「進化するコンクリート」・・・鉄筋のないコンクリートのマンションとは?

福田 純行

こんにちは福田です。リオオリンピックは感動しましたね。TVを見るたび、金、銀、銅のメダルラッシュでした。ある報道がこんな解説をしていました。今回の、成功の一因はメンタルトレーニングのおかげです・・・と。このトレーニング方法は外国のチームはいち早く取り入れていたらしいのですが、今回日本も積極的に取り入れた結果が好成績につながったということらしいです。良い効果があったのですね。
進化するコンクリート

 

目次

  • これがコンクリート?
  • ひびの入らないコンクリートは可能?
  • 向かうところ敵なし
  • まとめ

 

これがコンクリート?

さて、今回の題材は「コンクリート」です。まず冒頭にこの写真をごらんになってください。

0909用ブログ挿絵

写真・・・鹿島建設 進化するコンクリートより

https://www.kajima.co.jp/news/digest/feb_2007/tokushu/toku02.html」より引用

これは木材でも、金属でもありません。まさしくコンクリートなのです。

このしなやかさはまず今までの常識からすると理解できません。マジックでもなんでもないのです。実はこのようなコンクリートがすでに開発されているのですね。構造としては鉄筋の代わりに繊維(ビニロン繊維)を体積のわずか2%分ほど加えることで,ひび割れが発生した後でも繊維が引張力を負担して,鉄筋が入っているのと同じような粘り強さを示すというものです。

驚くべき変形性能をもったこの試験体は鹿島建設で開発された製品でECC(Engineered Cementitious Composites)と呼ばれるセメント系材料です。

今までのコンクリートの場合は最初に発生したひび割れが次第に拡がり,そのまま破壊へと至りますが、ECC では発生したひび割れが繊維によってつなぎ止められ,ひび割れは拡大しません。その結果,次々に微細なひび割れが発生しますが,一気に破断することはなく,粘り強く靭性を保持します。 また、引張終局ひずみと呼ばれる引張力に対する材料の変形性能を比較すると,ECCはモルタルの200倍にもなり,さらに,鉄筋の降伏レベルの20倍にも達します。

この優れた性能によって高層マンションの連結梁や土木構造物の補修・補強などに採用されつつあります。コンクリートを現場で打設する,吹き付ける,あるいは工場で製造するプレキャストまで,いずれも使用可能です。また,あらかじめ繊維が混合されたプレミックス材料も販売されており,汎用性の高さも実証されています。

 

ひびの入らないコンクリートは可能?

人類はまた新しいものを手に入れましたね!!鉄筋が必要ないということは錆が発生しないということですよね。建物の鉄筋爆裂も錆汁の劣化現象ともおさらばですね。コンクリート中性化はどうでしょう?コンクリートの強度は中性化とは関係ないことが分かっていますので、仮に中性化が進んでも鉄筋がないのですから特に支障はないですね。まさに夢のコンクリートですね。耐用年数的にはどうでしょうか・・・100年、200年? まだまだ一般の分譲マンションのコンクリートに使用されるまでには今後の実績を見てからになるでしょうけど、実際に横浜の「ナビューレ横浜タワーレジデンス」に採用されました。建物規模はRC/S造で41階建・390戸の高層マンションで、構造体中央の耐力壁を連結する構造梁として採用されました。

 

向かうところ敵なし

実はこのコンクリートの他にも耐腐食性の鉄筋が開発され,沿岸部でも100年、200年も老朽化しない鉄筋コンクリートが実験段階ですが開発されています。SUS製の鉄筋、樹脂皮膜の鉄筋などは以前からありましたが、つい最近、ある研究者が合金製の鉄筋を研究・開発にほぼ成功。コストも抑えた(樹脂皮膜鉄筋とほぼ同じ)鉄筋が開発されています。近い将来にはきっと実現(普及)することでしょう。こうなると「コンクリート」は向かうところ敵なし状態になりつつありますね。

 

まとめ

これからの鉄筋コンクリートの未来は明るくなってきました。

分譲マンションの耐久性が増して大切な資産価値の良好な状態をいつまでも保っていけるようになるとしたら、経済的に安定した社会になるでしょうか?

日本人は同じマンションに100年、200年住む「気力」があるでしょうか?

200年後の使用をイメージしたマンションをデベロッパーは創造できるでしょうか?

築100年、200年経たマンションの売買価格は一体どうなるのでしょうか??

この目で100年後に確かめてみたいのですがちょっと無理ですかね・・・。

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福田 純行

あなぶきハウジングサービス:福田 純行(ふくだ よしゆき)
前職の設計事務所時代に手掛けた設計・監理物件は北海道は北見市から南は長崎の佐世保市まで。今となってはとても懐かしい。現在は主にマンションの大規模修繕工事に関するコンサルティング(大規模修繕工事の改修設計・長期修繕計画(案)の作成等)を担当。人が住むマンションのストーリーを一つずつ守るのが役目です。
目指せ、「チェンジ・ザ・ワールド」・E.クリプトン・・・・グルーブな仕事を
皆さんのために。
有資格:一級建築士
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