マンション屋上からの落雪による被害が発生した場合の保険対応について

後藤隆史

L7D6C7PJASYaoIH1486758369_1486758534おはようございます。あなぶきセザールサポート保険担当の後藤です。

今年は全国的に冬の寒さが厳しくなっており普段あまり雪が積らないところでも大雪に見舞われることも多くあります。数年前には関東地方でも大雪があり交通機関が麻痺し、けが人が多く出たことがありました。

今回は雪による被害が出てしまった場合のマンション管理組合で加入している共用部火災保険での対応方法について紹介します。

 

目次

  • 落雪による被害の種類
  • 落雪損害の免責金額にご注意
  • 当社での落雪損害による過去の支払事例
  • まとめ

 

 

落雪による被害の種類

マンションの屋上に雪が積もり庇(ひさし)みたいになることを雪庇(せっぴ)といいます。この雪庇が落下することにより大きく分けて2つの事故が発生することが考えられます。

落雪による人・モノへの損害

雪庇が落下して損害を与えるものとして通行人または車両などに落下することです。

このような事故に関してはマンション屋上からの落雪が原因ということでマンション管理組合が加害者になる可能性もあり、その場合には共用部火災保険では雪災補償ではなく施設所有者賠償責任補償という特約が適用となります。

人へ落下した雪が当たってしまった場合には最悪の場合死亡してしまうこともありますので、大雪の際には屋上などの確認も十分に行うことが重要です。

落雪による管理組合共用部の被害

もう一つの損害を与えるものとしてマンションの共用部分に設置されている駐輪場または駐車場の屋根などが破損してしまう場合です。

この場合には上記で説明した第三者へ与えた被害ではなく自身(管理組合)の所有物の被害ということで、火災保険の基本契約に含まれている雪災補償が適用となります。

 

落雪損害の免責金額にご注意

上記2つの損害が発生し保険申請する場合には免責金額が設定されているかをご確認ください。人やモノに当たってしまった場合の施設所有者賠償責任保険の場合では保険会社が契約を引き受ける際に築年数が古い時などに引受制限の中で設定されることがありますが、ほとんどの場合は免責金額を設定することはありません。

一方雪災補償の場合にも火災などには免責金額が0円でも、風災および雪災は10万円などの免責金額が設定されている場合があります。

損害額が免責金額を超えなければ保険金が支払われることがありませんので、保険申請時に注意と確認が必要です。

 

当社での落雪損害による過去の支払事例

当社が管理をお預かりしているマンションで過去に発生した落雪による共用部の損害の保険金支払い事例を紹介します。

物件概要と事故状況

東京都八王子市にあるファミリータイプの分譲マンション

前日から降り続いた雪がマンション屋上に積り、その重みにより落下し駐輪場の屋根に直撃、柱が折れ屋根も破損した。

損害額と保険金認定額

今回の損害保険では雪災認定され保険金が支払われました。

しかし上記のとおり当該管理組合の契約内容には免責金額10万円が設定されており、見積書を鑑定人が精査し認定した金額から10万円を差し引いた額が支払われることとなりました。

雪災認定額

 

まとめ

今回はマンション屋上からの落雪による損害の保険対応について事例を含めて紹介しました。事例のように管理組合が所有するものが破損する場合なら修繕すれば問題ありませんが、通行人などの第三者に被害をお耐える可能性もありますので、大雪の予報が出た際にはマンション屋上の降雪対策を管理会社と協議することをお奨めします。

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後藤隆史

あなぶきハウジングサービス 後藤隆史(ごとうたかし)
北海道出身。管理組合様用火災保険の提案や管理委託契約書の作成、各種設備点検の発注業務を行っています。
フロント担当者の経験を生かし管理組合様の費用負担軽減ができるような火災保険の更新提案や各種設備点検項目の見直しなどを目指しています。少林寺拳法有段者(小学校2年生からやっていました)。火災保険や点検項目の見直しの際にはぜひとも御用命ください!
保有資格:管理業務主任者・宅地建物取引士
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