マンションの自主管理とは?メリット・デメリットと管理委託との違いを解説

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マンション管理は、住む人々の快適な暮らしを支え、建物の美観を守るために欠かせません。適切に管理が行われていれば、住民の満足度を高めるだけでなく、マンション資産価値の維持・向上にもつながります。

マンションの管理方法には、自主管理と管理委託があり、この記事では、それぞれの違いやメリット・デメリットを解説しています。さらに、自主管理から管理委託に移行する際の手順や注意点についても紹介しているため、今後のマンション管理の参考にしてみてください。

マンションの管理方法

マンションの美観や安全性、快適性を保つためにも、日常的な管理は欠かせません。マンションの管理方法は主に2つあり、管理業者に依頼する管理委託、住民自らが管理を行う自主管理です。それぞれ内容が異なるため、以下で詳しく説明します。

自主管理方式

自主管理とは、マンションの管理業者に委託せずに、住民が管理組合を結成しマンションの維持管理を行う管理方法のことです。管理組合が中心となり、以下のような業務を担います。

・清掃業者の選定や発注

・設備の点検や修繕手配

・管理費や修繕積立金の徴収と管理

・修繕計画の作成や実施

・住民の名簿管理

自主管理方式では、管理業者に支払う手数料が必要ないため、管理費を抑えられます。しかし、多くの業務を住民のみで行う必要があるため、負担が大きい点には注意が必要です。

全部委託方式

全部委託方式とは、マンションの維持管理に関するすべての業務を専門のマンション管理業者に任せる方法です。マンションの意思決定に必要な理事会や総会の運営など、住民が担うべき役割は残りますが、日常的な業務や専門的な知識が必要な部分は委託できます。

住民が管理業務を直接行う必要がなく、プロによる質の高い管理が受けられることから、住民の満足度が向上しやすいのが特徴です。ただし、管理業者に支払う費用が発生するため、コストと負担のバランスを見極めることが肝心です。

自主管理マンションでやるべきこと

自主管理では、マンションの維持管理に関わるさまざまな業務を住民自身で行う必要があります。具体的には、「事務管理業務」「管理員業務」「清掃業務」「設備管理業務」の4つがあり、それぞれの作業を住民で分担して進めます。

事務管理業務

事務管理業務は、マンションを運営するために必要な事務作業のことです。「会計管理」「修繕計画」「会議運営」の3つの項目に分類されます。

会計管理では、管理費や修繕積立金などの収入と支出の調整を行います。日々発生する経費や修繕費の支払いを適切に処理し、マンションの財務状況を正確に把握しなければなりません。ほかにも、過去の収支状況をもとに予算計画をたてる、組合員全員に対して定期的に収支報告を行うなどの仕事もあります。

修繕計画とは、マンションの長期的な維持管理に必要な業務です。建物や設備の状況を把握し、修繕が必要な部分や修繕する時期、予算を計画します。マンションの資産価値を維持し、快適な住環境を保つための業務です。

会議運営とは、マンションの理事会や総会の運営にかかる事務的作業のことです。円滑な会議運営のために、資料の作成、配布といった細かな作業を行います。

管理員業務

管理員はマンションの管理業務を実際に担う役割で、通常、住民の中から選出されるボランティア的な役割で活動します。主な業務には、居住者や来訪者への受付対応、点検や修繕、清掃などで訪れる業者との打ち合わせや作業の立ち合いなどが含まれます。

管理員業務とは管理組合が決めた管理員の業務内容や勤務条件が、適切に運営・管理できているかを確認することです。

管理委託の場合は、管理業者が管理員を派遣し、業務を担当しますが、自主管理では住民が直接管理員を担う、または管理員を雇用することも多いです。

清掃業務

清掃業務は、マンションの美観を保ち、快適な住環境を維持するために必要な業務です。建物内部の共用部分であるエントランスホールや廊下、階段、エレベーターなどは、多くの人が毎日利用するため、常に清潔を保つことが求められます。

建物の外部にある駐車場や駐輪場、ゴミ収集場、花壇、排水溝、敷地内通路などは、ゴミや落ち葉、雨風による汚れが発生しやすいエリアです。マンションの美観を保つためにも、定期的な清掃が特にもとめられます。

設備管理業務

設備管理業務は、大規模な修繕を未然に防ぐために欠かせない業務です。自主管理では、管理組合が中心となって点検スケジュールを作成し、必要に応じて専門業者に依頼するなどの管理責任があります。

