「分譲マンション|連結送水管の耐圧試験と改修について」

北村順平

こんにちは、テクノ防災サービスの北村です。

今回は建物の火災消火の際に、重要な役割を持つ「連結送水管」についてお話をさせていただきます。

消防設備に関しては法令的なこともあり、硬い内容になりがちですが、気楽に読んでください。

 

1. 連結送水管とは

一定の規模以上の建物の場合、建物の廊下や階段踊場などに写真のような箱が設置されているのを見かけたことはあるでしょうか。(大きさや形に違いはあります)

中を開けると下記のようになっており、バルブがついています。

これが「連結送水管」という消火設備の放水口です。

連結送水管はあらかじめ建物内に消防用の配管を設置しておくもので、火災発生時に消防隊が放水による消火活動をしやすくするために重要な設備となっています。

消防隊が1階(傾斜地等、例外もあります)にある送水口から水を送り、3階以上の各階にある放水口にホースを接続することで、1階から各階まで届くような長いホースを使わなくても、合理的でスムーズな消火活動ができるようになってます。

こちらは送水口の例で、こちらに消防車からホースを繋ぎ、一定の水圧をかけて、消火に必要な水を建物に送り込んでいきます。

(建物の床面から立ち上がるタイプの送水口・壁面に埋め込まれている送水口などさまざまな種類の形がありますが、機能はすべて同じです。)

 

2. 放水口・送水口前の整頓について

連結送水管の前に散乱したごみや物品等があり、いざという時に消火活動に使用ができないと思われる事例が見受けられます。

これは非常に極端な例になりますが、このような状況になっている建物がありました。

これでは、いざというときに正常な消火活動が難しいことがご想像いただけるのではないかと思います。

また、送水口についても同様なことが考えられます。

特に自動車や自転車の駐車等により送水口の使用への支障が懸念されるケースが見受けられます。

常日頃から連結送水管の放水口や送水口の前に物品を置くのは避けていただきますようお願い致します。

3. 放水口格納箱の状態について

また、放水口格納箱が腐食して蓋が開かなかったり、使用しない状況でも蓋が外れていたりする事例も見受けられます。

(現在新たに設置されるものは腐食に強いステンレス製のものが増えてきておりますが、鋼板製の格納箱も多数ございます)

このような状況の格納箱は消防設備点検時に格納箱の指摘事項(不良またはお勧め)として、報告書に記載されていると思いますので、リニューアルにより新しい格納箱に更新する工事をお勧めしております。
(テクノ防災サービスにお問い合わせいただけましたら、改修工事などのアドバイスをさせていただきます)

 

4. 連結送水管配管の耐圧試験について

また、連結送水管の配管に対しては定期的に耐圧試験を行うことが、消防法で定められています。

その期間については以下の通りとなります。

●建物の竣工時に実施する

●竣工後10年を経過したものについては3年毎に実施する

  つまり、竣工から10年を経過しますと、3年ごとに実施しなければなりません。

実際に耐圧試験を行う際の手順は以下の通りとなります。
写真のように送水口と放水口で圧力を計測しながら送水口から圧力をかけていき、一定の時間、圧力の低下が見受けられないかを確認しながら点検をしていきます。
圧力の低下が見受けられる場合は、連結送水管の破断や脱管の恐れがありますので、調査が必要となります。
調査の結果によっては、大規模な改修工事が必要な場合もありますが、消火活動には非常に重要な設備となりますので、速やかに改修することをお勧めいたします。

5. 連結送水管ホースの交換または耐圧試験について

また、11階以上の階については、連結送水管に写真のようなホース及び放射器具がついている場合があります。

「屋内消火栓」と呼ばれる設備と似ていますが、

●屋内消火栓はあくまで初期消火を目的として一般の方が使用するためのもの

●連結送水管は消防隊が消防活動に使用するためのもの

という意味合いの違いがあり、連結送水管で使用するホースは屋内消火栓で使用するホースと比べ一般的に管径が太いものとなっております。(消火栓については別の機会にご紹介したいと考えております)

この連結送水管用ホースについても定期的に交換または耐圧試験が消防法により、必要となります。

●製造後10年を経過したものについて交換または3年毎に耐圧試験を実施

 

6. 結び

火災はたちまちのうちに居住されている方々の財産と生命を奪ってしまいます。

ご自身の、そしてご家族の、更にはご近所の財産と生命を守る為にも建物の共用部は常に整理整頓するようにしておくことも重要です。

また、連結送水管自体の耐圧試験も費用が掛かるものの必須の点検となりますので、そちらに備えて費用を積み立てるなども必要になるかと思います。

  次回は、最も身近な消防設備で火災の初期消火に重要な消火器の取り扱いを、動画にて紹介いたします。

 

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北村順平

テクノ防災サービス 北村 順平(きたむら じゅんぺい)
2007年あなぶきクリーンサービス入社
12年間 マンションの清掃設備維持管理の営業を担当、2019年7月からテクノ防災サービスにて、消防設備点検や特定建築物検査の営業を担当
施設管理に欠かせない法定検査になりますので、漏れの無い提案を心がけております。
初めての東京での生活で、休日には東京観光を楽しんでます。

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