こんにちは!あなぶきハウジングサービスバイオエナジー事業所の竹中です。
前回、弊社が取り組むバイオエナジー事業の概要として、産業廃棄物として処分予定の焼酎廃液(粕)と規格外のサツマイモを活用し、新たな資源として、エタノール燃料(バイオマス燃料)と土壌改良材(農業用資材)を製造している点についてご紹介いたしました。
今回は、本事業の主要原料となる焼酎廃液(粕)とは? 焼酎(お酒)とは? について調べてみましたので、酒のツマミになる話として、ご一読い頂ければ幸いです。
目次
1.はじめに
2.お酒とは
3.焼酎とは
4.焼酎廃液(粕)とは
5.さいごに
1.はじめに
日本国内で製造されるお酒は、年間約800万キロリットル生産されており、内ビール類(ビール他発泡酒等を含む)が約20%、焼酎類が約8%、日本酒類が約4%を占めております。
焼酎について着目すると、年間約66万キロリットル生産されており、内約33%は南九州の宮崎と鹿児島の2県で製造されております。
本事業所が所在する宮崎においては、県内で38の焼酎蔵元(43の醸造所)があり、国内の約18%を占める焼酎王国と言えます。
焼酎の種類としては、麦焼酎が全体の55%を占めており、以下芋焼酎19%、米焼酎17%、そば焼酎6%、残りが酒粕・黒糖・とうもろこし・胡麻焼酎他となります。
2-1.お酒とは(起源)
世界で最古のお酒は、紀元前7,000年頃に現在の中国で製造された醸造酒(原料:米、果実、はちみつ)の蜂蜜酒(ミード)、日本で最古のお酒は、紀元前3,000年頃にヤマブドウを原料とした果実酒(ワイン)と言われており、日本酒は西暦800年(平安時代)頃から作られ始めたようです。
2-2.お酒とは(種類)
お酒とは、酒税法によりアルコール分1度以上の飲料の総称として定義されており、酒税法と製造方法によりそれぞれ分類されます。
今回は製造方法としての分類についてご紹介いたします。
製造方法としては、醸造酒・蒸留酒・混成酒(再製酒)の3種類となり、これらの詳細は次のとおりです。
醸造酒とは・・・
米などの原料に酵母を加え、アルコール発酵させたものをろ過した液体で、アルコール発酵させたままの状態で飲まれるものです。
代表的なものとして、日本酒・ビール・ワイン等が挙げられます。
蒸留酒とは・・・
醸造酒を蒸留して作ったお酒であり、スピリッツ(spirits)とも呼ばれます。
代表的なものとして、焼酎・ウイスキー・ウォッカ・テキーラ等が挙げられます。
混成酒とは・・・
醸造酒や蒸留酒に香料・果実・糖を加えてたお酒です。
代表的なものとして、梅酒・リキュール・ベルモット・みりん等が挙げられます。
3-1.焼酎とは(起源)
焼酎の起源は諸説あるようですが、西暦1400~1500年頃にタイから琉球・薩摩を経由し全国へと伝わったという説が有力のようです。
当初は米を原料とした米焼酎が主流でしたが、鹿児島の土地は火山灰が主なシラス台地なため米作りには適さず、シラス台地でも栽培可能なサツマイモ(沖縄経由にて鹿児島に伝わる)が盛んに生産されたことから、サツマイモを原料とした芋焼酎が南九州では主流となったようです。
3-2焼酎とは(種類)
酒税法により、糖を含む原料に水と酵母を加えて発酵させた醸造酒(発酵液)を蒸溜して造られるお酒であり、先に触れましたとおり蒸留酒に該当し次のとおり分類されます。
①単式蒸溜機で蒸留されたアルコール度数45%以下のもの
⇒単式蒸溜焼酎・焼酎乙類・本格焼酎
※昔ながらの蒸留法で、一度の原料投入につき一度のみ蒸留を行うため、アルコールの精製度が低くなるなり、
原料の風味を残すことができます。
②連続式蒸留機で蒸留されたアルコール度数36%未満のもの
⇒連続式蒸留焼酎・焼酎甲類
※イギリスで生まれた近代的な蒸留法で、原料と蒸気を連続的に供給することで高純度のアルコールを得ることができます。また、蒸留を繰り返すことで、最終的には純度100%に近いアルコールを得ることも可能です。
3-3焼酎とは(アルコール度数)
ところで、焼酎製造が盛んな九州においてアルコール度数の主流は25度ですが、宮崎(大分の一部)では、現在でも20度の文化が続いております。
芋焼酎を例に挙げると、蒸留したばかりのアルコール度数は36度程度であり、この原酒に水を加えながら、25度や20度に調整し商品化されております。
昭和初期の酒税法では、焼酎のアルコール度数は25度以上であるものに対して製造の許可がなされていたとのことです。(※アルコール度数が高くなるにつれ税金も高くなる。)
戦後、高い税金を逃れるための密造焼酎が増え、これに伴い税収が落ち込みましたが、密造酒対策として酒税法を改正(種類特別措置法)し、正規の酒造会社も25度以下の(税金の安い)焼酎を作ることが許可されました。
この密造業者の拠点となっていた場所が宮崎であり、国が特別に宮崎の酒造会社に20度の製造を許可した経緯から、現在でも宮崎では20度が主流となっている様です。
また、宮崎では焼酎の飲み方で、注文する際、ストレートのことを『き』と言いますが、これは『ストレート ⇒ 生 ⇒ き 』に由来しているとのことです。
なお、この20度の焼酎は、宮崎県内のみで販売されている場合が多く、同じ銘柄の焼酎でも県外では25度で販売されいる様ですので、宮崎にお越しの際は、20度の焼酎を堪能されては如何でしょうか。
4.焼酎廃液(粕)とは
焼酎(蒸留酒)の製造工程において排出されるものが焼酎廃液(粕)ですが、日本酒(醸造酒)でいえば酒粕と考えていただければ理解し易いか思います。
日本酒は発酵液を絞って、アルコールを含む液体が日本酒となり、絞り粕の残渣(水分を含んだ固形分)が酒粕となります。
これに対して、焼酎は蒸留によりアルコール(焼酎)を採取する為、残った残渣はイモくずや麹を含んだ液体となり、これが焼酎廃液(粕)となります。
また、焼酎廃液(粕)は、焼酎生産量の約2倍(焼酎一升瓶1本を製造するのに廃液(粕)は2本)排出されることとなり、以前は海洋投棄や農地還元等で処分されてきましたが、2007年のロンドン条約(海洋汚染の防止に関する条約)の改定に伴い、これまでの海洋投棄は原則禁止となり、その多くが産業廃棄物として処分されるようになりました。
私共の事業では、この焼酎廃液(粕)を産業廃棄物として受け入れ、エタノール燃料(バイオマス燃料)と土壌改良材(農業用資材)の原料として活用しております。
さいごに
今回、焼酎(お酒)と製造時に排出される焼酎廃液(粕)について、ご紹介させて頂きました。
次回は、私共の事業において、もう一つの原料となるサツマイモ(生芋)に関する雑学を予定しております。
引き続き、よろしくお願いいたします。
竹中和幸
竹中 和幸(たけなか かずゆき)
分譲マンションの管理担当(フロント)を経て、2023年より出身地である宮崎(日南市)にて、焼酎廃液(焼酎製造過程で排出される蒸留粕)の再生利用(資源の有効活用)に取り組んでおります。
保有資格:宅地建物取引士・管理業務主任者
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