マンションの大規模修繕工事で最優先すべきこと

中西克彦

マンションの大規模修繕工事にとって最優先することは、「安全=事故を起こさないこと」です。

「住みながら工事をする」大規模修繕工事では事故が起こると入居者への危険があります。

入居者はヘルメットをかぶりながら日常生活をしていないので、空から物が落ちてくるとすぐに大事故につながります。

また作業員に事故がおこるような工事現場であれば安心して工事に集中できないので、やはり品質も悪くなるでしょう。

建設会社はたくさんの時間と労力と経費をかけて「安全」を追求しています。

マンションの大規模修繕工事を依頼するなら、ぜひ「安全対策」に力を入れている工事会社を選びましょう。

1. マンション大規模修繕工事の「安全対策」

なかなか入居者の方には目に触れにくい部分ですが、マンション大規模修繕工事の安全管理は、主に下記のような安全対策を行います。

①安全計画の作成

・仮設計画・・・足場の設置や安全通路、ガードマンの配置などを計画します。

・安全衛生管理計画・・安全管理体制や作業所の規則などを現場ごとに計画します。

 

②毎日の安全行動の実施

・新規入場者教育・・・新しく現場に入る作業員に作業所のルールを教育します。

・危険予知活動・・・毎日の作業で発生しそうな「危険」について対策を考えます。

・朝礼・・・毎朝、作業内容・注意事項などを作業員間で周知します。

 

③安全かどうかの定期確認

・安全パトロール・・安全担当などの社員が、足場の点検・現場作業員の作業状況などの

安全を確認するため巡回します。

・災害防止協議会(毎月) ・・災害を防止するため、各工事の職長が協議します。

・現場の巡回 ・・現場の責任者が現場内を巡回し、安全に問題が無いか確認します。

 

④不安全部分の改善

・指摘されたらすぐに安全な状態に直します。

・計画の見直しをします。

・作業所ルールを見直しします。

 

⑤労働基準監督署の立ち入り検査

突然、「労働基準監督署」の職員の検査がある場合があります。大規模修繕工事の現場でも時折あります。

塗料などの成分データ(「安全データシート」)がそろえられているか、「足場が安全な状態」かどうか等を確認されます。

↑労働基準監督署の検査状況

 

2.建設会社の社内の安全活動について

建設会社は社内が一つになって安全に取り組む姿勢で「安全意識」を高めます。「安全意識」を高めるため、次のような取り組みを行います。

・無災害表彰・安全責任者の表彰:年間の無災害時間や安全に対する活動について協力業者の表彰を行います。

・安全に関するスローガンの募集・作成:

よく行われるのが、社内で全社員に安全スローガンを募集して、優秀作を選ぶことです。当社のスローガンは 「安全は一人ひとりが責任者 意識を高めて ゼロ災職場!」になります。

3.まとめ

マスコミなどで報道される建築工事の災害はあとをたちません。最近では、7月8日大阪府柏原市で新庁舎建設のための足場が強風のため倒壊し、JRの線路をふさぐ事故が発生しています。また12月13日 千葉県のマンションでゴンドラ作業中に作業員の落下事故が発生しています。このように工事現場では事故・災害がたびたび発生しています。

このような大きな事故は防ぐことは可能でしょうか?

ハインリッヒの法則という重大事故が起こる有名な法則があります。

1つの重大事故が起こる裏には29件の軽微な事故があり、300件のヒヤリ・ハットした出来事があるという有名な法則です。

上記の2件の大きな事故にも前兆と言えるようなヒヤリとした小さな危険があったのかも知れません。

マンション大規模修繕工事を依頼する際は小さな危険も見逃さないような「安全意識」の高い会社が一番です。

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中西克彦

あなぶき建設工業 中西 克彦(なかにし かつひこ)
2013年入社。中四国・近畿を中心にマンション大規模修繕工事の現場管理をしています。
県外の物件に行くときはアプリで美味しいお店をチェックすることが楽しみです。
保有資格:1級建築士・1級建築施工管理技士
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