マンションの維持管理の状態や改良等の状況によって、マンション共用部を客観的に評価する仕組みをつくる動きが進んでいます。
マンションの建物に関しての財産的価値(売却時に売れる価格)は、新築時が最高であり、その後、建物が古くなるにつれて財産的価値は下がり続けることが一般的です。
定期的に計画修繕等を行い、マンションを良好な状態に保つことは建物の機能性を保つためには、大変重要なことであり、欠かすことができませんが、機能性の維持とは別に建物の財産的価値に限って考えると、このマンションを良好な状態に保っていることが、特にプラスに作用することは少ないと感じています。
つまり、立地・築年数・専有面積がほぼ同じであれば、維持管理の状況や改良工事等の有無に関係なく、売却する際の価格や不動産会社の査定する額には大きな違いがないのが現状です。
中古マンションの価格が上昇に転じることもありますが、それはあくまでマンションの立地や近隣環境の変化等による土地の価格の上昇に起因するものであって、建物そのものの価値が上昇しているものではないことが一般的です。
マンションを適切に維持管理するためには資金が必要です。マンションを良好な状態に保つための資金や最新設備をマンションに導入するための資金を負担しても、マンションそのものの価値が客観的に評価されないことは、マンション管理に携わる者としては以前より非常に残念だと感じていました。
先日、一般社団法人マンション計画修繕施工協会、NPO法人全国マンション管理組合連合会など11の団体や企業等の参加で構成された「ヴィンテージマンションプロジェクト推進協議会」(以下「VM推進協議会」)のセミナーに参加してきました。
このVM推進協議会は、マンション共用部(建物本体・設備等)について「耐久性能」「機能性能」「居住環境性能」の3つの観点により審査を行い、高評価(AAA)を取得したマンションは、VM推進協議会がVM(ヴィンテージマンション)として認定し、客観的にマンション共用部を評価することで、良好な住宅ストックを形成することを目的としているとのことでした。
まだ具体的な運用は始まっていないとのことでしたが、このような仕組みのもとマンションが良好な状態に維持管理され、また、グレードアップ等で最新設備を導入することが、目に見える形で評価されるようになることは、マンション管理のこれからを考えるうえでは非常に重要なことであると思い、わたくしとしても大変期待をしています。
現在、国の政策としても、良好なストックの活用を図るために各種の客観的な評価制度が整備されつつありますので、近い将来、マンションがランク付けされるような時代が来るのかもしれません。しばらくは、このような動きに注目したいと思いますので、また、新しい情報があれば記事にしたいと思いますのでよろしくお願いします。
田中一直
香川県出身。あなぶきグループに平成6年に入社。主に新築マンションの販売、中古マンション・戸建などの仲介業務を経て、その後、マンション管理業務に約20年従事しています。マンション管理組合の運営補助だけでなく、お客さまのマンション生活が安心で快適であるため、常にプラスアルファの提案活動を心がけています。
資格:マンション管理士・マンション維持修繕技術者
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