おはようございます、あなぶきセザールサポートの飯野です。
大規模修繕工事の実施には大きな費用が発生しますが、みなさんの管理組合ではしっかりと計画を立てて貯蓄出来ていますでしょうか?
マンションの販売時に設定される修繕積立金はマンションを売りやすくするため低く設定されている事が多いので、大規模修繕工事を見据えて段階的に値上げをしていかなければならないマンションがほとんどです。そのためマンション竣工後一度も値上げをしていないような管理組合は資金不足に陥る可能性があるため注意が必要です。
資金不足の理由は当初の計画を上回る工事費用が発生したり、修繕積立金の値上げを総会へ上程するも組合員の賛同が得られず値上げできなかったり、管理会社が値上げを提案するも理事会で否決をしていたり、そもそも管理会社が全く提案しなかったりと様々です。
本日は大規模修繕工事を実施しなければならない状態であるにもかかわらず資金不足に陥っている管理組合の皆様へ、私が過去に経験した事例をご紹介します。
- 大規模修繕工事の際に資金不足に陥った管理組合A~借入編~
- 大規模修繕工事の際に資金不足に陥った管理組合B~時金徴収~
- まとめ
・大規模修繕工事の際に資金不足に陥った管理組合A~借入編~
冒頭お話しした理由により大規模修繕工事の際に資金不足になる管理組合は数多くあります。その場合に多くの管理組合が選択するのがこの事例です。
管理組合で行う借入は銀行等通常の金融機関とは別に、マンション管理組合が共用部修繕を使途とした場合にのみ融資が受けられるローンがあります。このローンの利用は総会で借入決議が必要であったり、管理費と修繕積立金が分別されて管理保管されていることなどいくつか条件がありますが、これらをクリアすると一般的な金融機関の金利より低金利(3.0~5.0%程度)で借入することができます。これは大規模修繕工事に限らず給排水管の改修やその他マンション共用部の修繕等でも借入する事ができるため、広く利用されています。
金融機関にもよりますが担保や保証人、保証料も不要で融資を受けられる等のメリットも多いため、検討してみるのもいいと思います。
・大規模修繕工事の際に資金不足に陥った管理組合B~一時金徴収~
この管理組合Bも大規模修繕工事の見積りを取得したところ、手持ちの預金残高では支払う事が出来ないことがわかりました。大規模修繕工事を先送りにすることも検討されましたが、いたるところで漏水が発生しており至急の工事実施を要する状況でした。多くの管理組合では、借入を選択して大規模修繕工事を実施しますが、この管理組合Bでは管理組合が借金を背負うことに抵抗がある方が多くいたため、所有者がそれぞれ一時金という形で工事費用を捻出し、無事に工事を終える事が出来ました。
この時の一時金の金額は約80万円程度でしたが、所有者の皆様が躊躇なく支払う事が出来たため問題なく進める事ができましたが、一般的なマンションの所有者はローンを組んだ状態でマンションを購入しており、毎月のローンの他に一時金を用意できない方が多いためあまり選ばれない選択肢です。
ちなみに一時金徴収額はマンションの持分割合により算出することになるため、部屋ごとで面積が大きく異なる場合はそれに伴い一時金徴収額にも差が生じ、意見がまとまらないこともあります。
・まとめ
本日は事例2つを紹介しましたが、実はあと2つ紹介したい事例があります。長くなってしまうので2回に分けてご紹介します。次回もぜひ読んでいただいて、皆様の大規模修繕実施の参考にしてください。
飯野琢磨
前職では大工や建築積算を経験。入社後、マンション修繕工事のコンサル業務、分譲マンションのリプレイス営業、分譲マンションのフロントを経験。
マンション管理のことについてはもちろんのこと、リフォームやリプレイスなどさまざまな視点から幅広い情報を提供します。
所有資格:一級建築士・マンション管理士・管理業務主任者・宅地建物取引士
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