【国家資格】分譲マンション管理に必要な「管理業務主任者」について

立花晴太郎

こんにちは。あなぶきハウジングサービスの立花です。

前回、マンション管理業務の主役を担うフロントマンの適正、仕事内容についてご紹介しましたが、このフロントマンの業務を行ううえで、是非取得していただきたい国家資格があります。

それが「管理業務主任者」です。

初めて耳にする方もいらっしゃるかもしれませんが、マンション管理業を行ううえでは、最も重要な資格のひとつです。

管理業務主任者とは

2000年に成立したマンション管理適正化法に基づき誕生した国家資格です。

業界では略称で「管業(かんぎょう)」と呼ばれています。

マンション管理業者は、「成年者である専任の管理業務主任者を30管理組合につき、1人以上の割合で設置する義務」があります。

つまり、管理させていただく物件数に応じて一定数の管理業務主任者を確保しなければ法律違反になってしまいます。

また、管理業務主任者には、4つの独占業務があります。

  1. 管理受託契約前の重要事項説明
  2. 重要事項に関する書面への記名・押印
  3. 管理受託契約にかかる契約書への記名・押印
  4. 管理事務に関する報告

この4つの業務は管理業務主任者しか行うことができないということです。

資格がないとフロントマンとして働けない?

管理業務主任者の資格がないとフロントマンとして働けないかというと、決してそうではありません

当社のフロントマンも新卒入社・キャリア入社時は管理業務主任者の資格を保持していなかった方もたくさんいます。

前述のようにマンション管理業者は管理受託する30管理組合(物件)に対して1人の割合で管理業務主任者を設置しなければいけません。

フロントマン1人あたりの担当物件数は、もちろん会社によって違いますし、物件の規模等によっても変わってきますが、おおよそ1人あたり10~20棟のマンションを担当します。

仮に、50管理組合の管理をしている事業所だとすると、必要な管理業務主任者は2名ですが、フロントマンは3人~5人くらい在籍することになりますから、必ずしも全員が資格者である必要はないわけです。

また、後で詳しく説明しますが、管理業務主任者の独占業務は、年に何回も発生するようなものではなく、日常のフロント業務については基本的には資格を必要とするものではありません。

管理業務主任者でないと行えない業務

管理業務主任者には独占業務(管理業務主任者しか行えない業務)があるとお話しましたが、具体的にどのような場面で行う業務なのでしょうか。

管理委託契約を締結するとき

管理委託契約の契約期間は、一般的に1年~2年間の契約期間としているケースが多いです。

この1年~2年間の契約を更新する時、もしくは新規の契約を行うときに、契約の前に契約に関わる重要な事柄について管理会社が説明を行うことが義務付けられています。

◆契約条件変更を伴う更新・新規契約

重要事項説明会を開催し、管理業務主任者が区分所有者および管理者(理事長)に対して説明を行う。

◆従前の契約と同一条件の更新

管理者等に対して、管理業務主任者が説明を行う。(区分所有者全員に重要事項説明書を交付)

つまり、基本的には担当マンション1棟につき、1年~2年に一度、重要事項説明をするタイミングがあり、その際は上司や同僚の管理業務主任者に同行してもらい、説明をお願いしなればいけないということになります。

管理事務の報告を行うとき

マンション管理業者は、管理組合の事業年度(1年間)の終了後、遅滞なく、管理事務の報告をしなければいけません。

◆管理事務報告の内容

一 報告の対象となる期間

二 管理組合の会計の収入及び支出の状況

三 前二号に掲げるもののほか、管理受託契約の内容に関する事項

それぞれの管理組合によって決算月は違いますが、一般的に決算を迎えて1ヶ月~2か月以内に「決算理事会」を開催し、その場で管理会社が管理者等に対して上記の管理事務報告を行います。

つまり、担当マンション1棟につき1年に1回必ず発生する業務になります。この管理事務報告も管理業務主任者しか行うことができない業務であり、有資格者ではない場合、重要事項説明同様に上司・同僚の管理業務主任者に同行してもらう必要があります。

 

管理業務主任者試験

管理業務主任者の試験は年1度、例年12月の第1日曜日に開催されます。

2020年の試験は、札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、福岡市、那覇市の全国7地域で実施されました。

年々資格の知名度もあがっており、近年は書店の資格コーナーに行くと、各出版社から様々なテキストや問題集が棚に並ぶようになりました。それに伴い試験は難化傾向にあると言われています。

ちなみに管理業務主任者は、特に受験資格に制限はありませんので、学生の方、マンション管理会社に勤めていない方、誰でもチャレンジすることができます。

 

試験日 例年12月第1日曜日(年1回)
問題形式 四肢択一 50問 マークシート形式
合格率 例年おおよそ20%前後
受験者数 15,591人(2019年試験)
合格者数 3617人(2019年試験)
受験資格 制限なし

 

当社の資格取得支援

当社では、社員の資格取得支援に力を入れており、試験の約半年前から「合格プロジェクト」と銘打って、様々な支援をしています。社内模試の実施や、元資格試験予備校講師の経歴を持つ社員によるオンライン講座も開講しています。今年度も多くの社員が受講し、先日実施された本試験でも、多数の社員が予想合格ラインを超える結果を残しました。

元プロ予備校講師から直接、合格へのポイントを教えてもらえるのは、合格をたぐり寄せるうえでとても有益なのではないかと思います。

元資格予備校講師・仲井先生の過去の記事はこちら

 

まとめ

以上、管理業務主任者の資格についてご紹介しました。

「管理業務主任者=良いフロントマン」というわけではありませんが、プロフェッショナルとしてお客様の大切な資産の管理をサポートさせていただくうえで、是非取得していただきたい資格です。

また、マンション管理業は様々な分野の知識を必要とする仕事であり、管理業務主任者以外もフロントマン業務の周辺知識に関連する資格はたくさんあります。どの仕事にも言えることですが、常に自分の知識を広げ、業務に生かしていくチャレンジングな姿勢は、フロントマンとして大事なマインドなのでなないかと思います。

 

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立花晴太郎

あなぶきハウジングサービス 立花 晴太郎(たちばな せいたろう)
宮城県仙台市出身。分譲マンション管理(フロント)業務、新規受託営業に従事し、様々な地域の様々なマンションに携わらせていただきました。「より快適なマンション」へのヒントになるような情報を提供していきます。
保有資格:マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引士、マンション維持修繕技術者
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