初めまして、社内の必須資格・宅建の講師をしている仲井です。長年の講師の経験を生かし、これから皆さんのお役に立てたら嬉しいです。試験を目指している方、不動産に興味のある方、法律知識をつけたい方、ご参考になさってください。
宅建試験の中でも点を取りにくいといわれる「権利関係」分野の民法。
今回は「意思表示」をテーマに問題を解く際の3つのポイントをお伝えします。
目次
- 問題を解くときは必ず図を書く
- ここが覚えにくい
- こう考えよう!
問題を解くときは必ず図を書く
「A」が主張できるのか、「C」が主張できるのか、取り違えると答えが逆になってしまいます。図を書くことによって問題文の意味を正確に捉えるようにしましょう。
ここが覚えにくい
例題
AがBに騙されてBに「売ります」という意思表示をし、さらに買主Bが第三者Cに転売した場合を考えてみましょう。
この場合、①当事者AB間の効力(取消しか、無効か)、および、②事情を知らないCに対する関係(「契約がナシになったのだから返せ」と言えるか)、が問題になります。
こう考えよう
①当事者間の効力を考える
詐欺と強迫の場合、だまされた・おどされたという事情はありますが、一応、「この土地」を売ろうと考えて、「この土地」を売ると言っています。
これに対し、虚偽表示は、本心は売りたくないのに、「売ったことにする」というものです。錯誤は、たとえば、「甲が食べたい。甲ください、って言おう」と思って、「乙ください」と言ってしまった場面が典型です。心裡留保は、冗談で「この土地あげる」と言っている場面です。
お気づきですか?虚偽表示・錯誤・心裡留保は、「思っていること」と、「口に出したこと」が違っているのです。
制限行為能力の場合、未成年者等がたまたま有利な契約をしてくることもあるかもしれません。そんな場合まで、契約をナシにする必要はなく、そのまま残しておきたいですね。
これに対し、公序良俗違反の場合、反社会的な契約につき、「契約をナシにします」と言うまでは有効、というのはおかしいですね。反社会的契約は、何も言わなくても、最初っから無効です。
以上から、①当事者間の効力は、詐欺・強迫・制限行為能力は「取消し」、虚偽表示・錯誤・心裡留保(ただし、心裡留保は、相手方が善意無過失の場合のみ)・公序良俗違反は「無効」です。
②第三者との関係を考える
詐欺と強迫を比べると、詐欺の方がちょっとウッカリしていると言えます。しかし、強迫は、こわくて、仕方なく契約しています。詐欺については事情を知らない第三者を、強迫については本人を勝たせたいですね。
虚偽表示と心裡留保においては、「ウソの意思表示をした本人よりも、あたかも本当に契約をしているように見えるという外見を信用した第三者を守るべきである」、という点でそっくりです。
錯誤の場合はどうでしょう?「錯誤の場合、重過失がない・要素の錯誤がある、という2つの厳しい条件をくぐり抜けてやっと無効が主張できるのに、それ以上善意とか悪意とか条件付けたら条件付け過ぎ。2つの条件を満たしたら、もう第三者に主張できてもいいだろう」…私はこう覚えていました。試験で理由は問われませんので、これでいいのです。
制限行為能力の場合、制限行為能力者の保護という趣旨を、また、公序良俗違反の場合、「とにかく無効!」という趣旨を、それぞれ徹底します。
以上から、詐欺・虚偽表示・心裡留保は、「善意の第三者には対抗できない」、強迫・錯誤・制限行為能力・公序良俗違反は、「善意の第三者にも対抗できる」となります。
まとめ
「意思表示」の解き方、いかがでしたでしょうか。民法はとにもかくにも問題に慣れることが大事です!ただ問題を解くのではなく、今回の記事を参考にしていただければ合格の道はぐっと近づくはずです!!
仲井悟史
東京イーストエリアで約10年にわたりマンション管理担当者を経験しています。前職は資格試験予備校で長年にわたり宅建等の講師として教壇に立っていました。その経験を活かし、現在、社内講師も務めています。息子たちと野球をしたり観たりすることが最大の楽しみ。
保有資格:管理業務主任者・マンション管理士・マンション維持修繕技術者・宅地建物取引士
特技:中国語
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