こんにちは、仲井でございます。いよいよ本試験ですね。実力を上げるには、同じことを何度も繰り返すことが大事です。特に、過去問は「最高の予想問題集」ですので、何度も繰り返しましょう。そして、本試験前日は早めに寝ること、本試験当日は1つの問題に長時間こだわらないことが大事です。今回は、マンション標準管理規約の長期修繕計画のポイントを確認し、あわせてマンション標準管理委託契約書やマンションの管理の適正化に関する指針における長期修繕計画に関連する規定も確認しておきましょう。
目次
- マンション標準管理規約における「長期修繕計画」
- マンション標準管理委託契約書における「長期修繕計画」
- マンションの管理の適正化に関する指針における「長期修繕計画」
マンション標準管理規約における「長期修繕計画」
マンション標準管理規約では、管理組合は、「長期修繕計画の作成または変更に関する業務等」をおこなうとされています。
また、長期修繕計画の作成または変更は、総会の決議を経なければならないとされています。
建物を長期にわたって良好に維持・管理していくためには、一定の年数の経過ごとに計画的に修繕をおこなっていくことが必要であり、その対象となる建物の部分、修繕時期、必要となる費用等について、あらかじめ長期修繕計画として定め、区分所有者の間で合意しておくことは、円滑な修繕の実施のために重要であるといわれています。
そして、マンション標準管理規約の「コメント」において、長期修繕計画の内容および劣化診断に関する説明がされています。
1 長期修繕計画の内容について
マンション標準管理規約「コメント」では、長期修繕計画の計画期間が25年程度以上であることが最低限必要であるとされています。
また、計画修繕の対象となる工事として外壁補修、屋上防水、給排水管取替え、窓および玄関扉等の開口部の改良等が掲げられ、各部位ごとに修繕周期、工事金額等が定められたものであることも最低限必要であるとされています。
なお、長期修繕計画の内容については定期的な(おおむね5年程度ごとに)見直しをすることが必要であるとされています。
2 劣化診断(建物診断)について
マンション標準管理規約「コメント」では、長期修繕計画の作成または変更および修繕工事の実施の前提として、劣化診断(建物診断)を管理組合としてあわせておこなう必要があるとされています。
そして、長期修繕計画の作成または変更に要する経費および長期修繕計画の作成等のための劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、管理組合の財産状態等に応じて管理費または修繕積立金のどちらからもできるとされています。
ただし、修繕工事の前提としての劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、修繕工事の一環としての経費であることから、原則として修繕積立金から取り崩すこととなるとされていることに注意しましょう。
劣化診断(建物診断)に要する経費の充当は、よく出題されていますので、しっかり押さえておきましょう。
マンション標準管理委託契約書における「長期修繕計画」
マンション標準管理委託契約書「別表」では、マンション管理業者の基幹事務の1つとして「本マンション(専有部分を除く)の維持または修繕に関する企画または実施の調整」が記載されています。
これによると、マンション管理業者は、管理組合の長期修繕計画の見直しのため、管理事務を実施する上で把握した本マンションの劣化等の状況に基づき、当該計画の修繕工事の内容、実施予定時期、工事の概算費用等に、改善の必要があると判断した場合には、書面をもって管理組合に助言する、とされています。
また、長期修繕計画案の作成業務および建物・設備の劣化状況等を把握するための調査・診断を実施し、その結果に基づきおこなう当該計画の見直し業務を実施する場合は、本契約とは別個の契約とする、とされています。これもよく出題されているので、押さえておきましょう。
なお、マンション標準管理委託契約書「コメント」では、「長期修繕計画案の作成および見直しは、長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン、長期修繕計画作成ガイドラインコメントを参考にして作成することが望ましい」とされています。また、「長期修繕計画案の作成業務(長期修繕計画案の作成のための建物等劣化診断業務を含む)以外にも、必要な年度に特別におこなわれ、業務内容の独立性が高いという業務の性格から、修繕工事の前提としての建物等劣化診断業務等をマンション管理業者に委託するときは、本契約とは別個の契約にすることが望ましい」とされています。あわせて押さえておきましょう。
マンションの管理の適正化に関する指針における「長期修繕計画」
最後に、マンションの管理の適正化に関する指針における「長期修繕計画」の記載も確認しておきましょう。具体的には以下の通りです。
「マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値の維持・向上を図るためには、適時適切な維持修繕をおこなうことが重要である。特に、経年による劣化に対応するため、あらかじめ長期修繕計画を策定し、必要な修繕積立金を積み立てておくことが必要である。」
「長期修繕計画の策定および見直しにあたっては、必要に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の意見を求め、また、あらかじめ建物診断等をおこなって、その計画を適切なものとするよう配慮する必要がある。長期修繕計画の実効性を確保するためには、修繕内容、資金計画を適正かつ明確に定め、それらをマンションの区分所有者等に十分周知させることが必要である。」
「なお、建築後相当の年数を経たマンションにおいては、長期修繕計画の検討をおこなう際には、必要に応じ、建替えについても視野に入れて検討することが望ましい。」
「マンションを購入しようとする者は、マンションの管理の重要性を十分認識し、売買契約だけでなく、管理規約、使用細則、管理委託契約、長期修繕計画等管理に関する事項に十分に留意する必要がある」
マンションの管理の適正化に関する指針は、毎年のように出題されるので、念のため押さえておきましょう。
…今日はこのぐらいにしておきましょう。「長期修繕計画」については、設備・構造・維持・保全の分野で「長期修繕計画作成ガイドライン」が出題されることもあります。「長期修繕計画作成ガイドライン」は分量が多いですが、ざっと読んでおくとよいと考えます。
仲井悟史
東京イーストエリアで約10年にわたりマンション管理担当者を経験しています。前職は資格試験予備校で長年にわたり宅建等の講師として教壇に立っていました。その経験を活かし、現在、社内講師も務めています。息子たちと野球をしたり観たりすることが最大の楽しみ。
保有資格:管理業務主任者・マンション管理士・マンション維持修繕技術者・宅地建物取引士
特技:中国語
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