マンション管理員の仕事ってどんなことをやるんだろう・・・~管理員の仕事内容~Part3

こんにちは。
ホームライフ管理の竹林です。

マンションの管理員さんのサポートし始めて早3年。
面談の中で色々と質問するのですが、マンション管理員の経験を尋ねると”初めてマンション管理員をやるんです!!”と仰っしゃられる方がざっくりですが約9割。(まぁ当然か・・・)

ただ、ご自身がマンションにお住まいで身近でマンション管理員さんをみているので”自分でもできそう。やってみようかな??”と決断される方が多いですね。
そのような方だと区分所有法(分譲マンションに関する法令)や管理規約(分譲マンションに住むうえでのルール)を知っているので業務慣れも早い感じがします。
当然全くの未経験の方でも一からレクチャーするのでご安心ください

 

さて、今回は前回に引き続き巡回(外観目視)点検業務の残りについてお話していきましょう。

 

復習がてら最初にお伝えしていましたが、マンション管理員がやる業務は大きく分けると以下のとおりです。

・受付等の業務
点検業務   ← 今回もここですね!!
・立会業務
・報告連絡業務
・日常清掃業務

建物、諸設備および諸施設の巡回点検

ゴミ置場やマンション敷地周辺

ゴミ置場はマンションの共有財産であり、常に清潔で衛生的に保つため、ゴミの区分・分別についてはマナーを遵守するよう絶えず管理組合と共同で注意喚起しましょう。

 

管理規約及び使用細則、市区町村のゴミ出し手順書等で、処理方法等を常に確認しておくことが大事です。
ゴミの区分を明確にし、『可燃ゴミ』『不燃ゴミ』『資源ゴミ』等の表示をしてみるのも良いですね。
ゴミ分別に関して居住者も目で確認できて、意外と効果があったりします。

 

ゴミの収集日に従って出されているか、分別して出されているかも確認します。

きちんと分別されていないようでしたら、ゴミ収集業者が収集してくれない可能性がありますので分別するのもマンション管理員の業務となります。

ただ、あまりにも分別されていないゴミが多いようであれば分別に時間が掛かり過ぎて大変です。
違反事項を抽出して、担当フロント・管理組合役員様へ相談して、掲示等で注意喚起することもひとつです。

 

また、ゴミ収集後は、ゴミ置場の清掃、ゴミ容器の洗浄をしましょう。
必要に応じて、適時消毒することも大事ですね。

 

 

ルールが守られていないゴミを発見し、袋にに注意書きを貼る場合は、ルール違反の内容を理解できるように理由を具体的に記載し、一旦持ち帰り再度きちんと出すよう記載します。
なお、注意喚起する場合は予め管理組合のルールを必ず確認しておくことも必要です。

また、粗大ゴミについては清掃事務所および市区町村の申込方法を確認しておきましょう。

 

ゴミ置場の管理においては美化を図るよう居住者へ協力を絶えず働きかけることも大事です。
伝え方を間違えると反感を買ってしまうこともあるので、注意喚起文書を掲示する際は必ず担当フロントと管理組合様へ確認してからにしましょう。

 

照明の点灯・消灯

共用部分の電球・蛍光灯は多種多様であり、マンションによっては点灯・消灯の制御方法も異なります。
季節によって、点灯、消灯の時間が正確になるようタイマーの時間調整も適宜行いましょう。

 

・タイマー制御
24時間タイマーにより、自動で照明を点灯・消灯に切り替える制御方法。
時季に応じて、点灯・消灯の時間の調整が必要。

 

・自動点滅器制御
自動点滅器で周囲の明・暗を感知し、自動的に照明を点灯・消灯に切り替える制御方法。
四季による点灯・消灯の時間調整は不要だが、取付け箇所によっては、他の照明の影響を受けるので、点灯状況の確認が必要。

・タイマー・自動点滅器併用制御

24時間タイマーと自動点滅器のW制御により、自動で照明を点灯・消灯に切り替えるハイブリッド型制御方法。
24時間タイマーの設定時間範囲内において、自動点滅器により周囲が暗くなれば自動的に点灯し、24時間タイマー切り設定時間になれば、自動的に消灯することができる。

 

なお、理事会で節電のため、管球類の間引きや深夜の消灯が決議された場合は、廊下等照明の点灯時間について記載した文章を掲示し、居住者に知らせた上で実施しましょう。
(埼玉の物件で同様の事例があり、文章を掲示していないものだから”消灯するように”とか”何で点灯していないんだ”とあたふたしていた管理員さんの相談を受けたことがあります)

 

蛍光灯等の管球類の取替

日常の巡回時に周囲が暗いと防犯上も問題となります。
最近はLEDも大分普及されてきていて球切れということが少なくなりましたが、電球や蛍光管の球切れを起こす場合もありますので、定期的に全館点灯を行い、球切れしていないか点検します。
消灯している(消灯しそうな)場合は迅速に管球交換を行いましょう。

