こんにちは!あなぶきハウジングサービスの関です。
これから1年間会計や税金等についてブログを担当させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします!
今回は『印紙税』について、ご紹介させていただきます。
この記事を読んで少しでも印紙税に関する知識を深めていただければ幸いです。
印紙税とは
印紙税は日常の経済取引に伴って作成する契約書や領収書などに課税される税金です。
一般的には文書を作成した人が定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、消印(はがして再利用できないよう印紙に半分またがるように押印または署名すること)することで納付する税金になります。
収入印紙は郵便局、法務局、コンビニエンスストアなどで気軽にお買い求めいただけます。
収入印紙で納付する以外にも税印押なつ、印紙税納付計器の使用、印紙税納付申告書の提出をして金銭による納付をする方法もあります。
この記事では、収入印紙による納付について取り上げたいと思います。
収入印紙が必要な文書の条件
どのような文書に収入印紙を貼る必要があるのか皆さまはご存じでしょうか?
印紙税が課税されるのは印紙税法で定められた課税文書に限られており、不課税文書には課税がされません。
また、文書の内容が印紙税法の課税文書に当てはまったとしても、金額によっては非課税文書として扱われる場合があります。
課税文書(印紙税が課税される)
次の3つのすべてに当てはまる文書
・印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること
・当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること
・印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと
文書に貼り付ける収入印紙の額は「印紙税額一覧表(国税庁より引用)」により確認することができます。
非課税文書(印紙税が課税されない)
課税物件表に掲げられている文書のうち、次のいずれかに当てはまる文書
・課税物件表の非課税物件の欄に掲げる文書
・国、地方公共団体又は印紙税法別表第2(非課税法人の表)に掲げるものが作成した文書
・特別の法律により非課税とされる文書
自然災害等により被害を受けられた方が作成する「不動産の譲渡に関する契約書」や「消費貸借に関する契約書」などで一定の要件に該当する文書については、印紙税を非課税とする措置が設けられています。
また、新型コロナウイルス感染症等によりその経営に影響を受けた事業者の方に対して行う金銭の貸付けに際して作成される「消費貸借に関する契約書」で一定の要件に該当する文書については印紙税を非課税とする措置が設けられています。
不課税文書(印紙税が課税されない)
課税物件表のいずれの事項にも当てはまらない文書
つまり課税文書でも非課税文書でもない文書のことです。
【課税文書・不課税文書の例】
課税文書に該当するかどうかは文書の名称や文言でなく、文書の内容によって判断がされるため注意が必要です。
たとえば、、、
文書の名称は「覚書」となっていても、記載されている内容が課税物件表のいずれかに該当すれば、課税文書として判断されることがあります。
もしも、収入印紙を貼り忘れてしまったり、金額が不足していたりすると過怠税が徴収されるため注意が必要です!
課税文書か否かの判断に迷った場合は管轄の税務署へ文書を持ち込んで尋ねていただくことをおすすめします。
【印紙税の要否】
不動産取引における印紙税の取り扱い
不動産取引では、領収書・管理委託契約書・売買契約書などさまざまな場面で収入印紙が登場します。
これらの文書は収入印紙が不要になる場合も中にはあるのでそれぞれご紹介したいと思います。
領収書の発行
不動産売買の手付金支払い時などに発行する領収書は課税物件表第17号文書に該当するため、収入印紙が必要です。
しかし、領収書に収入印紙が必要なのは売主に営利目的がある場合なので、非営利目的の場合は不要となります。
営利目的(収入印紙がいる)
⇒不動産会社所有の物件売却、個人の賃貸用の駐車場やアパートの売却
非営利目的(収入印紙がいらない)
⇒個人のマイホームや別荘の売却
また、領収書発行を紙ではなくメールやFAXで交付した場合、
課税文書を作成したとみなされないので収入印紙は不要となります。
この場合、領収書を受け取った側が保管のために印刷をしても印紙税はかかりません。
請求書や領収書をファクシミリや電子メールにより貸付人に対して提出する場合には、実際に文書が交付されませんから、課税文書は存在しないこととなり、印紙税の課税原因は発生しません。
ただし、メールやFAXで送った後に、改めて紙の現物を相手先に交付した場合には課税文書に該当するため印紙税がかかります。
管理委託契約の電子化
令和3年3月1日付でマンション管理適正化法が改正されたことにより、管理組合との各種書面を電磁的方法による交付をすることが可能になりました。
対象となる書面は下記のとおりです。
・重要事項を記載した書面(第72条関連)
・契約成立時の書面(第73条関連)
・管理事務を記載した書面(第77条関連)
これまでは管理組合と管理会社が契約書を交わす度に収入印紙の貼付が必要でした・・・
しかし、改正によって管理委託契約書などが紙だけでなく、電磁的方法でも交付ができるようになりました!
