の営業を担当、2019年7月からテクノ防災サービスにて、消防設備点検や特定建築物検査の営業を担当
施設管理に欠かせない法定検査になりますので、漏れの無い提案を心がけております。
初めての東京での生活で、休日には東京観光を楽しんでます。
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