こんにちは、あなぶきセザールサポートの久米です。
前回は管理組合に管理費等が入金された場合の仕訳をご説明しました。
今回は管理組合が清掃や工事を実施しその支払いをする際の仕訳を見てみましょう。清掃費や工事費は完了を確認してから支払いをするので、支払いが翌月になる場合もあります。その場合の仕訳はどうなるのでしょうか?
- 例題
- 解答
- 考え方
- まとめ
例題
管理組合の下記の取引に関して3月の仕訳を考えてみましょう。
この管理組合の会計年度は4月1日から3月31日であり、期中の取引において企業会計原則に基づき厳格な発生主義によって経理しているものとします。
・取引
3月31日に次の内容の諸費用 450,000円を普通預金から振込により支払った。
・雑排水管清掃費 100,000円
(2月実施、2月請求、3月支払い)
・水道光熱費 150,000円
(3月分)
・ボイラー修繕費 200,000円
(4月実施予定分、3月支払い)
解答
この例題の正しい仕訳は以下の通りとなります。
考え方
まずは3月に普通預金から支払われていることから、貸方(右側)の勘定科目は『普通預金』であることが分かります。普通預金 450,000円 が貸方に来ます。
次は借方(左側)の勘定科目を考えていきましょう。
まず雑排水管清掃費ですが、2月に実施したものを3月に支払うという事になります。文中に「期中の取引において企業会計原則に基づき厳格な発生主義によって経理している」とあります。これは期末だけでなく期中も発生した収入や経費についてはその月で収入・費用計上しているという事です。2月に発生(実施)したものは2月で費用計上され、未払金も計上されていることがわかります。未払金(負債)で計上した清掃費を3月に支払っているので借方に 未払金 100,000円 が来ます。2月に下記の仕訳が計上されていると考えられます。
次に水道光熱費ですが、3月分を発生した3月に支払うのでそのまま水道光熱費として計上します。借方に 水道光熱費 150,000円 が来ます。
最後にボイラー修繕費ですが、まだ実施してない修繕費を支払うわけですから3月では経費を計上しません。修繕が発生(完了)した月に修繕費を計上することになります。工事代の支払いはしていますので『前払金』として計上します。借方に 前払金 200,000円 が来ます。予定通りに4月に修繕が完了した場合は下記の仕訳を計上します。
まとめ
前回今回といずれも普通預金にかかわる仕訳をご説明しました。ポイントとしてはまず普通預金の動きを考えることです。入金になったら普通預金(資産)の増加となりますので勘定科目の普通預金は右側の『借方』に来ますし、支払っていたら逆の左側『貸方』に来ます。『未収入金』や『未払金』が借方、貸方どちらに来るのかわからない!という人もまずは普通預金を基準に考えていくと良いでしょう。
久米 則子
新卒で入社してから経理一筋。ホテル業の経理、マンション販売の経理、マンション管理業の企業会計とさまざまな業種の経理業務に携わってきました。現在はマンション管理組合の会計業務に従事し、スピードと正確性を重視し、忙しい時こそ笑顔で!をモットーに仕事に取り組んでいます。管理業務主任者を取得し、資格を活かした会計業務のお役立ち情報をお届けしたいと思います。
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