おはようございます、あなぶきセザールサポートの飯野です。
本日は前回の続きで、大規模修繕工事の基礎知識 ~費用捻出編2~となります。
11月に入りましたが、実はこの時期は大規模修繕工事を進めている管理組合が多くあります。消費税増税はひとまず来年4月は無くなりましたが、現在建築資材高騰に伴い大規模修繕工事費用も高騰しており、年明け着工、年度内完了を目指しているためです。
年末になると忙しくなってきてしまい、管理組合の会合がなかなか開催できないかもしれませんが、年末年始を落ち着いて過ごせるように、早めに進められるようにしましょう。
- 大規模修繕工事の際に資金不足に陥った管理組合C~計画変更編~
- 大規模修繕工事の際に資金不足に陥った管理組合D~その他~
- まとめ
・大規模修繕工事の際に資金不足に陥った管理組合C~計画変更編~
大規模修繕工事に備え長期修繕計画を基に定期的に修繕積立金を積み立てていた管理組合Cですが、大規模修繕工事を計画し業者から見積を取得したところ、当初計画していた金額を遥かに超える見積書が提出されました。見積は数社取得しましたが金額に大きな違いは無く、資金不足が生じてしまいました。
そこでこの管理組合Cは本当にこの大規模修繕工事が必要なのかを確認することになりました。その確認方法は大規模修繕工事業者とは別の立場で大規模修繕工事をサポートする大規模修繕工事のコンサルタント業者(以下、コンサル業者)への相談でした。
相談内容は現在のマンションの建物診断と標準仕様書の作成です。
もちろんコンサル業者へ支払う費用が別途に発生するため、コンサルタント契約の承認を諮る決議の際は意見が分かれましたが、最終的にコンサル業者と契約。その後コンサル業者からの報告では工事金額は妥当との判断がでました。しかし管理組合Cの預金残高を考慮し、今すぐにでも実施しなければならない部分とそうでない部分を切り分け、借入や一時金の徴収をすることなく無事に工事を完了する事が出来ました。
大規模修繕工事は建物の劣化状況によってはほとんど先延ばしにできず、コンサル業者を導入しても借入等をして実施しなければならない事例も多くありますが、大規模修繕業者とは別の立場である専門家のアドバイスがあったことで、工事実施を反対していた居住者も賛成にまわり、管理組合が一丸となって工事に取り組める事もあるため、費用は発生しますが、大規模修繕工事のコンサル業者への相談も工事が暗礁に乗り上げているときは検討することも一つの良い選択肢だと思います。
・大規模修繕工事の際に資金不足に陥った管理組合D~その他~
これは他社が管理する管理組合の理事から相談された話です。屋上より雨漏りが発生し、屋上防水工事を実施しなければならないマンションがありました。この管理組合Dは修繕積立金の滞納者が多く、管理組合手持ちのお金が全く無い状態が発生していました。さらに困った事にその滞納者の所在も不明で資金回収の目途は立っておらず、工事を実施したくてもお金がなく実施できない状態でした。
そこで管理組合Dがとった選択は驚きの内容でした。
それは、屋上に面する最上階の住戸の所有者が自身で費用を捻出して、自宅に面する屋上のみ修繕を行っていました。この対処をすることで自身の部屋の漏水は納まりますが、工事費用を捻出できない他の部屋は雨漏りが続くため、建物全体にとっては良くない選択でした。修繕計画があっても滞納者がいる場合はお金が無い場合があるため、マンション全体のためにも滞納者がいる場合は早めの対策が必要だと感じた事例でした。
・まとめ
近年は資材高騰などもあり、大規模修繕工事の資金不足については多くの管理組合が陥っている状況です。今回は資金不足に陥った管理組合の事例をご紹介しましたが、資金不足にならないことが一番です。資金不足に陥る前に打つべき改善策については、また別の機会にご説明したいと思います。
飯野琢磨
前職では大工や建築積算を経験。入社後、マンション修繕工事のコンサル業務、分譲マンションのリプレイス営業、分譲マンションのフロントを経験。
マンション管理のことについてはもちろんのこと、リフォームやリプレイスなどさまざまな視点から幅広い情報を提供します。
所有資格:一級建築士・マンション管理士・管理業務主任者・宅地建物取引士
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