電磁的方法で交付する場合、課税文書の作成にならないので収入印紙が不要となります。
(契約の成立時の書面の交付)
第七十三条 3マンション管理業者は、第一項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、 当該管理組合の管理者等又は当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって前項の規定による措置に準ずる措置を講ずるものとして国土交通省令で定めるものにより提供することができる。この場合においては、同項の規定は、適用しない。
引用:(一社)マンション管理業協会より「マンション管理委託契約における重要事項説明書・契約成立時の書面・管理事務報告書の電磁的方法による交付に係るガイドライン」
弊社でも「クラウドサイン」という電子契約サービスを導入しており、実際に管理委託契約書の電子化を組合より承認いただいている事例もあります。
電子契約の導入によって印紙税の削減だけでなく改ざん防止や保管場所に困らないなどのメリットが考えられます。
管理会社より電子契約の提案を受けている方がいらっしゃいましたら、前向きに検討してみてはいかがでしょうか?
契約書のコピー
不動産の売買に伴い作成する、不動産売買契約書は課税物件表第1号1文書に該当するため、収入印紙が必要です。
一般的に契約書は売主分と買主分の2通用意するので、必要な収入印紙の枚数は下記のようになります。
契約書を2通作成した場合: 2枚
契約書を1通作成し、もう1通はコピーの場合:1枚(現物に貼付する)
控えとしてコピーした文書は課税文書には該当しない為、収入印紙は不要となります。
1通のみ作成し売主と買主で収入印紙代を折半することも多くなってきています。
しかし、コピーの場合でも、以下の場合には課税文書に該当するため収入印紙が必要になります。
・契約当事者の署名押印があるもの
・コピーに「原本(正本)と相違ない」旨の記述がされてあるもの
・原本とコピーに割印があるもの
貼付漏れになると過怠税が徴収されるのでご注意ください!!
まとめ
印紙税について解説していきましたが文書の内容と金額、紙の文書であるかどうかが判断のポイントとなります。
課税文書か否かは文書の内容によって判断されるので「課税文書ではないと思いこみ収入印紙を貼っていなかった」ということになると、ペナルティーが発生してしまいます。
当初に納付すべき額より多く支払わなければならないようにしないためにも、管轄の税務署へ問い合わせることをおすすめします。
また課税文書であっても、実際に文書が交付されない場合(FAXやメール、電子契約等)は印紙税がかかりません。
電子化することで受けられるメリットもあるので、よろしければ前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
正確な知識を持ち、的確な処理をしていきましょう。
関優佳
関 優佳(せき ゆうか)
香川県出身。2018年に新入社員として入社し経理課に配属となりました。
入社後2年間は高松本社にて従事しておりましたがその後異動になり、現在は東京で勤務しています。
東日本をメインに、社員の方々を会計面からサポートしております。
会計や税金等について情報を発信して皆様のお役に立てればと思います。
趣味はYouTube鑑賞
ハマっているYouTuberの動画を見ながら食事を作るのが日課です。
保有資格:管理業務主任者、日商簿記検定2級
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