《管球類の取替え基準》
・球や蛍光管の球切れ
・フリッカー状態(ちらつき状態)
・端が黒くなった蛍光管

もし蛍光管にグローランプがついている場合は、新しい管球に交換しても点灯しないときがあります。
大抵グローランプが切れていることが原因ですので交換しましょう。

また、管球交換する場所が高所で1人で対応できない場合は、速やかに担当フロントへ連絡し指示を仰ぎ対応します。
何故ならば、高い場所の管球交換では脚立を使用することは多々あります。
使用方法を間違ってしまうことでリスクが高まります。

手間だと思われるかもしれませんが必ず正しい使用方法で脚立を利用しましょう。
ご自身の身を守るのも仕事の一部ですから。
(脚立を正しく使用せず管球交換を実施し、結果落下して怪我をしてしまい、半年も休養された管理員さんがいましたのでご注意を!!。)

その他確認することは次のようなことですかね。
・予備管球は常に一定数量が確保されるよう在庫管理台帳を利用し適宜確認
・避難誘導灯の球切れは、速やかに交換
・取替えた管球類は、ゴミ出しのルールに従って処分
・照明カバーの破損、カバー内の虫の死骸、くもの巣の除去も速やかに行う

 

エレベーター

エレベーターの日常点検は、協力業者による法定点検のみならず、居住者の安全確保のため日常の巡回点検を入念に行うことによって、故障や事故の防止に努めます。

最上階から、1階ずつエレベーターで降りて点検します。
その際、床面、側壁、押しボタン、扉が汚れていないか。溝に汚れや詰まりがないか確認し、汚れは清掃し、詰まりは除去しましょう。

段差、押しボタン、表示板、扉の開閉等に異常があれば、担当フロントや管理組合役員様に報告し指示を仰ます。

その他は・・・
・乗降の際に異音や大きな揺れがないか確認することもあります。
・エレベーター内に貼付している保守点検業者のエレベーター管理番号、電話番号のシール及び法定検査済証が破損していないかも確認。合わせて法定検査済証の期間が有効かも確認しましょう。
・エレベーターの床保護マットは、交互に使用できるよう2枚用意してあると安心です。
(特に雨の日は傘からの雨水が溜まったり、泥汚れだったり。その時は交換しましょう)
・ペットや生ゴミの臭い等も確認し、臭いは消臭スプレー等で消し切ります。
・防犯カメラの作動状況も確認しましょう。

 

エレベーターに関しては警報発報(緊急時)の場合、迅速に対応する必要があります。
マンションのエレベーターには警報装置が備えられており、設備異常の場合に警報が鳴るように設計されています。

勤務中に発報があった場合はすぐにエレベーターの状況を確認しに行きます。
(問題なく動いているor動いていない、かご内に閉じ込められている人がいないか等)
エレベーター保守点検業者に通報する際にエレベーターの管理番号を聞かれるので必ずメモをしておきましょう。

一通り確認が終わったら直ちにエレベーター保守点検業者へ通報します。

もしエレベーター内に閉じ込められた居住者等がいたら、緊急手配したことを報告し安心させてあげましょう。かご内の人は不安に駆られているので、業者が来るまで、インターホンで話しかけ落ち着かせるように努めることも大事です。

通話装置が付いているエレベーターは、非常時はエレベーター会社と直接通話ができるようになっています。また、最近のエレベーターには地震時管制運転装置、火災時管制運転装置、停電時管制運転装置(いずれの装置も、エレベーターを最寄り階で停止させることができます。)が付いているので、非常時にも安全に避難できるようになっています。
(マンション管理員は担当されているマンションに設置されている管制運転装置を確認しておくと緊急時に焦ること無く対応できますよ。)

 

そして一旦落ち着いた後は必ず警報装置作動原因を調べておきましょう。
・原因が不明の場合、修理・点検の手配を担当フロント経由で依頼します。
・普段から緊急時の手順書を作成しておくだけでも安心できます。

 

受水槽・高置水槽

受水槽・高架水槽の日常点検においては、貯水槽の衛生的環境及び良好な水質を確保することに努めます。

《標準点検事項》

部位点検内容
水槽本体破損、亀裂、腐蝕、漏水、汚損、発錆
水槽周囲整理整頓、フェンス等の破損
防虫網破損(オーバーブロー管、通気管)

異常の場合は、担当フロント、管理組合役員様へ報告し、指示を仰ぎ対応しましょう。

もし点検のために受水槽、高置水槽を囲っている柵内に入るために開錠して入る場合は、点検後施錠を忘れないこと。忘れてしまうと事故に繋がりますから。

 

満減水警報

受水槽及び高置水槽の満減水が原因で警報が作動した場合は、所定の対応措置をとることになります。
原因が不明な場合は、マンション全体の飲料水に関することなので、その原因を協力会社等と共に早期に解明し、改善する必要があります。

 

受水槽・高置水槽満水の場合の対応
オーバーフロー管を確認し、排水されている場合は担当フロント、協力会社と相談の上、
・給水ポンプを停止する
・給水バルブを閉止する
等の措置を行います。

