こんにちは。あなぶきハウジングサービスの立花です。
5月・6月はマンション管理組合の総会シーズンと言われています。通常、管理規約に則り、決算終了後2か月ないし3ヵ月以内に総会を実施しますが、3月を決算月としているマンションがとても多いため、5月、6月に総会が集中するというわけです。
そのような中、先日あるマンションの通常総会に出席した際、管理組合役員の方から以下のような質問を頂きましたのでご紹介したいと思います。
管理組合書類の保管期間って決まりはあるの?
「うちのマンションも築30年を超え、管理組合の書類もかなり増えてきました。書類を保管している書庫も一杯になりそうなので、一度、整理を行いたいと思っていますが、処分してしまっても良いのか判断が難しい書類もあります。法律で書類の保管期間は決まっているのでしょうか?」
同じようなお悩みを抱えているマンションはとても多いのではないでしょうか。
まだ築年数が浅いマンションは書類の量も少ないかと思いますが、毎年書類が増えていきますので、築年数を重ねたマンションの書類は膨大なものになります。書類を保管するスペースを十分に確保できないマンションも多くあるかと思います。
質問に対するお答えですが、結論から申し上げると、管理組合としての文書の保管期間は法令では定めがありません。
区分所有法では、管理者が管理規約や総会議事録等の保管をすることを義務づけていますが、保管期間に関しては特に定められていないのです。
【区分所有法】
第33条第1項…管理規約の保管の定め
第42条第5項、第45条第4項…議事録保管の定め
マンションを適正に管理していくうえでは、管理規約、理事会・総会議事録、長期修繕計画、設計図書、修繕履歴情報等、管理組合の運営に関する書類を適切に保管することがとても重要です。
しかし、書類は毎年増えていく一方で、共用部スペースにも限りがありますので、書類の保管場所に悩まれているマンションは多いと思います。
対策のひとつとして、管理組合書類の取り扱いについて、規定を設けることが考えられます。
明確な決まりがないと書類の整理をするうえで、判断に迷う場面が出てくることもあろうかと思いますが、規定によって書類の保管期間等を明確にしておけば、そのような心配もありません。
規定を新たに設けるうえで、公益財団法人マンション管理センターの「帳票等の保存期間の例」がとても参考になるのではないかと思います。
【東京都マンションポータルサイト】
https://www.mansion-tokyo.metro.tokyo.lg.jp/kanri/03guidebook.html
※東京都のマンション管理ガイドブックP.54に表が掲載されています
上記でご説明したとおり、区分所有法によって保管の定めのある管理規約や議事録は当然「永久保管」が必要になります。その他管理業務上、過去の記録の確認が必要になるものについても永久保管としています。
管理組合として保管すべき重要な書類を明確するという意味でもこのようなリストを作成するメリットは大きいと思います。
なお、あくまでもこちらの表は、「例」ですので、それぞれのマンションの実情に合わせた形にカスタマイズのうえ、運用をしていただければと思います。
当社においては、書類の電子データ化を推進しています。電子化することで保管スペースの問題だけでなく、紛失・毀損のリスクもなくすことができます。
当社がご契約管理組合様へ提供するコンシェルジュサービス「ハッピーサポート」のメニューのひとつである「オーナーズサイト」では、電子データ化された管理規約や会合の議事録等がアップロードされています。いつでもパソコンやスマートフォン等で管理組合に関する書類を閲覧いただくことが可能です。
あるマンションでは、従来まで理事会の議事録を全戸に配付していましたが、オーナーズサイト導入後はサイト上で確認いただく方法へ変更し、印刷代や郵送代の経費節減にもつながりました。
また、最も重要な書類のひとつである設計図書(図面等)も、積極的に電子化をご提案しています。図面はかなり大きいサイズの場合が多く、スペースを取ります。それだけでなく、紙の図面しか存在しないマンションの場合、製本が傷んでしまったり、青焼きの図面の場合は褪色してしまい、読み取りが困難になってしまいます。まだ電子化をしていないということであれば、早急に行うことをお勧めいたします。
最後に
書類の保管に関しては、管理組合としての大事な情報資産です。いい加減な管理をしていて、大事な書類が紛失してしまった…というようなことになっては、取り返しがつきません。
適切な書類の管理を行うための、ルールづくりを是非検討してみていただければと思います。
立花晴太郎
宮城県仙台市出身。分譲マンション管理(フロント)業務、新規受託営業に従事し、様々な地域の様々なマンションに携わらせていただきました。「より快適なマンション」へのヒントになるような情報を提供していきます。
保有資格:マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引士、マンション維持修繕技術者
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