あなぶきが取り組むバイオエナジー事業 サツマイモとの関係?

竹中和幸

こんにちは!あなぶきハウジングサービスバイオエナジー事業所の竹中です。

弊社が取り組むバイオエナジー事業では、産業廃棄物の焼酎廃液(粕)と規格外のサツマイモを活用し、新たな資源としてエタノール燃料(バイオマス燃料)土壌改良材(農業用資材)を製造しており、前回はこの原料となる焼酎廃液(粕)と焼酎(お酒)についてご紹介しました。

今回は、もう一つの重要な原料となるサツマイモについて調べてみました。ちょうど収穫時期(例年9~11月)のシーズンでもありますので、旬の野菜選びの参考にしていただければと思います。

 

目次

 1.はじめに

 2.歴史

 3.種類

 4.栄養価(成分)

 5.豆知識

 6.さいごに

 

1.はじめに

私共事業所で製造するエタノール燃料(バイオマス燃料)土壌改良材(農業用資材)重要な原料となるサツマイモ(薩摩芋)ですが、農水省ではかんしょ(甘藷)と称されており、地域によっては唐芋(からいも)とも言われております。

現在、世界では約4,000種で年間約8,700万トン、国別では全体の約53%(4,600万トン)を中国で、国内では40種程度で年間約71万トン、県別では全体の約30%(約21万トン)を鹿児島県で、国内上位4県(鹿児島・茨城・千葉・宮崎)で国内の約80%を生産されており、高温や乾燥に強く痩せた土地でも丈夫に育つことから、他の作物が育たない土地での生産が盛んになった様です。

デンプンやビタミン類を豊富に含むことから、食用以外に焼酎原料や飼料にも利用され、その生産量も年間100万トンをピークにその後は年々減少しております。

減少の原因としては、焼酎などの消費量減少も一因となるものの、近年、伝染病として複数の地域にて確認され非常に大きな問題となっているサツマイモ基腐病(モトクサレビョウ)が生産量減少の大きな要因となっております。

また、国内生産分の用途を見ると、生食用が全体の50%程度である一方、アルコール用(お酒の原料)が25%、デンプン用が12%程度、加工食品が10%他飼料用など、多くの用途で活用されております。

2.歴史

原産は中南米(アメリカ南部やメキシコ周辺)であり、紀元前800~1000年頃より栽培されたと考えられており、ヨーロッパ、中国、そして日本に伝わり、国内では1615年に長崎平戸で最初に栽培されたとのことですが、江戸時代に唐(中国)から琉球(沖縄)、そして薩摩(鹿児島県)を経由し全国広まったことから、名称は薩摩藩から広まった芋としてサツマイモという名称が一般的に用いられております。

また、鹿児島にて生産量が多いのは先に記載したとおりですが、シラス台地の自然条件(火山灰などが積もった土地で、水はけが良く栄養が低い土地)が、サツマイモの栽培条件(暖かい気候で水はけが良い土で育ちやすく、土の栄養が多すぎると葉やつるばかりが育ち、サツマイモが十分に育たない。)に適しているため、多く栽培されると考えられます。

なお、コロンブスが1492年の新大陸発見の航海中に南アメリカでサツマイモに出会い、ヨーロッパに持ち帰ったと言われているのは有名な話です。

3.栄養価(成分)

サツマイモは、根が肥大化したヒルガオ科サツマイモ属に対して、ジャガイモは茎が肥大化したナス科ナス属のジャガイモとは分類上まったく異なるようです。(ジャガイモの親戚かと思ってました・・・。)

食物繊維が豊富な野菜として有名ですが、それ以外にも栄養豊富な野菜です。

主要な栄養価についてご紹介します。(標記の数量:100g当たり)

エネルギー量は132kcal、水分は約66%含まれ、炭水化物31.5g、タンパク質1.2g、灰分1.0g、脂質0.2gです。

また、デンプンが非常に豊富で、甘味が強いためカロリーが高めと誤解を受けますが、米飯との比較では0.8倍程度です。ビタミンCはリンゴの約5倍(加熱してもデンプンに守られ壊れにくいという特徴)、食物繊維はジャガイモの約2倍で、腸の働きを活性化し、便秘の解消に効果的な食材と言われており、大腸がん、糖尿病、高血脂症及び高血圧の予防に期待されております。

なお、炭水化物の約80%がデンプンで、良質なエネルギー源となるものの、消化しきれないデンプンが約20%残るため、サツマイモを食べた後にガスが出やすいのは、消化しきれなかったデンプンが原因となります。

4.種類

現在国内で生産されているサツマイモは40種程度とご紹介しましたが、この中で代表的な4品種について、その特徴をご紹介します。

また、各ご家庭での保存方法としては、低温(10℃以下)や水分に弱いため、過度な高温や乾燥に気を付け、新聞紙等で包み風通しの良い直射日光が当たらないところで保存するのが良いとの事です。

