こんにちは!あなぶきハウジングサービスバイオエナジー事業所の竹中です。
弊社が取り組むバイオエナジー事業では、産業廃棄物の焼酎廃液(粕)と規格外のサツマイモを活用し、新たな資源として、エタノール燃料(バイオエタノール)と土壌改良剤(農業用資材)を製造しております。
これまで、私ども事業所に関連した焼酎、バイオエタノール、肥料(土壌改良剤を含む)など、前回はこれらに共通する発酵技術についてご紹介しました。
今回は、発酵技術の主人公ともいえる『微生物』について調べてみました。
1.微生物とは?
微生物は人の肉眼では確認できない、小さな生き物のことであり、細菌・真菌・ウイルス・原生動物などが含まれます。
微生物の大きさは0.1mm以下で形も様々です。これまでおよそ15,000種、発見されておりますが、これは微生物全体数の1%にも満たないとされ、未確認の微生物はこの100倍以上、およそ1,500,000種類がいると推測されています。
①細菌(バクテリア)
単細胞の微生物で地球上のほぼすべての環境に存在し、分裂によって増殖し、非常に速い速度で繁殖することができます。多くの細菌は無害であり、むしろ人間や環境にとって有益な役割を果たすものの、一部の細菌は病原性を持ち、人間や動物に感染症を引き起こすことがあります。
(代表例:乳酸菌・麹菌・土壌菌/肺炎・結核・食中毒など)
②真菌
真核生物(細胞内に核を持つ生物)の一群で、菌類とも呼ばれます。
(代表例:キノコ・カビ・酵母など)
③ウイルス
自己増殖する能力を持たず、宿主細胞に侵入してその細胞の機能を利用して増殖します。また、自己増殖能がなく、他の生物に寄生して増殖するため、生物ではない(生物と非生物の中間)という見方もありますが、慣習としてウイルスも目に見えない生物の一種として微生物に分類されております。
(代表例:インフルエンザウイルス・コロナウイルス・エボラウイルスなど)
④原生動物
単細胞の真核生物で、動物のように運動能力を持ち、捕食を行うことができる微生物です。
(代表例:アメーバ・ゾウリムシ・ミドリムシなど)
2.微生物にまつわる歴史
前回の『発酵』に関するブログにて、17世紀(340年程前)にオランダのレーウェンフックが顕微鏡にて発見したのが世界で最初とご紹介致しましたが、約40億年前に地球上に最初の生命として微生物が誕生したといわれており、この生命体は、100度以上の熱いところでも生きることができ、その頃の原始地球から出てくる水素や硫化水素を栄養にして生きていたと考えられ、その後、長い年月をかけて微生物は進化し、約27億年前には光合成を行い、酸素を作り出す微生物「シアノバクテリア」が誕生しました。
このシアノバクテリアが生きていた証拠は、オーストラリア西部のハメリンプールというところにストロマトライト化石として残っています。
この微生物によって地球の大気と気候が大きく変化し、約10億年前に動物や植物の祖先となる多細胞生物が生まれました。
3.人体と微生物の関係
私たちの体には100兆個を超える数の微生物が存在するといわれており、これに対して人体を構成する細胞の数が約37兆個となることから、細胞以上に多くの微生物と生活していることになります。
それらの大半は人と共生関係にあり、通常体に害を及ぼすことはありません。このような微生物を常在菌と呼び、皮膚や消化管など体外と通じている器官に存在し、病原菌の侵入を防いだり、消化を助けるなど人体にとって大切な役割を担っております。
また、健康な人の脳、心臓、腎臓などの臓器には微生物は入り込めないため常在菌も存在せず、微生物と共存する所と微生物の存在自体許さない所とがはっきり分けて管理されており、母親の子宮内は無菌状態であり、胎児もまた無菌となります。
つまり、人と微生物との関係は出生時がスタートラインとなり、子供はまず産道で母親の常在菌と、続いて空気や食べ物(乳)、周囲の人との接触などを通じて多くの微生物と接していきます。
それら微生物と人体が、戦ったり譲ったりの駆け引きを経て、定着した一部の微生物が常在菌になります。
常在菌の数や構成する種類は成長につれて安定していき、人と微生物が共に生きる一つの生物集合体ができあがり、それが私たちとなります。
4.微生物の活用
微生物が活用されている内容について簡単にご紹介致します。
①食品産業での活用
・発酵食品(チーズ、ヨーグルト、お味噌など)の製造
・食品の保存技術の開発
・食中毒の予防と対策
