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三度の飯より建築が好き!
どうもあなぶき建設工業の稲田です!
マンションの大規模修繕工事といえば、足場が組まれ、建物全体がシートで覆われ、騒音やにおいが発生するイメージがあるかと思います。その中でも、足場を組んでまで工事をする最大の理由が「外壁のタイル工事」のためです。実はこのタイル工事、見た目を美しく保つだけでなく、建物の安全性を維持するためにも非常に重要な工程です。
今回は、タイルの「貼替工事」や「樹脂注入工事」がどのように行われるのか、「打診調査」や「マーキング」から完了まで、実際の流れをわかりやすくご紹介します。
タイル工事が必要な理由とは?
マンションの外壁に使われているタイルは、日々の風雨、紫外線、温度差などによって少しずつ劣化します。中でも目に見えない「浮き」や「剥離」が進行すると、タイルが落下する危険性があります。
こうしたリスクを未然に防ぐため、大規模修繕工事の際には専門の調査と補修が行われるのです。
【STEP1】打診調査:「打診棒」で一枚ずつ点検!
まず最初に行われるのが「打診調査」です。これは、タイルの浮きや剥がれを調べる作業で、職人さんが「打診棒」と呼ばれる道具でタイル一枚一枚を軽く叩いて確認します。
正常なタイルは「カン、カン」と澄んだ音がしますが、浮いている部分は「カラカラ」と軽い音がします。この音の違いを頼りに、問題のある箇所を特定していきます。
住民目線の気づき:
朝から「コンコン」「カンカン」という音が外から聞こえてきたら、それは打診調査のサインです。
【STEP2】マーキング:タイルの“病気”を可視化する
打診調査で浮きや剥がれが確認された箇所には、チョークやスプレーでマーキングが施されます。これによって補修すべき場所が一目でわかるようになります。
マーキングには記号や色で意味があることが多く、「貼替」「注入」など分類されます。
住民目線の気づき:
外壁に色つきのテープで枠や線が引かれているのを見て、「これは何?」と思う方もいるかもしれません。でもそれは、補修計画のための重要なマーキングなのです。
↓マーキングの様子
【STEP3】補修方法の選定:貼替か注入か?
調査とマーキングが終わると、次に「補修方法」が選ばれます。浮きの程度や位置によって、主に次の2つの工法が使われます。
① タイル貼替工事
浮きや剥がれがひどい箇所は、タイルを一度撤去して、新しいタイルを貼り直します。古いタイルと合わせたデザイン・色のものを使うことがほとんどですので、仕上がりは違和感がありません。
作業手順:
-
古いタイルを剥がす
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下地(コンクリート)を補修
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新しいタイルを貼り付け
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目地を埋める↓撤去後の様子
② エポキシ樹脂注入工事
浮きの程度が軽微で、タイルがまだしっかりくっついている場合には、タイルを外さずに裏側に樹脂を注入することで固定します。これは目立たず、工期も短い方法です。
作業手順:
-
浮き部分に小さな穴を数か所あける
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専用のエポキシ樹脂を注入
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穴を目地材などで埋めて完了
住民目線の気づき:
貼替工事はどうしても「ガガガッ」という騒音が出ることがあります。一方で樹脂注入は比較的静かに施工ができます。
【STEP4】完了検査と補修跡の仕上げ
工事が終わった後は、きちんと補修ができているかをチェックする「完了検査」が行われます。再度打診して音を確認したり、目視で不具合がないかを確認したりします。
必要があれば、タイルの色合わせや仕上げ材の調整が行われ、補修跡ができる限り目立たないように整えられます。
住民目線の気づき:
「工事中にマーキングされたところ、きれいに直ってるかな?」と完成後に気になる方も多いと思います。補修跡はよく見ないとわからない程度にきれいに仕上げられるのが最近の工事品質です。
まとめ:タイル工事は“見えない安心”をつくる仕事
大規模修繕工事の中でも、タイル工事は「見えない劣化を見える化し、安全に戻す」ための大切な工程です。打診調査でわずかな浮きを見つけ、適切な工法で補修することで、外観の美しさだけでなく、住民の安全や安心につながっています。
足場が組まれていても、タイルの裏では職人さんたちの丁寧な作業が続いています。外からは見えにくい仕事ですが、日々の暮らしを守るための重要な工程として、ぜひ関心を持ってみてください。
工事期間中は騒音や視界の悪さに悩まされることもありますが、その先には「10年、15年先の安心」が待っています。次回外壁を見上げるとき、そこにあるタイルがきれいに整っているのを見ると、きっとこの期間の価値が感じられるはずです。
↑タイル工事について動画でも解説しております!ぜひご覧ください↑

稲田優哉
稲田優哉(いなだ ゆうや)
愛媛県出身 2023年入社
愛媛県のインテリア・建築科の専門学校卒業後入社。
入社以来、大規模修繕工事担当として日々取り組んでおります。
普段知ることのない工事のあれこれを発信いたします!
保有資格:二級建築施工管理技士補

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