先日、「シン・ゴジラ」の映画を見ました。ちょっと、あらすじをご紹介します。
巨大怪獣ゴジラが水爆実験で安住の地を追われ、東京の蒲田に上陸。橋を破壊し、住宅をなぎ倒し、品川方面に北上。反転して海にもどると、2倍に巨大化し、鎌倉に再上陸。自衛隊の決死の攻撃もはね返し、微量の放射線を残しながら都心に向かう。米軍の攻撃も及ばず、国際社会はこの生物への核攻撃を決断した。
しかし、日本は核を回避するため、ゴジラの血液を凝固させる「ヤシオリ作戦」を採用。東京駅あたりで、口から血液凝固剤を注入することに成功し、ゴジラをたおす。政治と行政、軍事と科学、民間の力を、「オールジャパン」で結集し、破局の一歩手前で乗り切ることができた。
ゴジラ襲来で、永田町は大慌て。どの法律で対応するか、害虫駆除だから災害派遣、あるいは治安出動か、超法規的に自衛隊の出動か、法解釈が複雑で即時即断ができない。最後は、戦後初の武力行使命令が発令され、多摩川を防衛線に陸海空の自衛隊が統合作戦でゴジラを総攻撃。
・・・というわけで、国際政治環境と隣り合わせの不安があるなか、日本の将来像を議論するうえでの格好の材料と、話題になっています。スクラップ&ビルドの超法規で都市計画を進める場合の材料としてもいいかもしれません。
(現実的な細かい話)
一方、現実に戻り、私たちは、ゴジラ襲来でマンションが破壊された場合、損害保険は適用されるのか、被災区分所有建物の再建等に関する特別法は適用になるのかなど、疑問が頭をよぎるでしょう。
緊急の集会を開き、対応策を検討しなければなりません。しかし、区分所有者の高齢化や専有部分の賃貸化などで、管理組合の運営が不活性な状態にあるマンションでは、この場合、管理組合の立場に立った専門家のサポートや後押しがほしいものです。
今回は「平成25年度マンション総合調査」の結果をもとに、管理者の選任状況、マンション居住者の高齢化の状況、専門家の活用状況を見てみましょう。
目次
- 管理者の選任状況
- マンション居住者の高齢化の状況
- 専門家の活用状況
- まとめ
管理者の選任状況
「平成25年度マンション総合調査」では、管理者の選任状況をみると、88.2%が区分所有者の理事長であり、区分所有者以外の第三者が管理者となっているマンションは6.0%となっています。
平成25年度では、第三者が管理者になる第三者管理者方式を採用しているケースは少ないですが、今後、役員のなり手不足のマンションが増えてくることを考えると、割合が増えてくると思われます。
第三者管理者方式? ちょっと耳慣れない言葉かもしれません。
簡単に言うと、第三者に管理者になってもらい、管理運営の実務をお願いする方式です。
役員・理事会方式による管理運営に限界を覚えた管理組合が自発的に選択しうるセーフネット的な管理の実施方式として、数年来、各方面から注目を浴びています。
マンション居住者の高齢化の状況
「平成25年度マンション総合調査」では、平成11年度から平成25年度の変化をみると、60歳代、70歳代以上の割合が増加、50歳代以下の割合が減少しており、居住者の高齢化の進展が進んでいることがわかります。平成25年度では、60歳代以上が50.1%、40歳代以下が26.8%となっています。
このアンケート結果をみると、平成11年度と比べて平成25年度では、世帯主の高齢化が進んでいることがわかります。
マンションの高齢化には、「建物の高齢化」と「居住者の高齢化」の2種類があります。建物は、大規模修繕工事や設備の更新でかなり若返りますが、マンション居住者の高齢化は進むばかりです。
平成15年度マンション総合調査でも、管理組合運営における将来への不安として、第1位に居住者の高齢化があげられています。
高齢化が進むと、経済力の低下、実行能力の低下、生活能力の低下が考えられ、とりわけ、実行能力の低下は、端的に言えば、役員のなり手が少なくなることにつながります。管理運営の見直しや大規模修繕工事、建替え問題などを進めるパワーもなく、居住者の合意形成が困難になるという状況に陥る可能性があります。
専門家の活用状況
専門家を活用しているマンションは48.1%であり、活用した専門家は、建築士が24.4%と最も多く、次いで弁護士が18.7%,マンション管理士が16.4%となっています。
マンション標準管理規約第43条(専門的知識を有する者の活用)として、「管理組合は、マンション管理士その他マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者に対し、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりすることができる。」の条文があります。
マンションは一つの建物を多くの人が区分して所有するという形態ゆえ、利用形態の混在化による権利・利用関係の複雑さがあります。また、建物構造上の技術的判断の難しさもあり、マンションを適切に維持・管理していくには、専門的知識を有する者に相談したり、助言、指導その他の援助を求めるなど、専門的分野にも適切に対応することが求められます。
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まとめ
平成25年度マンション総合調査のデータを用い、管理者の選任状況、居住者の高齢化および専門家の活用についての状況をまとめました。
巨大怪獣ゴジラが、マンションをなぎ倒す。あり得ない話のようですが、これをゲリラ豪雨や大地震、津波に置き換えると、現実味が出てきます。
そのとき、管理組合(管理者)はどう動く?
北海道斜里町ウトロ東の「ゴジラ岩」です。ゴジラに似ていませんか?
こちらの写真は、赤ちゃんゴジラです。
散らかし放題!(満1歳)
北林真一
大学卒業後、一貫して不動産業界に従事してきました。
皆さまの大事なお住まい(マンション)のことは私にお任せください。
【得意分野】・合意形成の進め方 ・大規模修繕工事
【モットー】謙虚であれ、誠実であれ
【特技】日本酒と音楽(邦楽除く)は少しだけ詳しいです。
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