あなぶきセザールサポートの生山です。
まず、前回のおさらいですが、重要事項説明とは宅建業法という法律において、「宅地建物取引業者(不動産会社)が物件の買主・売主に対して売買契約が成立するまでに、宅地建物取引士という有資格者より重要事項説明書を交付して重要事項説明をしなければならない」と決められていることです。説明を聞いたうえで契約を検討できるわけですので、分からないことなどがあれば、必ずしっかりと聞いて分からないままににしないようにしておくことが大事ですよ、というお話でした。
さて、今回からは“重要事項説明でどんなことを説明されるのか”とそのポイントについてご紹介します。
目次
- 宅建業者に関する事項
- 宅地建物取引士に関する事項
- 売主に関すること
- 建物に関すること
- 敷地に関すること
- 登記簿に記載された事項
宅建業者に関する事項
宅建業者の商号または名称、代表者の氏名、所在地などです。
売主側の不動産会社と買主側の不動産会社がそれぞれ違う場合は2社の情報が記載されています。
宅地建物取引士に関する事項
説明をする宅地建物取引士の名前、登録番号などが記載されています。説明者は宅地建物取引士証を提示しなければなりませんので、取引士証もあわせて確認しておきましょう。
売主に関すること
売主の住所、氏名が記載されています。ここで売主と登記名義人が異なる場合は、なぜ異なるのか、その理由を確認しておく必要があります。
建物に関すること
マンションに関すること(構造や規模、築年月など)、専有部分(お部屋)のこと(床面積や間取りなど)が記載されています。基本的にマンションのパンフレットや図面に書いてあるような内容です。
敷地に関すること
敷地に関する面積(登記簿面積・実測面積)、敷地権の種類が記載されています。敷地権とは登記簿に登記された所有権・地上権または賃借権のことで、建物と分離して処分することができない敷地利用権のことです。マンションの敷地は所有者全員で所有権・地上権または賃借権を共有していますが、その共有している持ち分のことを敷地利用権といいます。敷地利用権は管理規約というマンション独自の規約で定めていない限り、専有部分の床面積の割合によって定められています。
登記簿に記載された事項
建物、土地それぞれ登記簿に記載された事項が記載されています。
「甲区欄」に「所有権に係る権利に関する事項」、「乙区欄」に「所有権以外の権利に関する事項」が記載されています。
「甲区欄」には、所有者かどうかということが書かれています。売主と登記名義人が異なる場合は、その理由を確認しておきましょう。
また、「甲区欄」の「所有権に係る権利に関する事項」が「有」となっている場合は注意が必要です。所有権移転仮登記や差押の仮登記があれば、ココに記載されますが、売買契約後でも所有権を取得できない場合もあります。これらの仮登記を抹消してもらったうえで契約する必要があります。
「乙区欄」には、「所有権以外の権利に関する事項」で抵当権や地役権等が記載されます。
住宅ローンがあれば、銀行等が抵当権者として設定されています。抵当権がついていても問題ではありません。通常、抵当権がある場合は、売買代金で抵当権を外すことになります。
今回のポイントは「登記簿に記載された事項」です。重要事項説明書と登記簿をしっかり確認して、売主と登記名義人は異なっていないか、甲区欄の所有権に係る権利に関する事項が「有」になっていないか、乙区欄に抵当権があれば、きちんと抵当権が抹消されるかどうかを確認しておきましょう。完全に所有権を取得できるかどうか、という非常に大切な項目です。
次回も引続き重要事項説明で説明される内容とそのポイントをご紹介していきます。
生山 亨
分譲マンションの管理担当(フロント)を経て賃貸仲介・賃貸管理・売買仲介・総務業務を経験。長年やってきた賃貸業務、中でも特に空室の改善、対策は得意分野です。現在は、あなぶきスペースシェアにおいて宿泊事業・マンスリー事業を行っています。
保有資格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・管理業務主任者
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