具体的には、外壁や共用部分を含む建物全体を対象に、ひび割れや雨漏り、塗装の剥がれなどがないかを確認し、問題がみつかった場合は、適切な修繕計画をたてて対応します。

自主管理マンションのメリット

マンションの自主管理制を採用することで、管理費の軽減や管理意識の向上、住民間の絆が深まるのがメリットです。以下で詳しく紹介します。

管理費が軽減される

自主管理マンションのメリットのひとつは、管理費を抑えられる点です。管理業者に委託する場合に比べ、自主管理は住民自身で維持管理を行うため、管理コストを軽減できます。国土交通省の2025年の調査によると、1カ月あたりの自主管理費の平均は約17,103円です。

とくに小規模なマンションは、管理するスペースが限られているため、住民同士で協力して管理が可能であり、自主管理が選ばれることが多いです。管理費を抑えることで、滞納者が出るリスクを減らせます。

管理に対する意識が向上する

自主管理を採用することで、住民全体の管理意識が高まるというメリットがあります。住民自らが管理に携わることで、建物や周辺環境を大切にしようという意識が芽生えるからです。また、区分所有法や管理規約に基づいて活動するため、全員で決めたルールを守る意識が強化されます。

その結果、共用部分を綺麗に保つ、ゴミの分別を守るなど、住民一人ひとりのマナーが向上します。ルールを無視してゴミを放置する、共用スペースに私物を置きっぱなしにするようなトラブルも減少するでしょう。

住民同士のコミュニケーションが活発化する

自主管理マンションでは、住民が管理業務を共同で行うため、自然と住民間の交流が増え、コミュニケーションが活発になります。

普段あまり接点のなかった住民同士が管理業務を通じて接点を持つことで、会話の機会が増え、お互いの仕事や生活スタイル、性格について理解を深められます。

このような交流は、住民間のトラブルを未然の防ぐことにつながります。また、火災や地震などの緊急時には、お互いに協力し合える関係性を築けます。孤独死といった問題の予防にも役立つでしょう。

自主管理マンションのデメリット

自主管理マンションは住民自身が管理を行うため、管理費用を抑えられます。しかし、その反面、管理業務の負担が住民にかかることや、専門知識が必要となる場面があることに留意する必要があります。自主管理を選択する前に、これらのデメリットをしっかり把握しておきましょう。

管理者になる住民がいない

近年では、管理者のなり手不足が問題となっています。管理者とは、マンションの理事会でトップの役職にあたる理事長のことです。

通常、管理者は住民のなかから選ばれた役員から選出され、住民の代表として、マンション管理全般に責任を持ちます。

しかし、理事や監事の仕事は無報酬であり、それが住民自身の生活に加わる負担となるため、高齢化や共働き世帯の増加にともない、管理者として任務を担える人が減っているのが現状です。さらに、現在管理者を務めている人の中には、高齢で引退を考えている人も多く、後任者を見つけるのは困難です。

もし自主管理マンションで管理者がいなくなれば、管理組合自体の活動自体が停滞し、マンション全体の管理が行き届かなくなる可能性もあります。その結果、建物や設備が劣化し、住環境が悪化する恐れもあります。

マンション自体の価値が下がる危険性がある

自主管理を行う場合、マンションの価値が下がるリスクがあります。

建物を適切に維持するためには、不動産管理に関する専門的な知識が必要ですが、ほとんどの住民は、その知識を持っていません。そのため、正しい管理方法がわからず、共用部分の清掃が不十分となり美観が損なわれる、修繕が必要な箇所を放置してしまうといった問題が生る可能性があります。

これらの問題が積み重なると、マンション全体の印象が悪化し、資産価値が大きく下がる危険性があります。たとえば築年数が浅く、立地条件がいいマンションであっても、適切に管理されていなければ、希望価格で売却ができない、または買い手がつかない状況に陥ることもあります。マンションの価値を守るためには、専門知識を持ったプロに管理を委託するか、住民自身がその知識を取り入れる努力が必要です。

管理が難しい

自主管理マンションでは、日常的な雑務から修繕計画の立案、住民間の意見調整など、様々な作業が求められ、管理に多く時間と手間がかかります。

住民一人ひとりにはそれぞれの生活があり、定年退職後の高齢者や共働き家庭など管理業務に十分な時間をさけないケースもあります。このため管理が滞る、または特定の住民に負担がかかり、その結果トラブルが発生する可能性もあります。

自主管理から管理委託に変更するメリット

自主管理から管理委託に切り替える際には、それによって得られるメリットを十分に理解することが大切です。たとえ管理費用があがったとしても、それを上回るメリットがあれば、費用対効果は十分といえます。

以下で、自主管理から管理委託に変更することで得られる利点を紹介します。

ノウハウを持った企業が管理を担当してくれる

管理委託に変更すれば、不動産管理に関する専門的な知識をもつ企業に管理を任せられます。管理会社は、管理組合の指示に従って以下のような業務を担当します。

・共用部分の清掃や修繕

・会計管理

・トラブル対応

・大規模修繕の策定

とくに、近年では大規模修繕工事が複雑化しており、専門知識と経験が求められます。管理業者に委託することで、手間のかかる雑務だけでなく、専門性の高い作業も任せられます。

