今回はどの管理組合でも避けて通れない修繕積立金の改定についてご紹介します。修繕積立金を値上げしないとどのようなデメリットが生じるのかを考えてみましょう。
新築マンションの販売時には修繕積立金が低く設定されているマンションが多くあります。これは分譲業者がマンションを販売しやすくするために価格設定していることが一つの要因です。そしてそのまま修繕積立金を値上げをせず大規模修繕工事を目の前にして、積立金が足りないことに気付くという管理組合も少なくないでしょう。まずは「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(平成23年4月国土交通省策定)」などを参考に修繕積立金額の目安を算出して、自分の住んでいるマンションと比較してみてください。
管理会社から修繕積立金値上げの提案があるとどうしてもマイナスなイメージが湧いてきてしまいますよね。もちろんむやみに値上げをする必要はありません。ただ本当に必要な値上げにもかかわらず、目先の考えだけで値上げ幅を少なくしたり先送りにしたことにより、大規模修繕工事等の多額な費用を要する工事を実施するときに修繕積立金が不足していたらどうなるのかを考えてみましょう。
目次
- デメリット①借入金
- デメリット②一時金徴収
- デメリット③工事費用増加
- まとめ
1.デメリット①借入金
資金が足りなければ借入をせざるを得ません。そして当然ですが借入すれば利息がかかります。それこそ無駄な出費ですよね。例えば大規模修繕工事費用支払いのために5年間で借入した場合5年間は修繕積立金からの返済が続きますので、当然次回の大規模修繕工事にも影響します。借入が完済したばかりでまた次回の借入検討、といった具合に悪循環になってしまうこともあります。
2.デメリット②一時金徴収
あまり一般的ではありませんが、借入利息が無駄な出費となるので、管理組合員から一時金を徴収しようと検討する管理組合もあります。ただ現実的には居住者それぞれ生活が異なりますので、全住戸から一何十万円ものお金を徴収することは合意形成を図るのが困難です。いろいろと検討した結果借入、という選択肢を取らざるを得ない管理組合が大多数なのも事実です。
3.デメリット③工事費用増加
然るべき時期に工事を実施しないと修繕箇所が増え、工事費用も余計にかかります。資金が貯まってから大規模修繕工事を実施しようとなった場合、劣化が進行し「本来補修ですんでいた箇所が交換しなければならなくなった」ということもあります。また大規模修繕工事後は修繕積立金のほとんどを支払い費用に充当してしまっているので、大規模修繕工事で修繕を実施しなかった設備等に不具合箇所が発生した場合も同様です。私たちの身体と一緒ですね。症状が軽いうちに通院して治せるものも放置してしまえば症状が悪化し、余計な出費がかかります。
4.まとめ
自分たちのマンションを快適で安全な住まいとして維持し大切な資産としての価値を保全するために、修繕積立金を妥当な金額に設定するのは重要なことです。理事会では値上げの必要性を認識しているのに総会の審議の場で反対者が出てしまった場合は、値上げしなかったときのデメリットをしっかりとお伝えしたうえで合意形成を図ってみてはいかがでしょうか。
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