こんにちは、仲井です。前回に引続き、建築基準法を学習します。今回は、「防火地域・準防火地域」のポイントをご説明します。しっかり押さえて、得意分野にしてしまいましょう。
- 防火地域・準防火地域とは
- 防火地域・準防火地域内の建築制限
- その他のポイント
防火地域・準防火地域とは
都市計画法において、「防火地域または準防火地域は、市街地における火災の危険を防除するため定める地域とする」と規定されています。そして、この都市計画を実現するために、防火地域・準防火地域では、一定の規模の建築物を燃えにくいもの(耐火建築物・準耐火建築物・技術的基準適合建築物)にしなければなりません。
防火地域・準防火地域内の建築制限
では、防火地域内・準防火地域内の建築制限はどのようになっているのでしょうか。
1 防火地域内の制限
防火地域内では、地階を含む階数が3以上、または、延べ面積が100㎡を超える建築物は、原則として耐火建築物にしなければなりません(それ以外の建築物は、耐火建築物または準耐火建築物にしなければなりません)。
階数には「地階を含む」という点と、「または」という部分に注意しましょう。「または」ですので、「階数が3以上」「延べ面積が100㎡を超える」のどちらか片方を満たせば、それでもう耐火建築物にしなければなりません。また、「以上」は、ちょうどを含み、「超える」は、ちょうどを含まない、という点にも注意しましょう。たとえば、階数が2で、延べ面積が100㎡の建築物は、耐火建築物または準耐火建築物にしなければならない、と考えるのです。
2 準防火地域内の制限
準防火地域内では、地階を除く階数が4以上、または、延べ面積が1,500㎡を超える建築物は、耐火建築物にしなければなりません。
ここも「または」ですので、「階数が4以上」「延べ面積が1,500㎡を超える」のどちらか片方を満たせば、それでもう耐火建築物にしなければなりません。そして、階数は「地階を除く」という点にも注意しましょう。防火地域の方が、地階を含みますので、制限が厳しいのです。
なお、準防火地域で、地階を除く階数が「3」の建築物は、延べ面積が500㎡以下であれば、耐火建築物、準耐火建築物、または、一定の技術的基準適合建築物にしなければならず、延べ面積が500㎡を超え1,500㎡以下であれば、耐火建築物または準耐火建築物にしなければならず、延べ面積が1,500㎡超であれば、耐火建築物にしなければなりません。このように、準防火地域で、地階を除く階数が「3」の建築物の制限は覚えやすいので、この機会にしっかりマスターしておきましょう。
その他のポイント
防火・準防火地域の分野では、以上お話しした建築制限が主なポイントですが、その他のポイントも以下説明いたします。あわせて押さえておきましょう。
1 看板・広告塔等について
防火地域内では、看板、広告塔、装飾塔等の工作物で、①建築物の屋上に設けるもの、または、②高さが3mを超えるものは、その主要な部分を不燃材料で造り、または、覆わなければなりません。
準防火地域についての規定ではないので、注意しましょう。
2 建築物が複数の地域にまたがる場合
建築物が、防火地域、準防火地域、防火・準防火地域以外の地域の複数にまたがる場合、その建築物には、原則として最も制限が厳しい地域の制限が適用されます。
なお、「用途規制」(酔うと帰省ではありません!)の分野においては、敷地が複数の地域にまたがる場合、敷地の過半の方、すなわち、「広い方」の用途規制が適用されるので、注意しましょう。
3 外壁について
防火地域・準防火地域内では、外壁が耐火構造の建築物は、その外壁を隣地境界線に接して設けることができます(敷地の境目から建築物の外壁までの距離が0でもかまわないというイメージです)。
なお、第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域では、都市計画で、1.5mまたは1mの外壁の後退距離の限度を定めることができるとされていること、および、民法の「相隣関係」の分野において、「建物を築造するには、境界線から50cm以上の距離を保たなければならない」と規定されていること、もあわせて押さえておきましょう。
4 建築確認との関係
防火地域・準防火地域内では、建築物を新築する場合、建築確認が必要です。また、増改築・移転の場合も、建築確認が必要です。建築物の種類・規模や、増改築・移転の面積にかかわらず、建築確認が必要(問題文で高さや面積が出てきても気にする必要がない)ですので、あわせて押さえておきましょう。
いかがでしたか?今回も数字が多く出てきました。試験によく出る数字から優先的に覚えていきましょう。
ところで、今回の防火・準防火地域の分野では、100㎡を超える、あるいは、1,500㎡を超える、というふうに、㎡に「超える」が付いていましたが、国土利用計画法の届出対象面積では、2,000㎡以上、5,000㎡以上…、都市計画法の開発許可の分野では、10,000㎡以上、というふうに、㎡に「以上」が付きますので、この機会にあわせて注意しておきましょう。
仲井悟史
東京イーストエリアで約10年にわたりマンション管理担当者を経験しています。前職は資格試験予備校で長年にわたり宅建等の講師として教壇に立っていました。その経験を活かし、現在、社内講師も務めています。息子たちと野球をしたり観たりすることが最大の楽しみ。
保有資格:管理業務主任者・マンション管理士・マンション維持修繕技術者・宅地建物取引士
特技:中国語
最新記事 by 仲井悟史 (すべて見る)
- 宅建合格講座!宅建業法|「手付金等の保全措置」を解くときのポイント - 2020年8月28日
- マンションで居住者イベントを実施する3つのメリット - 2019年4月6日
- マンション入居者イベントのオススメ企画|初心者向け - 2019年3月27日