こんにちは。あなぶきコールセンターの和田です。
当センターでは月間で約8,000件の様々なお問合せ・ご相談・ご依頼を受け付けています。
その内容は、マンションライフに関わることから、少し離れた内容まで多岐にわたりますが、その中から、皆さんが関心がありそうなこと、知っていそうで意外とご存じ無いこと等々を取りまとめて発信していきたいと思います。どうかお付き合いください。
今回のテーマは、『濁り水?水道水についての不安を解消するケーススタディ5選』です。
早速ですが、以前当コールセンターで実際に受け付けた下記の問合せ事例をお読みください。
【ご相談内容】
冷凍庫で氷を作ると製氷器の底にカビのようなものができます。水が悪いからではないですか?
エコキュートのタンク内も汚れているのでは?カビや雑菌がないか心配なので、タンクを掃除して欲しいです。
皆さんなら、このようなご相談に対してどのように答えますか?
「あら、うちも温水器のタンク内なんか一度も掃除したことないけど大丈夫かしら?」と急に不安になった方も居られるかも知れません。
今回は、このような水道水に関するトラブルの実際の相談事例をケーススタディ的にお読みいただきながら、マンションで供給される水道水は安心ですよ、というお話をさせて頂きたいと思います。
【ケーススタディ① エコキュートのタンク内は雑菌だらけ?】
先程の事例の当社からの回答は次の通りです。
まず「冷凍庫で氷を作ると製氷器の底にカビのようなものが・・・」については、改めて氷の状態を確認したうえで、氷の内部に白い結晶が残るのは、カビではなく水道水に含まれる空気やミネラル分が固まったものなので安全です、と答えてご納得頂けました。
しかし、「エコキュートのタンク内が汚れているのでは・・・」については、なかなかご納得されません。そこでメーカーに確認することにしました。メーカーからの回答は『エコキュートの中は常に高温の湯で満タン。空気に触れないため雑菌は繁殖しません。』
上記の通り回答すると、相談主のお客様は安心された様子でご納得されました。
「なるほど!」と思った方もいれば、「何だ、当たり前の回答じゃないか」と感じた方もいるでしょう。
仰る通りで当社の回答は至って当たり前の内容です。しかし、このお客様のことはよく覚えていますが、とても不安な様子でお電話いただきました。
インターネットで検索すると、「温水器のタンク内の湯は、高温のために消毒用の塩素が抜けているので、雑菌が繁殖しやすい」とか、「タンク内はこんなに汚れています。定期的なメンテナンスが必要です」などと、不安を煽るようなタイトルのページがたくさん見つかります。このお客様もこういうサイトを見て不安になったのかも知れません。
これらがすべて間違っているとは言いませんが、部分的に虚偽や誇張があるようです。
少し補足すると、高温で保温するうちに消毒用の塩素が抜けてしまうのは事実です。メーカーもタンク内のお湯を飲用に使う場合は、煮沸してからにするよう推奨しています。また、長期間の使用によりタンク内に水垢が付着・沈殿することはあるでしょう。メーカーの見解は下記の通りです。
Q 飲用に使用できますか?
A 飲用される場合は、一度やかんなどで沸騰させてください。
長期間のご使用によってタンク内に水あかがたまったり、配管材料の劣化で水質が変わることがあります。お願い
①給湯器には、水道法に定められた飲料水の水質基準に適合した水道水を使用してください。
②熱いお湯が出てくるまでの配管にたまっている水は、雑用水として使用してください。
③固形物や変色、濁り、異臭があった場合、飲用せず直ちに点検を依頼してください。出典:三菱電機 よくあるご質問FAQ 飲用に使用できますか?
タンク内のお湯を2分程度排水することで、タンクの底の湯垢や沈殿物を押し流します。
目安としては年に2~3回がおすすめです。出典:パナソニック エコキュート お手入れについて
http://sumai.panasonic.jp/hp/5qa/5_4b.html
温水器のタンク内が雑菌まみれな訳ではないことは、先程の事例で紹介したメーカーからの回答の通りですし、そもそも水垢の主成分は、水道水に含まれていたカルシウムなのでタンク内に沈殿していても健康を害するものではないんですよ。気になる方は取扱説明書などを確認の上、タンクのお手入れをして頂ければと思います。
【ケーススタディ② 蛇口から出るお湯が白濁している】
次も、当コールセンターで実際に受け付けた相談事例です。
【ご相談内容】
お湯の蛇口から白く濁ったお湯が出ます。水質に問題があるんじゃないですか?
この事例はいかがでしょうか?「そうそう、我が家も濁ることがある」という方は多いと思います。
この相談については下記のように対応しました。
まず、透明のコップに水を汲んで下さい。数秒も経たないうちに透明になりませんか?透明になる場合は水質の問題ではありません。実際に濁っているのではなく、水道水に含まれる細かい空気の泡でそう見えるだけです。もちろん飲用しても全く問題ありません。
【ケーススタディ③ 急に水道水が臭う、味もまずい】
さあ、ドンドン行きましょう。下記の相談事例なら皆さんはどう答えるでしょうか?
