マンション・住宅の建築用語講座~入門編~

木須 拓己

こんにちは、あなぶきハウジングサービスの木須です。

以前、お客様との打ち合わせ中にパッと言ってしまった専門用語、「長押」という言葉に、「長押ってなんですか?」との疑問。普段、なるべく専門用語を使わないように気を付けているのですが、この言葉だけは、この言葉でしか説明がつかないのです。

そこで今回は、普段使わないけれど、言われたら聞いたことがあるような、お部屋の中の“部位”の名前をいくつかご紹介します。

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現在でもよく使われている住宅の部位名

基本的に日本の部屋内の部位名は、和室が一般的だった時代からの名残りで、現在も使われている言葉が多くあります。和室だけでなく、洋室でも部位の名前は業界的にはそのまま受け継がれ使われています。

ですので、和室のイラストをもとに各部位の説明と言葉の由来等をご紹介していきますね。

【用  語】廻り縁
【よみがな】まわりぶち
【意  味】壁と天井の間に入れる部材のこと。

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天井と壁の接する部分に取り付ける見切り縁の横材。廻り縁を隠して納める「隠し廻り縁」というものもあります。

現在の洋室であっても、廻り縁が使用される場合があります。天井のクロスと壁のクロスの境目にあたりますので、クロスの剥がれや隙間を隠す目的で使われたりします。意匠性は好き嫌いがあるかと思いますが、洋室で廻り縁を使用することは非常に丁寧な仕事だと言えます。

【用  語】長押
【よみがな】なげし
【意  味】入口襖上部に床と平行に部屋を取りまくように入れる化粧材のこと。

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長押は「化粧材」と言われるように、特に機能上の意味はありません。

一説には、
「長押は投石と書く説がある。武士の城館では長押の上に小石を置きならべている。討入られた場合の室内戦闘に使うためである。」と言われています。
これを聞くと、少し納得できますよね。

現在の和室(半分洋室化していますが)でも、壁の天井に近い中央付近に、床と平行に木の板が付けられることがよくありますが、れこそが長押の名残で、実際には意匠性のみで取り付けられています。

【用  語】鴨居
【よみがな】かもい
【意  味】障子・襖等の建具をはめる開口部の上部に渡す溝付きの横木。

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一見、長押のように見えますが、襖や障子のために溝が掘ってある部分が鴨居にあたります。

“鴨”という鳥の名前が付いていますが、語源としては、
「上のほうにあることから「かみい(上居)」が音変化した」という説、
「防火のまじないから水鳥である鴨が居る形に作った」という説、
「部屋の入口であることから神社の「鳥居」に対して「鴨居」にした」
という説等があります。

【用  語】敷居
【よみがな】しきい
【意  味】障子・襖等の建具をはめる開口部の下部に渡す溝付きの部材。

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「敷居が高い」等で使われますね。

数々の俗信があり、これを踏んだり枕にすることは嫌われ(地方によっては早死するとも)、嫁が婿の家に入るときは敷居の所で死と再生を意味する儀礼が行われていました。また、敷居越しに物をやりとりするのは葬式の作法だとして忌まれることも。

【用  語】畳寄せ
【よみがな】たたみよせ
【意  味】柱の一番下のところで壁と畳の間に入れる部材

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畳と壁の下部が接する部分に取り付ける見切り部材。床、壁の仕上げの定規の役割も果たしています。

通常、真壁(柱が見える壁。和室の壁。)の部屋に設けるものを、こう呼びますが、現在の大壁(柱が見えない壁。洋室の壁)造りの和室でも畳寄せと呼ばれます。

本格的な和室でしか使われない部位名

日本の洋室化に伴い、耳馴染みがなくなった部位名を少しだけご紹介します。

【用  語】竿縁
【よみがな】さおぶち
【意  味】天井板を押さえて天井を張る際に用いる部材。

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主に、一戸建ての和室の天井に用いられるもの。ですが、現在では格式の高い和室造りでしかお目にかかれません。

竿縁とは、30cmまたは60cmの等間隔に平行に取り付けられる細長い木材。化粧材としての役目も果たしています。その上に天井板を張って仕上げた天井を竿縁天井といいます。

【用  語】付鴨居
【よみがな】つけがもい
【意  味】和室の開口部のない壁面に取り付けた化粧の鴨居。

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和室でしか見ることができない部位です。鴨居と同じ大きさで同じ高さに取り付けるられ、鴨居のように機能を持たない意匠性のみの部材です。

【用  語】框
【よみがな】かまち
【意  味】床の間や玄関の部分に横に入れる化粧材のこと。

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和室だと、床の間に使われます。いろいろな銘木や塗り物の材料を用い、それにより床の間の格式を上げたりします。
玄関と廊下の一段上がるところに用いる部材も同じ呼び方をします。

【用  語】落とし掛け
【よみがな】おとしがけ
【意  味】床の間の上部に床と平行に入れる部材のこと。

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一説では、
「昔は床の間に殿様がいて、殿様の首を獲ろうと敵が来たときに落とし掛けを刀で落として敵がその落とし掛けにてこずっている間に殿様が地窓から逃げれるようにするものだった。」という謂れがあるそうです。

まとめ

いかがだったでしょうか?知っている言葉もあれば、初耳な言葉もあったかと思います。普段は、ほとんど使わないかもしれませんが、こういった日本古来からの言葉の由来や謂れを知るだけでも、お部屋のその部位が印象に残るようになれば幸いです。

 

 

 

 

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木須 拓己

あなぶきハウジングサービス :木須 拓巳(きす たくみ)
分譲マンション管理会社で専有部(お部屋内)の様々なサービス開発・企画の立案、リフォーム&リノベーション・室内クリーニング、インテリア商品販売等、お客様の快適な生活をサポートする部署の担当。分譲マンションの管理会社を15年務めた実体験及び情報をわかりやすく伝えるために日々仕事に励んでいます。仕事での心情:ニーズを形にする
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