気温上昇を食い止めろ!?気候変動対策としての森林環境税 その②

田中 智恵

みなさん、こんにちは!

通勤途中に公園や家屋の木を見るのですが、ぐんぐん葉を伸ばしているものもあれば、葉の色が変色したり、ぐったりしているものもあります。木の種類によって今年の暑さは耐えられるものと耐えられないものがありそうです。

前回、森林環境税は国の特別会計に収納された後、都道府県・市町村へ譲与される時は森林環境譲与税となります、とお話しました。

今回は森林環境譲与税を見ていきますね。

どこにいくら譲与されているの?

実際の配分金額を見てみましょう。譲与金額合計の多い順に並べてみました。(都道府県分・区域内市区町村計は9月・3月譲与額の合計)

令和5年度 森林環境税譲与額 (単位:千円)

 県名   都道府県分  区域内市区町村計   譲与額合計
 1  北海道   454,229   3,330,956   3,785,185
 2  東京   227,134   1,665,644   1,892,778
 3  高知   203,224   1,490,332   1,693,556
 4  岐阜   199,799   1,465,206   1,665,005
 5  兵庫   188,263   1,380,607   1,568,870
 6  長野   186,928   1,370,780   1,557,708
 7  宮崎   184,332   1,351,792   1,536,124
 8  岩手   182,279   1,336,736   1,519,015
 9  静岡   180,664   1,324,880   1,505,554
 10  愛知   179,782   1,318,395   1,498,177

総務省HP 令和5年度における譲与額 より

いかがでしょうか?
森林の多いところに多く譲与されているはずなので、面積も大きい北海道が1位、というのは納得です。
でも、2位が東京になってますね。譲与基準に「人口」があり、それが大きく影響しているようです。

それ以外はどうですか?みなさんの森林が多いイメージの県と一致しているでしょうか?

森林面積が大きい市区町村へ多く譲与されるように割合を決めたはずですが、実際はこんな感じです。

実際、何に使われているの?

譲与された金額がどのように使われているか見てみましょう。

  • 間伐の実施、間伐材の活用
  • 森林所有者への再造林支援のための交付金
  • 森林の資源情報の把握
  • 林業体験・研修・講習会の実施
  • 小学校の内装に地域産の木材を使用
  • 基金として積立

・・・などです。

間伐を行って、森林の生育環境を整える。人工林を一度伐採し、新しく苗木を植える。森林の基本情報を把握し、植栽計画や林道整備などに役立てる。林業の担い手不足を補うために研修や講習会を開く。地域の木材を使用することで林業や製材業の発展を促し森林を活用するということですね。

しかし、都市などでは、受け取った金額をそのまま「基金」として積み立てるだけのところもあります。せっかくの税金が使われないままになっているのは、残念ですね。都市部での森林環境税の使い道はどうしたらよいでしょうか?

東京の荒川区の使い道について見てみましょう

荒川区では、友好都市協定を締結している福島県福島市と令和4年5月に「荒川区と福島市との森林整備の実施に関する協定」を締結。
同年度より、福島市の市有林の一部を「あらかわの森」と名付け、相互に連携・協力して整備する事業を開始した。本事業では、子ど
もたちを中心に植樹体験や各種交流イベントを行うなど、森林整備・環境交流事業等の実施と地球温暖化対策の推進の両立を図る。

荒川区 令和4年度森林環境譲与税の使途について

荒川区のように他県の森林整備を共同で行うのは、よい考えですね。でも、都市部の譲与金は使う前にひとつハードルがあるようです。そもそも都市部に配分される金額をさらにもう少し減らす事が必要なのかもしれません。

森林環境税はその使い道をインターネットなどで公表しなければいけないことになっています。

私達国民はちゃんと目的に沿った使い方をしているのか、これからも見ていく必要があるようです。

二重課税のところがあるって本当?

実は森林環境税が始まる前から市町村が独自に課税しているところがあります。

2003年の高知県が導入した後、各地で導入開始され、最近では2014年度に群馬県と三重県が導入を始めました。全国でその数なんと35県!

林野庁 これまでの森林・林業白書 平成26年度森林及び林業の動向より)

名称もそれぞれで、「森林環境税」と同じ名称のところもあれば、「森づくり税」とか「緑の県民税」という名称がついたものもあります。目的は、間伐や針広混交林への整備、地域ボランティア支援などがありますが、森林環境税とほぼ同じようです。

税金の徴収方法はほとんどの県で、県民税と一緒に個人の場合は500円~1000円の定額を、法人の場合は5~11%の定率を上乗せする方法になっているようです。

みなさんもご自身がお住まいの県でどんな名称の森林整備のための独自課税があるのか、いくら課税されているのか、何に使われているのか、調べてみてくださいね。

まとめ

さて、2回にわたって森林環境税・森林環境譲与税について見てきました。

いかがだったでしょうか?
気候変動対策というと、何か大きなことのように思えますが、要は私達がこれから快適に暮らせるように、ということだと思います。個人で他にできることがあればやっていきたいと思います。

 

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田中 智恵

あなぶきハウジングサービス 
財務・経理本部 経理課
田中 智恵(たなか ちえ)

2009年入社
2年程組合の庶務業務を経た後、会社の経理業務に携わってきました。
現在は、九州エリアの経理を担当。
主に預金関係、売上・原価のチェック、立替精算書チェック、問い合わせ対応を行っています。

趣味:庭の手入れ、音楽鑑賞、読書
資格:日商簿記二級・管理業務主任者・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士ほか
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