【ご相談内容】
昨日から急に水道水がどぶ臭くなりました。お茶を淹れるとすごく不味い。飲んでも大丈夫でしょうか?
飲料用の水から嫌な臭いがすれば誰しも不安になりますね。このケースは複数のお客様から同時期に同じようなご指摘を受けました。
このケースはどのように対応したかというと、管轄の水道局へ問合せを行って解決しました。
というのも、同時多発的に水道水の味や臭いの変化の相談を受ける場合は、マンション側の給水設備の不具合ではなく、大元の水道水(原水)に原因がある場合がほとんどだからです。
このケースも水道局に問い合わせると「水源地に大量のプランクトンが発生して臭いを発している。活性炭で臭いを除去しているが取り切れないまま給水してご迷惑を掛けている」という事案でした。
(水道局は厳しい水質基準をクリアしないと給水しないので、このような事例であっても当然飲用可能です。)
同様に水道局側に原因があるケースとしては、水道本管が破裂するなどして緊急で水道工事をした直後に、管内の清掃が不充分で泥水や砂が混じった水が流れてしまう事例がありました。この場合は飲用できませんが、しばらく蛇口から水を流せばきれいな水に戻るでしょう。
【ケーススタディ④ 蛇口から赤水が出た】
【ご相談内容】
蛇口をひねったら、赤茶色の水が出てきた。錆のようなものも混じっている。一体どうなっているんだ!
先程の【ケーススタディ③】は、大元の原水に原因がある事例でしたが、マンション側の給水設備のトラブルで水道水に異変が起こる事例も残念ながらあります。
典型事例がこの「赤水」というケース。これは聞いたことがある方も多いと思います。
原因は、給水管内の鉄錆が水道水に混ざってしまうため。マンションは定期的に受水槽を清掃しますが、その際は一時的に断水させる必要があります。また、給水ポンプの故障などで突発的に断水してしまうケースもあります。このような断水後に、給水が再開される時に、給水管内の鉄錆が水圧や水流で剥がれて水道水に混ざってしまうのです。
赤水は、【ケーススタディ③】の泥水のケースと同様で、発生しても通常は一時的な症状なので、しばらく蛇口から水を流したままにして頂くときれいな水に戻ります。
また、赤水の中身は鉄分なので、例えば下記の水道局のコメントの通り、少量を飲用してしまっても健康に害はありません。
安全性
鉄は人体への吸収率が低く大部分が排出されるので、少量の赤水を誤って飲んでしまったとしても、直ちに有害ということはありません。
多量の赤水あるいは鉄の濃度が異常に高い赤水を飲用した場合は、医師に御相談ください。出典:千葉県水道局 赤い水、または濁った水が出てくる
なお、赤水が発生した場合、鉄錆が給水管のストレーナーという部分に目詰まりして、トイレなどから急に水が流れなくなる場合があります。このような時は直ぐに管理会社へご相談ください。
【ケーススタディ⑤ 黒い微物が混ざっている】
【ご相談内容】
水道水に黒い微量の異物が混ざっています。今すぐ調査して欲しい!
このような事例の場合は、実際に現地確認を手配します。何が混入しているのか現物を確認しなければ判断できないからです。また異物が混ざっているのが、1件だけなのか、マンション全体なのかも確認します。
黒い微物の混入の場合は、その部屋だけの現象であれば、蛇口のゴムパッキンが経年劣化などで剥がれ落ちたのが原因の場合が多いです。このお客様の事例も、蛇口の修理をして改善しました。
当コールセンターの事例にはありませんが、もしマンション全体で微物が混じる場合は、給水設備業者を手配して詳しく点検することになるでしょう。
【まとめ】
いかがだったでしょうか?
マンションの場合は、水道本管⇒受水槽⇒給水ポンプ⇒(高架水槽)⇒各住戸へ延びる建物内の給水管・・・と複雑な経路をたどって給水されるので、何か水道水に異変を感じた時に、「マンションの給水設備に不具合が起きているのではないか?」と、不安に感じられる方が多いようです。
しかし、原因や理由が解かると、ほとんどのケースはマンション側の給水設備の不具合ではなく、安全性に問題ない事案であるとご安心頂けたのではないかと思います。マンションは戸数や給水設備の設置状況によって内容の違いはありますが、受水槽清掃や法定の点検・検査などを行うことが義務付けられています。
不安に感じたら、まずはこのブログを思い出してください。そして疑問点は管理会社にご相談頂ければと思います。
和田典久
香川県高松市生まれ。早稲田大学法学部卒。
学生時代は弁護士を志すも夢破れて帰郷し、2001年に入社。最初の配属は賃貸事業部。
高松で賃貸仲介を4年、広島でPM業務を5年務め、2010年12月よりあなぶきコールセンターで全国からのお客様の声に向き合う。
2021年7月からは事業推進本部 業務推進課で分譲・賃貸・CX・コールセンターとも連携した全社的な業務推進を進めていく。
このブログでは、これまでの現場経験を生かしてお役立ち情報を発信していきたいと思います。
珈琲と旅行をこよなく愛する、最近メタボ気味な48歳。
【保有資格】宅地建物取引士 管理業務主任者 賃貸不動産経営管理士
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