前回の「ふるさと納税① ルール変更で厳格化!お得度に影響があるかも!?」に引き続き、ふるさと納税の注意点について解説していきます。
「確定申告」と「ワンストップ特例申請」 忘れるとどうなる?
ふるさと納税を行って忘れてはいけないのが『確定申告』もしくは『ワンストップ特例申請』です。
どちらかをしないと寄付金控除が受けられないので、皆さん必ず行っていますよね。
ふるさと納税が初めてで???が浮かんだ方は、総務省のふるさと納税ポータルサイトをご覧ください。
総務省|ふるさと納税のしくみ|ふるさと納税の流れ (soumu.go.jp)
では、その二つのどちらかの手続きを忘れてしまったらどうなるのでしょうか?当然控除は受けられません。でも安心してください!5年以内に新たに手続きをすれば、控除を受けられるようになります。
→確定申告をしてください
★確定申告を忘れた、または申告期限を過ぎてしまった
→5年以内にふるさと納税をした年の確定申告をしてください(還付申告)
★確定申告をしたけど、ふるさと納税に関する記載を忘れた
→更正の請求をしてください
翌年の答え合わせ! 全額控除できてる?
さて…みなさんはふるさと納税をした翌年、全額控除が受けられているか確認をしていますか?
また、控除され戻ってきた(であろう)税金の金額をきちんと把握していますか?
ふるさと納税をお得に利用していたつもりが、自己負担が発生していた!戻ってきた分を使い込んでいた!なんてこともあるかもしれません。しっかり確認をしましょう。
確定申告とワンストップ特例制度 お金の戻ってくる方法が違う
『確定申告』をしたケース
控除される税金は「住民税」と「所得税」です。
「住民税」は翌年度の住民税から控除され、「所得税」は当年度の所得税から還付されます。
『ワンストップ特例制度』を利用したケース
全額「住民税」から控除されます。「住民税」は翌年度の住民税から控除されます。
…ややこしいですね。
控除とは払いすぎていた税金が差し引かれる
→翌年の住民税から、払いすぎていた住民税が差し引かれて請求がくる
還付とは払いすぎていた税金が戻ってくる
→払いすぎていた所得税が振込みで戻ってくる
これを踏まえて、もう一度簡単に言い換えします。
全額控除できていた場合、
『確定申告』をしたケース
振込みで戻ってくる分(所得税還付部分)+翌年支払う住民税が安くなる分(住民税控除部分)
=ふるさと納税額-2,000円(自己負担分)
『ワンストップ特例制度』を利用したケース
翌年支払う住民税が少なくなる分(住民税控除部分)
=ふるさと納税額-2,000円(自己負担分)となります。
どちらの方法でも控除される合計金額は原則同じです。
原則と書きましたのは、住宅ローン減税を併用する場合や、ふるさと納税で控除額を超えて寄付をする場合など、ケースによって変わる場合があるので注意が必要です。
ワンストップ特例制度を利用した場合の確認方法
住民税からの控除については、毎年6月に自治体から届く住民税決定通知書に記載があります。
摘要欄に 【 寄付金税額控除 】 の記載があるので一目瞭然ですね。
通知書に記載の金額=昨年度のふるさと納税額-2,000円(自己負担分)
であれば全額控除成功です。
確定申告を行った場合の確認方法
上記の住民税決定通知書に記載の金額に加え、所得税からの還付金の計算が必要になります。
還付金の計算方法は
(ふるさと納税額-自己負担分2,000円)×(所得税率×復興税率2.1%)です。
※所得税率は所得金額によって変わりますので国税庁のサイトでご確認ください。
No.2260 所得税の税率|国税庁 (nta.go.jp)
上記の式の金額+通知書に記載の金額=昨年度のふるさと納税額-2,000円(自己負担分)
であれば全額控除成功です。
住民税が安くなった!
でもそれはふるさと納税として払った分ですよ
所得税の還付金は振込みでされるのでお金が戻ってくる実感がありますね。でも、住民税の控除はなかなか実感がわかないので注意が必要です。
ふるさと納税は税金の前払いをしているにすぎないので
住民税が安くなった分=昨年度ふるさと納税で払った分
ということを忘れてはいけません。
一般的なサラリーマンですと、住民税は1年をかけて分割で給与から控除されます。(住民税の特別徴収)
たとえば寄付金税額控除が60,000円だった場合…
翌年6月から1年間、ふるさと納税をしていなかった場合より60,000円÷12ヶ月で、毎月約5,000円住民税が安くなり、手取り金額が増えることになります。
(※この5,000円手取り増加は正確でありません。あくまでも考え方としての例です。)
手取り金額が増えたといって、この5,000円をなんとなく使ってしまうとただの浪費になります。
毎月の手取金額のうち5,000円は
『昨年度のふるさと納税で使ったお金の戻りだ!
1年かけてふるさと納税に使った60,000円を回収しているんだ!』
ということを意識して、貯蓄に戻すなり、他に有効活用するようにしてください。
全額税控除できていなかった場合
最後に、『確定申告』や『ワンストップ特例申請』をしたにもかかわらず、全額控除できていなかった場合についてです。全額控除できていなかった場合は、必ず原因を確認しましょう。
原因① 寄付金上限額越え
ふるさと納税の控除上限額を超えて寄付していた。
これは仕方ありませんね。翌年度からふるさと納税の寄付金額を下げましょう。寄付金上限額のシミュレーションを行う際は、より正確に、細かい金額まで入力できるサイトを利用しましょう。
原因② 自治体での手続きミス
自治体で事務手続きにミスがあった。(※ワンストップ特例申請をした場合)
滅多にないことですが、実際に起きています。自分自身の手続きに問題が見当たらない場合は、各自治体に手続きがされているか問い合わせをしましょう。
原因③ ワンストップ特例申請の無効
ワンストップ特例申請が無効になっていた。(※ワンストップ特例申請をした場合)
ワンストップ特例申請をするにはいくつかの条件があります。
特に、年間で6以上の自治体に寄付をした場合、それまでに行ったワンストップ特例申請は全て無効になります。改めて確定申告を行う必要がありますので注意してください。
原因④ 確定申告書の記載ミス
確定申告書の記載にミスがあった。(※確定申告を利用した場合)
提出した申告書を再度確認してみましょう。申告に間違いがあった場合は更正の請求ができます。
まとめ
2回にわたってふるさと納税についてお話してきました。ふるさと納税を利用している方は増えていますが、控除の確認まではしてない方も多いのではないでしょうか?
ただの浪費になっていた!なんてことがないように翌年の控除金額の確認までしっかり行い、
お得にふるさと納税を活用しましょう!!
遠藤佳代
財務・経理本部 経理課
遠藤 佳代(えんどう かよ)
東京都出身 2008年入社後、2011年にあなぶきグループの一員になりました。
マンション会計課にて管理組合の会計業務に携わったのち、現在は経理課で会社の経理業務に従事しています。
皆様の身近で関心のある、お金にまつわる情報を発信していきます。
趣味:旅行(国内外問わず)・サッカー観戦(Jリーグ)
資格:日商簿記二級・管理業務主任者・マンション管理士・マンション維持修繕技術者・
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
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