分譲マンションを賃貸に出したときオーナーにも火災保険が必要な3つの理由

堅田善之

こんにちは。あなぶきインシュアランスの堅田(かたた)です。

今回の記事は、分譲マンションを賃貸に出しているオーナー様(つまりご自身はそのマンションに居住していないオーナー様)からよくあるご質問をテーマにしました。

それは、ズバリ「火災保険に入る必要があるのか?」というご質問です。

「部屋を賃貸で借りる人が火災保険に入るんだから、自分が火災保険に入る必要はないんじゃないか…」
「でも、火災保険に入ったほうがいいという話も聞いたことがあるし…」

結論はマンションに居住していないオーナーでも火災保険に加入することが必要です。
“なぜ住んでいなくても火災保険が必要なのか”
その3つの理由をご紹介します。

 

目次

  • 1.部屋を借りる人の火災保険では部屋自体は補償されない!
  • 2.他の部屋から発生した火災による被害は賠償してもらえない!
  • 3.マンションだから起こる!水濡れ事故に備える
  • 4.まとめ

 

1.部屋を借りる人の火災保険では部屋自体は補償されない!

まず、部屋を借りる人(賃借人)が入る火災保険の内容をご説明します。
よく「家財の保険」とか「家財保険」と言われますが、それは事故が起こった場合に補償される対象が「家財」になるからです。

・家財とは…家具や家電、衣類など『賃借人が引っ越しの際に持ち込むもの』
※家財の範囲の詳細は各保険会社の約款に定められています。

マンションで火災が発生してお部屋自体や家財に被害が発生してしまった場合、賃借人の火災保険で補償されるのは「家財のみ」です。
そのため、部屋自体(建物部分)はオーナー様が建物部分の火災保険に入っていないと補償されません。

また、賃借人の火災保険には特約として「借家人賠償責任特約」が基本的にはセットされています。
この特約は、部屋を借りている人が偶然な事故で借りている部屋に損害を与えてしまった場合に、大家さん(オーナー様)に対しての法律上の賠償責任を負担する場合に補償します。

言い換えると「借りている部屋をついうっかり壊してしまって、大家さんから修理費用を負担してほしいと求められた場合に対応する」特約です。つまり、部屋を借りている人に原因がない場合は建物部分の損害は補償されません。

部屋を借りる人の火災保険はあくまでも「家財」が対象です。

借家人賠償責任特約が適用できる場合以外の事故で部屋自体に発生した損害を保険でカバーするにはオーナー様ご自身が部屋自体(建物部分)の火災保険に入ることが必要です。

 

2.他の部屋から発生した火災による被害は賠償してもらえない!

マンションの部屋で火災が発生した場合、隣や上下の部屋まで被害が拡大することがあります。
その場合、各部屋の被害はだれが修繕費用を負担するのでしょうか。

答えは「各自」がご自身の部屋の修繕費用を負担します。

日本の民法709条では「故意または過失によって他人の権利を侵害したる者はこれによって生じたる損害を賠償する責めに任ず」とあります。
これは、自分の落ち度などで他人に迷惑をかけたなら相手に損害賠償しなさいということです。

しかし、失火に関して定められた法律で「失火責任法」があり、内容は「民法第709条 の規定は失火の場合にはこれを適用せず。但し失火者に重大なる過失ありたるときはこの限りにあらず」と定められています。

民法で他人に迷惑をかけた場合に損害賠償をしないといけないと定められている原則を「失火の場合は適用しない」としているのです。
※ただし、重大な過失があった場合は除きます。

このため、オーナー様が所有している部屋が近隣の部屋から発生した火災で被害を受けた場合、ご自身で火災保険に入っていないと修理費用を実費で負担しないといけなくなってしまうのです。

失火責任法に関しての詳細は「知っておきたい火災保険の基礎知識「失火責任法」とは」で紹介しています。

 

3.マンションだから起こる!水濡れ事故に備える

共同住宅であるマンションならではの事故として水濡れ事故があげられます。

<火災保険 お支払件数比率>セコム損保ホームページより引用

~マンション~
・給排水設備の事故等による水濡れ(支払件数比率:30%)
・建物外部からの物体の落下、飛来、衝突(支払件数比率:26%)
・風災・雹(ひょう)災・雪災(支払件数比率:17%)
・盗難(支払件数比率:13%)
・火災(支払件数比率:7%)
・落雷(支払件数比率:5%)
・水災(支払件数比率:1%)

~一戸建て~
・風災・雹(ひょう)災・雪災(支払件数比率:33%)
・建物外部からの物体の落下、飛来、衝突(支払件数比率:20%)
・落雷(支払件数比率:17%)
・盗難(支払件数比率:15%)
・給排水設備の事故等による水濡れ(支払件数比率:8%)
・火災(支払件数比率:5%)
・水災(支払件数比率:1%)

一戸建てと比較するとマンションでは水濡れ事故が多いことがよくわかります。
もし上階の配管から漏水が発生して所有している部屋が被害を受けた場合、部屋の復旧費用を火災保険でまかなうことができます。
特に築年数の経過しているマンションは配管が老朽化している場合もありますので、万が一に備える必要があります。

 

4.まとめ

今回、3つの理由から分譲マンションを賃貸に出しているオーナー様が火災保険に入る必要性を紹介しました。
さまざまな要因で所有している部屋が被害を受けることがあり、準備をしていないと思わぬ費用が発生することがあります。

「自分のものは自分でまもる」ためにも火災保険は必要です。

マンションの火災保険は一戸建てに比べて保険料も安いので、ぜひご参考にしていただければと思います。

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堅田善之

あなぶきインシュアランス 堅田 善之(かたた よしゆき) 高知県出身。2008年穴吹興産に新卒入社。2009年3月から株式会社穴吹ハウジングサービスへ転籍し、マンション管理組合の運営サポート業務を経験。 2013年4月から株式会社穴吹インシュアランスへ転籍し保険代理店業務を担当。現在は四国・中国・近畿地方エリアを中心に「住宅購入者向けの火災保険」や「マンション管理組合の火災保険」の提案、事故対応業務、グループ社員向けの自動車保険の提案業務を行っています。 【得意分野】火災保険・自動車保険 【保有資格】ファイナンシャルプランナー2級・宅地建物取引士・管理業務主任者
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