こんにちは、福田です。
私たち人間は生涯健康で過ごせるわけではありません。残念ながら、年月を重ねるごとに老いていくのが常です。
建物にたとえてみるとどうでしょう。
建物は、大気中のCO2の影響によりコンクリートが酸化(中性化)することにより鉄筋が錆び易くなることがわかっています。
関連記事『地震に強くてもダメ?なの?CO2に強いマンションってなに?』
人間の体の変調は定期的な人間ドッグで検診することによって症状の発見が可能です。
そして専門家のアドバイスにより、症状を食い止め、あるいは、改善することができます。
建物にとっても同じことが言えます。建物劣化診断調査(中性化の進行具合・塗膜、タイルの物理的状況具合、鉄部塗装の錆の具合、そして防水の劣化の進行具合等を調査・診断)を行うことで建物の劣化状況の把握ができます。
そしてコンクリートのひび割れ・鉄筋露出・エフロレッセンスなど10~12年ごとの大規模修繕工事でその傷を癒すことが可能です。
劣化の状況に応じて、専門家のアドバイスを受け、新築時の状況に近づけることができます。また改良してグレードアップも可能です。
早期に劣化状況を確認できれば、早めの手当てで修繕コストも省コストで済みます。
日本に現存する最古の鉄筋コンクリートの建物は100年の年月が経っています。
一部には、保存状況が良く、現役で使用されている建物もあります。「超」寿命の建物に維持していくことはたやすいことではありませんが、計画的に修繕を行うことによって建物の耐久性が増すのは事実です。
建築と設備のバランスの取れた修繕計画を実施することで建物の資産価値は維持できると考えます。
また計画修繕にはコストの問題があります。
建物のライフサイクルコストについてバランスの取れた収支が是非とも必要になってきます。
維持費のコストパフォーマンスの高い建物にすることが大切と考えます。
将来はヨーロッパ同様、日本も築150年、200年の建物があちこちに残れるような国になってほしいと思います。
ヨーロッパの人たちが高寿命の建物のおかげで収入が少なくても豊かな人生を送ることができるのはそのためなのです。
日本もそうあってほしいですね・・・。
福田 純行
前職の設計事務所時代に手掛けた設計・監理物件は北海道は北見市から南は長崎の佐世保市まで。今となってはとても懐かしい。現在は主にマンションの大規模修繕工事に関するコンサルティング(大規模修繕工事の改修設計・長期修繕計画(案)の作成等)を担当。人が住むマンションのストーリーを一つずつ守るのが役目です。
目指せ、「チェンジ・ザ・ワールド」・E.クリプトン・・・・グルーブな仕事を
皆さんのために。
有資格:一級建築士
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