あなぶきハウジングサービスの生山です。
今回は分譲マンションのサブリースについて、「そもそもサブリースって何??」というところから、“メリット”、“デメリット”、“注意点”についてお話します。知らないと損してしまうこともありますので、分譲マンションの賃貸を検討している方は是非参考にしてみてくださいね!2021
サブリースとは
まず、「そもそもサブリースってなに??」というところからご説明します。
一般的に「サブリース」というのは、「大家さんが不動産会社に物件を一括借り上げしてもらい、毎月安定した家賃収入を得るためのシステム」という認識がされています。
その認識でいいんですが、正式には、
不動産会社が大家さんから物件を一括して借り上げることを「マスターリース」、
借り上げた物件を第三者に転貸(又貸し)することを「サブリース」
といいます。
ちょっとややこしいですが、この「マスターリース」と「サブリース」の組み合わせが、ひっくるめて「サブリース」と呼ばれるようになっている、ということです。
分譲マンション「サブリースシステム」のメリット
分譲マンションの一室でサブリースシステムを利用することのメリットですが、不動産会社が借り上げてくれるので、空室かどうかに関わらず、毎月安定した賃料収入を見込むことができます。
賃貸に出しても、『ずっと空室なら家賃収入はずっと0』、その期間も「管理費」や「修繕積立金」などの費用は支払わなければなりませんので、賃貸経営という面では赤字になってしまいます。
「せっかく借主が決まっても、すぐに退去したらどうしよう…」
「家賃の滞納が発生したらどうしよう…」
そういう不安はサブリースシステムを使えば解消することができます。
分譲マンション「サブリースシステム」のデメリット
「毎月安定した家賃収入があるのであれば、サブリースが良いに決まっている!」
と思うかもしれませんが、当然ながら“デメリット”があります。
それは、借り上げ賃料が相場家賃よりも安いこと、です。(当たり前ですけどね…)
不動産会社はお部屋のオーナーから借り上げた賃料より高い賃料で転貸します。
言い換えれば、周辺の賃料相場等から「この位なら貸せるだろうと想定される家賃」を査定して、そこから空室リスクなどを考慮したうえで借り上げる賃料を決めます。
例えば家賃10万円で貸せる物件があったとします。
サブリースシステムを使って不動産会社がこの物件を8万円で借り上げてくれたとすると、本当は10万円の家賃収入があった(かもしれない)のに、毎月8万円の家賃収入しかない、ということです。
不動産会社も、いくら安く借り上げてもずっと空室だと赤字になってしまいますので、借り上げ賃料はシビアに査定されることとなります。
知らないと損する!お部屋の「本当の家賃相場」
『借り上げ率』(『保証率』、『設定率』など言い方は様々ですが…)に騙されないでください!
『借り上げ率』というのは、”家賃の○%で借り上げます”というものです。
サブリースシステムで2社の不動産会社を検討することになって、
「家賃の80%で借り上げます」というA不動産
と、
「家賃の90%で借り上げます」というB不動産
があったとします。
あなたはA不動産、B不動産、どちらの不動産会社の方が良いと思いますか?
ここで注意しなければならないのは、
『家賃の○%で借り上げる』、というところの『家賃』というのは、不動産会社が出した査定家賃のことです。
先ほどの例で、
A不動産の査定家賃が9万円だったとします。
借り上げ率が80%ですから、9万円の80%…
A不動産の借り上げ家賃は・・・72,000円ですね。
B不動産の査定家賃は8万円だったとします。
借り上げ率が90%ですから、8万円の90%…
B不動産の借り上げ家賃は・・・そうです、同じ72,000円です。
ちょっと極端な例ですが、実際によくあることです。『借り上げ率』に騙されないでください!
この例のケースで、実は本当の家賃相場は10万円だったかもしれません。
ですので、サブリースを検討する前に必ず本当の賃料相場を知っておくことが大切です。
そもそも知らないと、普通に賃貸に出すのとサブリースに出すのと、どっちが良いのか判断できませんよね!
(分譲マンションの家賃の決め方については、以下の記事で詳しく説明しておりますので、参考にしてくださいね。)
そのほか「サブリースシステム」を検討する際の注意事項
そもそも借り上げてもらえるか
分譲マンションの一室サブリースというのは、お話ししたように不動産会社にもリスクがあります。ですので、不動産会社がサブリースプランを使える条件を定めているケースが多いです。(築○年未満、駅徒歩○分以内、専有面積○㎡以上…など)
この条件は不動産会社によって異なりますので、そもそも借り上げてもらえる物件かどうかを含めて事前に問合せをしておく必要があります。
健全な不動産会社であるか
必ず確認しておきたいのが、「サブリースを行う不動産会社が健全であるかかどうか」です。
「現実にサブリースをしている会社が倒産した!」という悲惨なケースもあります。
大手の不動産会社だから安心。というわけでもありませんが、しっかりその会社のことを調べておきましょう。
「サブリース会社から送金される家賃が本来支払われる予定の期日より遅れたことが数回ある」というケースは危険信号、要注意!です。
保証免責
サブリースシステムには「賃料の免責期間」というものがあります。
“募集開始より○ヶ月は免責”といった内容の契約です。例えば“免責が3ヶ月”となっていれば、募集開始から3ヶ月は保証しませんよ(その期間の家賃は払いませんよ!)、ということです。ただ、“免責3ヶ月”となっていても、もし1ヶ月後に借主が見つかって契約になった場合は、その時点から賃料を払いますよ、といった比較的良心的な内容のものもあります。
逆に、空室の都度免責期間を設ける契約もありますので、契約をする前にココはしっかりと確認しておきましょう
契約期間
当然ですが、契約をする際には、契約期間と借り上げ賃料が記載されています。何年ごとに借り上げ賃料が見直しされることになっているのか、というのも必ず確認しておきましょう。
途中解約と違約金
サブリースシステムは、ほとんどが途中解約できない(途中解約は違約金が発生)という契約になっています。売却したいのに違約金があって売却できない、ということも想定されますので途中解約と違約金についても契約前に必ず確認しておいてください。
まとめ
サブリースを行っている不動産会社はたくさんあります。
「サブリースというのは、不動産屋さんが必ず得をするシステムなんだ!」
という見解もあるようですが、一概にはそうとも言えません。特に分譲マンション一室のサブリースはマンション一棟、アパート一棟のサブリースとは違います。
サブリースを検討するときは、まず自分の物件の正確な賃料と物件の特性を知ったうえで、メリットもデメリットを総合的に勘案して、どうするか考えるべきです。
例えば、「すぐに決まる物件なのか、立地的に決まりにくい物件なのか」によっても、サブリースにした方が良いのか、普通に賃貸に出した方が良いのかの判断は変わってきます。
普通に賃貸に出しても、不動産会社に管理をお願いすると、毎月、管理料というものが発生します。分譲マンションの場合は、これに加えて毎月管理組合に支払う管理費・修繕積立金も発生します。毎月発生する費用を整理して、収支を計算しておく必要がありますが、一番大切なのは「どういう目的で、将来その部屋をどうするために賃貸に出すのか」を明確にしておくことですね!
生山 亨
分譲マンションの管理担当(フロント)を経て賃貸仲介・賃貸管理・売買仲介・総務業務を経験。長年やってきた賃貸業務、中でも特に空室の改善、対策は得意分野です。現在は、あなぶきスペースシェアにおいて宿泊事業・マンスリー事業を行っています。
保有資格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・管理業務主任者
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