いつも元気にほがらかに、現場監督の河野です。
マンションやホテル・ビルの外装工事では、安全に作業を行うために、建物の外周に足場を設置し足場シートをかけ、改修工事の作業を行います。この足場のシートですが、日光を遮蔽し、お部屋うちの採光を損ねてしまい、ご入居の皆様にとっては、快適な居住空間を損なわれていると思われがちです。
マンションライフでは、採光を損ねる一方、日が当たらないメリットもあります。例えば、日光が当たらないために、夏場は涼しく感じる!など…。と、いいながらも、工事期間中は皆様の快適な居住空間に必要な日光を遮蔽してご迷惑をおかけいたしております。暗く感じられるために、必要な照度を確保するために照明器具を利用いただくなど、…。
今回は、皆様の生活から奪われた採光について足場シートによる採光の遮蔽効果をハンティングしてこようと思います。
建物等における修繕工事の採光の遮蔽について
建物の外壁の修繕を行う際には、建物外周に作業員が工事を行うために足場を組み立て足場シート(メッシュシート)にて囲います。その際に、この足場シート(メッシュシート)により居室の採光が遮蔽されてしまいます。
マンションなどの外壁修繕工事を実施する際には、建物の外周に設置する足場に面して足場シートが貼り付けられます。
これは、建物外壁の修繕工事を作業員が安全に施工するためであり、工事による塗装の飛散や外壁の劣化したタイルやモルタル・コンクリートなどの破片の飛散・落下、さらには作業員の落下を防ぐためのものであります。
しかしながらも、この足場シートによりお住まいの皆様には日常生活におかれましては、採光を遮断してしまうといった、ご不便をおかけすることとなっておりますので、マンション・ビルなど外壁の修繕工事が始まり、建物の周りに足場が設置されると、お部屋の中がかなり暗くなったということを耳にし、不快な思いをするのではないかと不安な気持ちになられる方の御意見をいただくことがあります。
ご入居の皆様には、生活をする上では、ご迷惑・ご負担をおかけすることになる 『採光の遮蔽』!これについて、一番の原因は足場シートの設置によるものでありますが、この足場の足場シートについて、一つ紹介をさせてください。
足場のシートについては次のようなものがあります。
足場シートの種類について
・防炎シート:延焼を防ぐ目的とされています
・防音シート:工事音などを周囲へ飛散させないことを目的とされています
・塗装シート:塗装などの飛散防止を目的とされています
・ブルーシート:防水・防風・防塵・目隠しを目的とされています
マンションやビルなどの外壁の修繕工事では一般的に塗装シートの部類のシートが多く使われます。また、隣接建物などへの工事音対策としてこれと別に防音シートと2重に設置する場合もあります。
メッシュシートとは・・・・。
メッシュシートは、主に建築工事現場で足場等の仮設構造物の外側構面に設け、飛来落下物が建築工事現場の外側へ飛び出すことを防止するために使用します。
メッシュ状のシートなので通風性が良く、通気性があるため、風圧による足場への負担を和らげます。また、防炎性や工事による塗装などの飛散防止にも優れています
居住空間に必要な採光・照度について
『採光』とは、『照度』とは、
『採光』とは、室内を日光により明るくすることをいい、『照度』とは人が明るいと感じる量と思ってください。
ここで、建物などのお部屋うちでは必要とされる照度が決められておりますが、マンションなどの住宅居室により推奨されています。
リビング:手芸・裁縫(750lx~2000lx)読書・化粧・電話(300lx~750lx)
書斎・勉強室:勉強・読書(500lx~1000lx)etc
潜入調査
それでは、工事期間中に奪われた採光を、現場監督の河野が足場シートにより採光がどれだけ遮断されているのか潜入調査してみようと思います。
工事が始まり、足場の組み立てを進めていくにあたって、足場のシートにより失われた採光。
今回はマンションの改修工事現場をのぞいてみましょう。
スマートフォンなどの無料照度計アプリなどを使って、工事期間中における照度を計測してきました。このアプリはカメラ機能を使って照度を測るもので、簡単に雰囲気を図ることができますので、今回はこのアプリを使って体感してみましょう。
足場シートのあるなしの照度変化と方位による照度変化
建物の外周に設置された足場シートをはぐってみて照度変化を計測してみました。また、参考までに建物に面する方角によっても照度が異なりますので、スマートフォンを360度回転させて撮影してみました。
※スマートフォンなどの無料計測アプリでの撮影をさせていただいておりますので、目安として体感ください。実際の照度の精度の誤差を計測することを目的とといたしておりませんので、ご容赦くださいますようお願い申し上げます。
それでは照度計での計測結果です
今回は足場内で足場のシートをはぐってみて照度の変化を撮影しました。
昼間の南面ですが、足場のシートによって陰った部分の照度は6000lx程度に対して自然採光は25,000lx程度と約4分の1程度遮断されていました。
また、足場内のお昼過ぎの東面では600lxと方位によっては直接太陽の光が当たらない場所ではだいぶ採光が減らされたように感じます。夕方では360度回転してみましたが、カメラがとらえた照度は方位によって異なるのがみてとれたと思います。
ちなみに、日没時の直接光が差し込む太陽光を計測してみましたところ
西側面では約16,000lx
北・南側面では約3,300lx
東側面では2,100lxとなっています。
今回の計測で26,000lxが6,000lxまで採光が減らされたという内容ではありましたが、それでも十分に光は得られているということをお伝えさせていただきたく思います。
と、いいましても、やはり手足元が暗いと皆様の快適な生活から光が遮られ、また、安全作業も行えず、事故の原因ともなりかねませんので、暗い場合は照明などを使って安全作業を行って日々工事を行っております。
まとめ
ということで、今回、マンションライフ大規模修繕工事における採光・照度を通じて足場シートをご紹介させていただきました。
どうして足場をかけると暗くなりどのような作業のために必要なものなのか、わからないと不快になるばかりです。快適なマンションライフのために採光による照度の低減について実情を紹介させていただき、皆様に少しでもご理解を得られたらと思います。
この照度計測アプリさえあれば、気になる採光不測ヶ所を発見できると思います。計測しなくても体感して暗いといった場所は照明器具等を使って、明かりを調達する必要があります。
ご指摘がありましたら、最寄りの現場監督員までお気軽にお申し付けくださいませ。
それでは、また、お会いしましょう ご安全に!!
河野通明
分譲マンションの新築工事の現場監督から、管理組合運営のサポート業務を行うフロント担当を経て、現在はマンション大規模修繕工事の現場管理に携わっております。
管理組合運営業務に携わった経験を活かして、安心・安全の工事に努めます。
保有資格:1級建築士・1級建築施工・土木施工・管工事施工管理技士・マンション管理士・維持修繕技術者・管理業務主任者
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