なお、警備会社の警備員が現地に到着している場合は、警備員にも対応を依頼しましょう。

一旦落ち着いた後はエレベータの時と同様、以下の点も確認しておきましょう。
・原因が不明の場合、修理・点検の手配を担当フロント経由で依頼
・普段から緊急時の手順書を作成しておくだけでも安心できます。

 

断水・濁り水

マンション周辺で水道工事が行われる場合、断水、濁り水の対応が必要となる場合があります。
断水に備えて居住者が汲み置きなどが出来るように便宜を図る必要も出てきますので、水道工事会社の方から注意事項を確認しましょう。
また、居住者の生活に支障を来たさないよう、慎重に対応していくことも大切です。
・水道局からの断水のお知らせを預かったらまずは内容を確認しておきましょう。
・【断水のお知らせ】を所定の場所へ掲示します。
・指示があった場合は工事開始前に受水槽の元バルブ、止水栓を閉ます。
・工事終了後、管理室の水道直結の水栓から濁り水が出ないか、水に異常がないかを確認します。
・異常がなければ、受水槽の元バルブ、止水栓を開けるます。
・異常があり別途対応が必要な場合は協力会社に確認するなどして対応します。
・断水・濁り水が始まる1時間前までに、汲み置きなどの作業を終了しておくこと。

 

給水ポンプ

給水ポンプが故障すると、断水により居住者の生活に支障を来たすこととなるため、日常巡回点検で断水、劣化による故障を未然に防止する必要があります。

 

  • 揚水ポンプ(受水槽あり)

揚水ポンプ点検例

ポンプ異音、悪臭、振動、過熱
自動交互運転
グランド水滴下状態
架台振動、錆、ぐらつき

●増圧直結給水設備(貯水槽なし)

増圧直結給水設備点検例
①水道直結のため行政で年1回以上の点検が義務付けられています。
②ポンプモーターの点検
・塗装、錆、腐蝕及び欠損の外観点検
・メカニカルシールからの水漏れ
・運転音
・本体の振動、発熱状況
③逆流防止装置
・行政で年1回以上の機能点検(専門業者へ委託)

点検作業に支障を来たさないよう、ポンプ室に建築の残材などを残さないようにしましょう。

 

消防用設備

消防法では有資格者による機器点検を半年に1回、総合点検を年に1回行うよう規定しています。日常の巡回点検では、特に消防用設備の破損、腐蝕、盗難を重点的に点検します。

 

消防用設備点検のポイント

①破損 ②腐食 ③盗難

主な設備の点検事項

①屋内消火栓発錆、腐蝕、変形、損傷、表示灯、ホース、非常用押しボタン
②消火器発錆、腐蝕、紛失、損傷、封印、ノズル、有効期限
③感知器破損、変形、損傷
④避難誘導灯破損、変形、損傷、球切れ
⑤連結送水管損傷、変形、損傷
⑥設備周辺ダンボール等、点検に支障のあるものを事前に移動

 

緊急時に使用できないので常に開ける状態を確保しておきましょう。

 

排水桝・汚水桝・雨水桝

台風シーズン前、梅雨入り前は特に次のチェックを行います。
・排水桝に泥砂、ゴミ等が詰まっていないかを確認すること。
・泥砂、ゴミ等は取り除くこと。

もし敷地内のマンホール蓋が破損している場合は、担当フロント、組合役員様に報告し、指示を仰ぐぎましょう。

 

如何でしたでしょうか。
今回は『巡回点検業務』について残り部分を解説しました。

物件によってはこれ以外の施設や設備がありますので、都度対応方法を確認しておきましょう。
何事も最初は知らないことが多すぎて大変に思えますが、多種多様な対応があるけれどもしっかり準備をしていれば難しくはありません。

その準備の中には官公庁及び関係者等の電話番号一覧表を用意しておくことも重要です。
事が起こった時に”電話番号から調べなければ・・・”となったらかなりのタイムロスになりますから。

次回は立会業務についてお話しますね。
乞うご期待ください!!

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竹林貞治

ホームライフ管理
管理本部 人事総務部 総務課
竹林 貞治(たけばやし さだはる)

10数年人事総務部で過ごし、約4年ほどマンション管理員をサポートする部署へ異動。現在は人事総務部へ出戻ってきました。
支えるだけの『縁の下の力持ち』にとどまらず、自ら動くことによってチームが活発になる『潤滑油』になることをモットーにしています。

マンション管理員をサポートする部署在籍時はマンション管理員による的確な事務手続きや担当フロントとの良好なコミュニケーション、
居住者のためにより快適な空間を提供するためにマンション管理員のスキル向上をサポートしていました。
人事総務部へ異動となりましたが引き続きマンション管理員研修にも携わることとなりましたのでこれからもよろしくお願いいたします。


ちなみに人事総務部では障がい者雇用に携わり手話を覚え、現在も聴覚障がいの社員と手話で会話していることが特技かな??
週末はボーイズリーグや少年野球の審判をして体を動かし健康も気にかけていますが一向に痩せないのは何故だろう・・・。

保有資格
・マンション管理士
・管理業務主任者
・警備員指導教育責任者
・宅地建物取引士
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