マンション役員の方必見!マンション「2つの老い」への対応

北林真一

今後、加速化される建物と居住者の「2つの老い」について

マンションの住民に高齢者が増えてきたなあ、と思っている方へ。
マンション購入後、2回以上も大規模修繕工事を経験したあなたへ。
役員のなり手がいなくて困っている管理組合役員の方へ。

今回は、マンションの「2つの老い」について考えてみましょう。

無題

■本題に入る前に、マンション管理業者の加盟団体のお話をしましょう。

平成13年8月14日に「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の第95条に規定する指定法人の指定を受けた「一般社団法人マンション管理業協会」は、マンション管理業者が協会正会員となり設立されています。マンション管理業協会の前身の高層住宅管理業協会は、分譲マンションが都市型住宅として定着し、管理問題が社会的に大きくクローズされた昭和54年に誕生しております。その時の設立目的には、こう書かれています。

「今や高層共同住宅を無視しては、わが国における住宅問題を語り得ないまでになった。しかし、高層共同住宅のこのような普及は、一方にそこで生活する人々にいくつかの解決しなければならない問題を残している。それの一つには、日本人が今まで知らなかった共同住宅でのモラル作りであり、一つには、共有する財産としての住宅の管理問題である。このような物心両面にわたる高層共同住宅の健全な管理体制を確立するためには、単に住宅を建設・分譲する立場からだけではなく、直接に管理に従事する者の発言を高めるとともに、管理について法制度の拡充や高層共同住宅での良き生活習慣の育成を図らねばならない。」と述べています。

この設立目的を読みますと、マンションの共同生活の初々しさを感じます。協会設立から約30年後の「平成20年度中期事業計画」には、こう書かれています。

マンション住民の高齢化に対応した管理組合運営支援策を検討すると共に経年変化の進んだ建物の資産価値向上のために「標準長期修繕計画指導・コンサル制度」による適切な長期修繕計画の作成を促進し、より良質な維持管理等の実現を図り、今後加速する建物と居住者の「二つの老い」への対応策を実施する」とあります。

目次

  • マンションの現状
  • 高経年マンションの再生について
  • 居住者の高齢化と管理上の問題点
  • 管理形態のいろいろ
  • まとめ

マンションの現状

日本でマンションが供給されるようになってから半世紀。第一次マンションブームで造られたマンションも50歳となり、築年数の経ったマンションが増えてきました。統計によりますと、全国のマンションストック戸数は、約590万戸(居住人口は約1,450万人)と推測され、今や国民の約10人に一人が、分譲マンションに居住していると言え、都心部や地方都市においては、マンションに住むという居住形態は、むしろ一般的と言える状況にあります。

高経年マンションの再生について

マンションは購入した時から、経年劣化がはじまり、快適なマンションライフの継続には、資産価値が下がるレベルを「マンション管理」を通じていかに乗り越え、維持していくかが重要になります。まずは、日頃から建物や設備の状態を把握しておくことが大切。目視などによる日常点検をこまめに行い、劣化のサインを見逃さないことが大事です。
次に、建物は、時間とともに劣化していきます。マンションの場合、外壁の汚れやひび割れ、鉄部のサビなどに加え、各種設備の不具合が出てきます。マンションを良い状態で維持するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。前もって「長期修繕計画」を立て、マンションの共用部分に必要な修繕工事を行う必要があります。

最終的には、マンションの建替えが考えられます。今後老朽化したマンションが急増することが見込まれることに対応して、平成14年12月に「マンションの建替えの円滑化等に関する法律(建替え円滑化法)が施行されております。建て替えに向けて動き出すには、管理組合として正式に建て替えの検討が必要です。

居住者の高齢化と管理上の問題点

平成20年度の国土交通省の調査を見ると、平成11年度から20年にかけてマンションに住む60歳代以上の割合が増加しています。逆に40歳代以下が減少し、平成20年度には60歳代以上が39.4%と、40歳代以下の35.6%を上回っています。マンション居住者の高齢化が加速しています。マンションは自分たちの大事な生活の場であり、貴重な財産です。マンションの役員は数年おきに回ってきますが、現実問題として役員のなり手不足に悩んでいるマンションも多いようです。ましてや高齢化が進めば、役員を引き受けることさえできないという現実もあります。一方、マンションの賃貸化が役員のなり手不足の要因にもなっています。今まで自主管理だったが、役員の高齢化やなり手不足から、そろそろ管理のお手伝いが欲しい状態になってきたという管理組合様の相談も増えてきています。

管理形態のいろいろ

管理組合の運営には、「主体性」「継続性」「公平性」のバランスがよい並列が求められますが、管理会社に頼れる部分は頼りながら、運営の主体性を確保することがポイントです。管理運営のポイントは以下のとおりです。

  • 管理会社にマンション管理運営を全面委託
  • 管理会社にマンション管理運営を一部委託
  • 自主管理を主体とするが、アドバイザーを求める
  • 第三者管理者方式

 

管理組合をしっかりと運営したいが、賃貸化・高齢化で役員のなり手がない場合は、「第三者管理者方式」もあります。最後の手段として、第三者管理者のメリット・デメリットを検討し、管理組合運営を考えてみてはいかがでしょうか。

まとめ

国会でも少子高齢化に関する議論がされていますが、建物の老朽化や居住者の高齢化、特に役員のなり手不足という切実な問題を抱えているマンションもあると思います。今回は、加速化される建物と居住者の「2つの老い」の問題点をまとめてみました。

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北林真一

あなぶきハウジングサービス 北林 真一(きたばやし しんいち)
大学卒業後、一貫して不動産業界に従事してきました。
皆さまの大事なお住まい(マンション)のことは私にお任せください。
【得意分野】・合意形成の進め方 ・大規模修繕工事
【モットー】謙虚であれ、誠実であれ
【特技】日本酒と音楽(邦楽除く)は少しだけ詳しいです。
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