商品選びの参考にしていただければと思います。

①黄金千貫(コガネセンガン)

1966年に旧九州農業試験場にて生まれ、以来、鹿児島及び宮崎にて全体90%を生産しており、サツマイモの中で一番栽培(全体の約20%)されている品種となります。従来の品種より収穫量で30%、デンプン量で4%程度多く、元々デンプン原料用の品種として開発された経緯から、芋焼酎の約90%がこのコガネセンガンを原料としております。また、焼酎以外にも、あっさりした甘みを生かし、かりんとう等の菓子類の原料や、各ご家庭でもサツマイモの天ぷらとして食卓で見かけられることも多いかと思います。

 

②安納イモ(アンノウイモ)

鹿児島県種子島産の在来種であり、甘味が強く、水分の多いねっとりとした食感で、別名『蜜イモ』とも呼ばれており、糖度は生芋の状態で16度前後、焼き芋にすると40度前後になり、甘みが特徴のサツマイモです。

焼き芋やデザートの原料に使われており、この安納イモの中で品種選抜されたものが、安納紅(あんのうべに)となります。

 

③高系14号(コウケイ14ゴウ)

1945年に高知県の農事試験場にて生まれ、西日本地区にて多く栽培されている品種で、成長が早く肥大性に優れているため、育てやすいさつまいもと言えます。ホクホクとした中にねっとりとした食感が混ざっているのが特徴のさつまいもで、甘みが強く繊維質が少ないので食べやすく貯蔵しなくても美味しく食べられるサツマイモと言えます。

これをベースに各地で品種改良(選抜)されたものが、徳島の『鳴門金時』、宮崎の『宮崎紅』、鹿児島の『べにさつま』、高知の『土佐紅』です。

 

②べにはるか

2010年に九州沖縄農業研究センターにて生まれ、現在では全国的に栽培されている品種(九州地区で多く栽培)で、生芋の状態でも30度前後と高いのですが、焼き芋にすると50~60度と高糖度で驚異的な甘さとなるものの、後味がスッキリしていて、水分もありのどに詰まらないしっとりとした食感です。

また、紅はるかの主な産地にはそれぞれにオリジナルブランドがあり、大分県「甘太くん」・茨城県産「紅天使」・宮崎県「葵はるか」というブランド名で栽培されております。

5.豆知識

今回のブログ作成にあたり、色々調べていたら豆知識的な内容をみつけましたので、最後にご紹介いたします。

①甘藷先生~

・青木昆陽は、江戸幕府に命じられ、1735年に救荒作物(一般の農作物が不作のときでも生育し、比較的良い収穫を上げられる作物)としての蕃藷(サツマイモ)の栽培方法・貯蔵方法などを記した「蕃藷考」を発表。東京都目黒区の龍泉寺には、「甘藷先生墓」と刻まれた墓があります。

②かごしま黒豚~

・ブランド豚で有名な「かごしま黒豚」は、鹿児島県黒豚生産協議会にて定める生産基準にて、肥育後期にサツマイモを10~20%添加した飼料を60日以上与えることと定められております。

 

③石焼イモ~

・最初の焼き芋屋が現れたのは江戸時代後期で、素焼きの土なべで焼いていましたが、その後、鉄の釜焼きに変わり、大正期まで続きました。昭和初期に壺焼きが始まり、太平洋戦争後に石焼が始まりました。

④干し芋~

・現在では一番の生産量を誇る茨城県ですが、生産量干し芋の生産(販売)は、江戸時代後期に静岡県御前崎地域を発祥地とされており、明治時代中頃に茨城県ひたちなか地域に製造法が伝わり現在に至っております。

 

6.さいごに

今回、私どもの焼酎バイオエナジー事業に必要不可欠な原料となるサツマイモについてご紹介致しました。このさつまいもに豊富に含まれているデンプンを生かし、焼酎廃液(粕)と同様にエタノール燃料(バイオマス燃料)と土壌改良材(農業用資材)の重要な原料となっております。

次回は、私共の工場にて製造されるエタノール燃料(バイオマス燃料)についてご紹介する予定です。

引き続き、よろしくお願いいたします。

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竹中和幸

あなぶきハウジングサービス  バイオエナジー事業所
竹中 和幸(たけなか かずゆき)

分譲マンションの管理担当(フロント)を経て、2023年より出身地である宮崎(日南市)にて、焼酎廃液(焼酎製造過程で排出される蒸留粕)の再生利用(資源の有効活用)に取り組んでおります。

保有資格:宅地建物取引士・管理業務主任者
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