住民一人ひとりの負担を軽減し、質の良い管理を提供してくれるでしょう。

管理業務にかかる工数を削減できる

管理業務を業者に委託することで、日常的な作業の負担を大幅に軽減できます。清掃や修繕、会計管理など、多岐にわたる業務を専門の管理業者に任せることで、住民の時間的・労力的な負担が減少します。基本的に、住民は管理状況の確認だけで済むため、手間が少なくなり、安心して暮らせます。

また、管理委託を導入すると、管理業者から理事会や総会の運営サポートも受けられるため、役員の負担も軽減され、スムーズに運営できます。

トラブル対応も任せることができる

管理委託を導入することで、マンション内で発生するさまざまなトラブルへの対応をプロの専門業者に任せられます。マンションでっは、住民間の生活スタイルや価値観の違いから、騒音問題やペット問題、水回りの故障、認知症の方の徘徊など、様々な問題がおこる可能性があります。

自主管理ではそういった場合、理事会が中心となり、話し合いの場を設け、住民間でトラブル解決を試みます。しかし、直接的な対話は、トラブルを悪化させる可能性もあるため、あまり推奨しません。

管理委託では、管理会社が専門知識や経験を活かして、これらの問題解決に対し客観的かつ適切に対応してくれるため、住民は安心して問題解決を任せられます。

自主管理から管理委託に変更する際の注意点

管理委託に切り替えることで、住民の負担が軽減され、専門的なサポートが受けられる一方で、費用や住民間の合意形成といった課題が生じます。以下では、管理委託へ移行する際に考慮すべき点について解説します。

自主管理が限界かどうかを総会で話し合う

自主管理から管理委託に移行する際は、管理費用の増加が避けられません。この費用の増加に関して、住民間で賛否が分かれることもあるため、「自主管理のままでは限界か」を総会で十分に協議することが重要です。

まずは現状を正確に把握しましょう。現在の自主管理における問題を具体的に整理し、住民全体で共有することで、理解と賛同を得やすくなります。

たとえば、以下のような問題がないか確認しましょう。

・管理業務を担う住民の負担が過重になっている

・トラブル対応や維持管理が不十分

これらの問題を明確にすることで、管理委託が最適な解決策であるかどうかを検討できます。また、総会を通じて住民一人ひとりの意見を聞くことも重要です。管理委託に対する不安や懸念を把握でき、「事前に話し合いが足りなかった」といった不満が生じることを避けられます。

こちらの記事では、マンションの総会について詳しく解説しています。あわせてお読みください。

管理費用の値上げについての合意をとる

管理委託への移行に伴い、管理費用の増加について住民間の合意を得る必要があります。値上げを納得してもらうには、増加する費用に対してどのようなメリットがあるかを具体的に説明することが重要です。その際、次のような資料や情報を活用すると効果的です。

・管理委託による住民の負担軽減やサービスの質の向上の具体例

・ほかのマンションの事例や比較データ

・視覚的な資料や図表を用いてのわかりやすい説明

また、管理費の値上げには、管理組合の総会での決議が必要です。国土交通省が定める「標準管理規約」によると、値上げは普通決議で、総会の過半数の賛成があれば実施可能とされています。

ただし、マンションごとに定められている管理規約の内容によっては、特別決議(3/4以上の賛成)を求められる場合もあるため、事前に管理規約を確認することが必要です。

管理業者を吟味する必要がある

管理委託に切り替える際には、管理業者を慎重に選定することが非常に重要です。管理業者選びでは、依頼する業務の範囲や管理組合の方針に合わせた業者の選定が大切です。自主管理の一部を外部委託するのか、すべてを外部に任せるのかによって、適切な管理業者とは異なります。

また、管理組合の方針や理事会の個性に応じた対応をしてくれる業者を選ぶことが大切です。さらに、サービスの品質とコストのバランスも考慮する必要があります。

事前に管理業者の特色や担当物件、近隣のマンション管理業者を確認し、評判を集めておくと安心です。

まとめ

自主管理方式は、住民間の関係が良くなることや、費用を抑えられるのがメリットです。しかし、時間や労力がかかり、資産価値の低下するリスクも伴います。

管理委託に切り替えることで、日常的な維持管理業務を専門業者に任せることができ、住民の負担が大幅に軽減します。さらに、専門的なサポートより、マンションの管理品質が向上し、住民の満足度も高まるでしょう。

あなぶきハウジングサービスは地域に密着したマンション管理を提供している会社です。

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