②医療分野での応用
・抗生物質の開発
・ワクチンの製造
・感染症の予防と治療
・腸内細菌と健康の研究
③環境保護への貢献
・水質浄化
・生分解性プラスチックの開発
・土壌改良
・バイオエネルギーの生産
(※弊社が製造するバイオエタノールが該当)
④農業分野での活用
・作物の病気予防
・土壌改良
(※当社製造のペレットは土壌改良剤として活用)
・有機農法の研究
5.食品に関連した微生物とは
前回のブログにて、微生物の活動により美味しくなった食べ物として発酵食品にいてご紹介致しましたが、微生物の種類によって食品にどのように変化をもたらせるのか、代表的なものをご紹介致します。
①一種類の微生物の働きによってできる食べ物
・代表例:パン、ビール、納豆など
②複数の微生物(カビ・酵母・細菌)の働きによってできる食べ物
・代表例:味噌・しょうゆ・焼酎・日本酒・ヨーグルト・チーズなど
※焼酎や日本酒は、原料のサツマイモや米等のでんぷんを麹(カビ)が分解して糖に変え、糖は酵母によりアルコール(お酒)と炭酸ガスに分解されます。
ヨーグルトは乳酸菌や酵母が働いて牛乳から作られ、チーズも乳酸菌が働きますが、ブルーチーズやカマンベールチーズは、カビによって風味や食感の違うチーズになっています。昔はチーズを固める酵素(レンネット)を牛から取っていましたが、現在ではその酵素はケカビというカビから作っています。
また、乳酸菌が乳酸を作って酵母の生育を助けます。ヨーグルトは乳酸菌や酵母が働いて牛乳から作られます。
チーズも乳酸菌が働きますが、ブルーチーズやカマンベールチーズは、カビによって風味や食感の違うチーズになっています。昔はチーズを固める酵素(レンネット)を牛から取っていましたが、現在ではその酵素はケカビというカビから作っています。それから、パンが膨らむのは酵母と小麦に含まれるタンパク質の働きです。
6.微生物に関する雑学
①人間の腸内に約2kgの微生物?
人間の腸内には約1,000種類以上、100兆個を超える細菌が住んでおり、重さにすると約2kgにもなります。これらの細菌は、消化を助け、ビタミンを合成し、免疫機能をサポートするなど、多くの役割を果たしています。
②微生物は非常に過酷な環境でも生息している!
微生物は、極寒の南極や高温の温泉、深海の熱水噴出孔など、非常に過酷な環境でも生息しており、これらの微生物は「極限環境微生物」と呼ばれます。
③干物が日持ちする理由(微生物活動を抑制?)
生魚が腐る原因は、細菌・酵母・カビなどの微生物が、タンパク質や脂肪を分解するためです。逆に言えば、水分がないと微生物は活動(腐り)にくくなることから、日持ちさせることができます。
また、干物を作る際には魚を塩水につけますが、これは塩分の殺菌作用と魚内部の水分を塩水に溶けさせ、日に当て水分を飛ばし、微生物の繁殖を抑え腐敗のスピードが鈍るからです。
④生海苔が食べられるのは日本人だけ!
腸内細菌は人種によって差があり、これは昔から生海苔を食べている日本人には生海苔を分解できる微生物を宿しているからといわれています。(焼き海苔は日本人以外でも消化できます)
⑤プラスチックを分解する微生物!
プラスチックを分解する微生物が発見され、この微生物は日本人が堺市のペットボトル処理工場で発見され、「イデオネラ・サカイエンシス201-F6株」と名称が付けられております。近い将来、廃プラスチックの問題が解決される日も近いかもしれません。
7.さいごに
今回ご紹介した微生物は、私ども焼酎バイオエナジー事業に欠かせない存在であり、製造するエタノール燃料を精製する前段で行う発酵の工程や、副産物として製造する土壌改良剤は、土壌中の微生物活動を活性化し、土壌の健康維持を担っております。
これまで、8回に渡り焼酎バイオエナジー事業に関連した内容をご紹介して参りました。私のブログも残り4回(7月迄)となっており、せっかくの機会ですので、私ども事業所(工場)が所在する宮崎県(日南市)についてご紹介させて頂く予定です。

竹中和幸
竹中 和幸(たけなか かずゆき)
分譲マンションの管理担当(フロント)を経て、2023年より出身地である宮崎(日南市)にて、焼酎廃液(焼酎製造過程で排出される蒸留粕)の再生利用(資源の有効活用)に取り組んでおります。
保有資格:宅地建物取引士・管理業務主任者

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