こんにちは、テクノ防災サービスの北村です。
今回は、弊社で実施している「建築基準法第12条に基づく定期点検」について、種類や内容を簡単にご紹介いたします。
記事の後半で、火災が発生した際に煙を外に排出する排煙機の起動時の様子や、停電時に非常用照明が点灯した様子をのせております。
普段見ることの出来ない様子を撮影しましたので、ぜひご覧ください!
【Ⅰ.「建築基準法第12条に基づく定期点検」とは】
まず「建築基準法第12条に基づく定期点検」とは、
不特定多数の人が利用する建物の所有者・管理者は、構造や躯体、設備等を定期的に有資格者に点検をさせ、その結果を特定行政庁に報告しなければならないと法律で定められた点検の事です。
点検には、12条1項で定める特定建築物定期調査、12条3項で定める建築設備定期検査・防火設備定期検査・昇降機等定期検査の4種類があります。
また検査者は、一級建築士・二級建築士・国土交通大臣が定める資格を有する者と定められております。
「不特定多数の人が利用する建物」や「定期的に点検」等、曖昧な説明になってしまいましたが、これには理由があります。
各都道府県や市区町村によって報告する建物の規模や用途、検査の内容や設備の種類、報告の時期や回数が異なるからです。
今回は東京都を例にあげ検査対象の建物や検査内容を簡単にご紹介いたします。
【Ⅰ-1.定期報告対象建築物】
東京都では建物の用途を17に分けて、それぞれ定められた階数や床面積を超える建物を報告対象の建築物としています。
例えば、旅館やホテルではその用途が3階以上かつ床面積2000㎡以上の建物、共同住宅では5階以上かつ床面積1000㎡以上の建物が対象になります。
その他の用途では、映画館や観覧場、百貨店、児童福祉施設、病院、飲食店、事務所などがあります。
【Ⅰ-2.特定建築物定期調査】
特定建築物定期調査では、大きく分類すると下記の6項目の劣化や損傷・維持保全の調査になります。
- 敷地及び地盤(地盤・塀・敷地内の通路等)
- 建築物の外部(建物の基礎・土台・外壁等)
- 屋上及び屋根(屋上・屋上周り・屋根等)
- 建築物の内部(壁・床・天井、防火区画、防火設備等)
- 避難施設など(廊下・避難上有効なバルコニー・避難階段・排煙設備等)
- その他(煙突や避雷針等)
【Ⅰ-3.建築設備定期検査】
建築設備定期検査では、下記4設備の検査になります。
- 換気設備(無窓居室・火気使用室)
- 排煙設備(※機械排煙設備のみ)
- 非常用の照明装置
- 給排水設備(受水槽・高置水槽・排水槽等)
【Ⅰ-4.防火設備定期検査】
防火設備定期検査では、煙感知器連動の防火扉や防火シャッター、耐火クロススクリーン、ドレンチャーの検査となります。消防点検でも検査の対象になりますが、防火設備定期検査では、起動閉鎖の確認だけではなく、避難の際に閉鎖する防火扉に挟まれて怪我をしないか、運動エネルギーを計算する等、より詳しい検査を行います。
【Ⅰ-5.昇降機等定期検査】
昇降機等定期検査では、エレベーターやエスカレーター等の建築物内の昇降機から、観覧車やジェットコースター等の遊戯施設の昇降機の検査になります。
【Ⅱ.排煙機・非常用照明について】
先ほど【Ⅰ-2.建築設備定期検査】で紹介しました排煙設備・非常用照明について、
「あなぶきPMアカデミーTOKYO」にて、実際に起動・点灯した様子を撮影してきました。
仲井館長、ご協力ありがとうございました!
《排煙設備》
排煙設備とは、火災が発生した際に煙を外に出す設備で、自然排煙設備と機械排煙設備の2種類があります。
今回撮影してきたのは機械排煙設備になります。
実際の火災時には、火災を確認した人が排煙口開放装置を押し、排煙口が開放します。
排煙口の開放と連動して、排煙機が起動し室内の煙を外部へ排出することになります。
動画は下記順番で流れます。
- 排煙機
- 排煙口の開放
- 排煙機起動
《非常用照明》
非常用照明とは、停電時に建物内の人が安全に避難できるよう設置された蓄電池を持つ照明設備です。
動画は下記順番で流れます。
- 「通常時の様子」
- 「停電すると」
- 「非常照明点灯(点灯試験にて)」
- 「非常照明点灯した様子」
動画では最後の非常用照明が点灯した様子でも暗くなってしまいましたが、実際には机や椅子などもはっきり見え安全に避難ができる明るさです。
【Ⅲ.まとめ】
今回は「建築基準法第12条に基づく定期点検」について説明させて頂きました。
私達が普段何気なく利用している建物では、今回紹介させて頂いた点検の他にも多くの点検や検査が行われ、
設備の維持や利用する人の安全が確保されています。
今後お買い物等にお出かけになる際には、少し天井を見上げて頂き、今回動画でご紹介しました排煙設備や非常用照明が設置されているか確認してみてください!
今回はこれで終わりになります。
少し堅苦しい説明が多くなりましたが次回以降の記事では、詳しい検査の内容や風景をご紹介できればと思っております。
それではまた次回もよろしくお願いします。
北村順平
2007年あなぶきクリーンサービス入社
12年間 マンションの清掃設備維持管理の営業を担当、2019年7月からテクノ防災サービスにて、消防設備点検や特定建築物検査の営業を担当
施設管理に欠かせない法定検査になりますので、漏れの無い提案を心がけております。
初めての東京での生活で、休日には東京観光を楽しんでます。
最新記事 by 北村順平 (すべて見る)
- 自動火災報知設備とはどんな設備? - 2022年7月19日
- 消防設備士とは? - 2022年6月19日
- 換気設備ってどんな設備? - 2022年5月20日