気温上昇を食い止めろ!?気候変動対策としての森林環境税 その①

田中 智恵

暑い~~今年は各地で最高気温を更新!などニュースをよく聞きます。

異常な暑さが続いてますね。夏は毎日35度以上が当たり前!になってしまうのでしょうか?

これから1年担当することになりました。田中智恵です。よろしくお願いします。

さて、今回は気温上昇に関わる森林環境税の話です。

何のために作られたの?目的は?

森林環境税が創設されたのは、2019年。

その目的のひとつは、森林を整備するため安定した財源を得るためです。土砂災害の防止や生物多様性・地球温暖化防止の観点から森林の整備が必要となっています。手入れが行き届いた森林は、土がフカフカで水を蓄える力があるため、土砂崩れを防止する働きがあるため災害防止になります。また、間伐をしたり保護することは水源の汚染を予防することや生物多様性につながります。

森林整備は、2015年採択されたパリ協定における温室効果ガス削減の目標達成にも影響します。森林は二酸化炭素を吸収しますが、日本は2030年度の温室効果ガスの排出を2013年度を基準として26%削減することを目標としました。
パリ協定の目標は各国ができるだけ早く、できるだけ大きく排出量を削減しようと自主的に決めたものですが、達成できなくても罰則はありません。自主的に目標を決められるので、参加しやすくなっているのですが、5年毎に各国がお互いの進捗を見ることになっています。

いつから始まったの?

2024年6月から各個人から徴収されることになったので、この時から始まったかのように見える森林環境税ですが、実はそれ以前から始まっていたんです。

2019年から2024年6月まではどうなっていたかというと・・
地方公共団体金融機構(都道府県と市町村の全自治体による共同法人)の公庫債券金利変動準備金が活用されていました。
都道府県と市町村の全自治体による地方共同法人が金利変動に備えて準備していた資金が使われていたんですね。

譲与基準

林野庁HPより

誰から徴収されるの?課税されない人はいるの?

日本国内に住所を有する個人が納税義務者となっています。

一人当たり年額1,000円徴収されることになりましたが、原則として個人住民税均等割が非課税の方は課税されません。

また、下記に該当される方も非課税対象となっています。

1,生活保護法による生活扶助を受けている方
2,障害者、未成年者、寡婦又はひとり親で前年の合計所得金額が135万円以下の方

3,前年の合計所得金額が政令で定める金額以下の方
【 非課税となる合計所得金額 】

扶養者がいない場合  38万円以下
扶養者がいる場合  28万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の数)+10万円 +16万8千円以下

*合計所得金額は市区町村によって基準が違う場合もありますので、詳しくはお住まいの市町村へお問い合わせください。

どういう仕組みになっているの?

森林環境税は地方税である個人住民税均等割と合わせて徴収されることになりました。住民税と一緒に徴収されますが、国税です。

市町村によって徴収された後、国の交付税及び譲与税配布金特別会計に収納され、都道府県・市町村へ譲与される仕組みになっているんですね。そして、特別会計から譲与された税金は「森林環境譲与税」と少し名前が変わります。

森林環境税 | BhavrajMarietta

総務省HPより

 

都道府県・市町村への譲与割合や基準はどうなっているの?

市町村・都道府県の割合は創設当時は 8:2 でしたが、2024年6月には 9:1 へ段階的に移行してます。創設当時は都道府県が市町村を主導する役割が大きいと考えられていて割合が多かったようです。

譲与基準以外にも林野率(総土地面積に占める林野面積の割合)が85%以上の市町村は1.5倍に割増、75%以上85%未満の市町村は1.3倍に割増など、森林面積が多いところに譲与されるよう補正がされています。

しかし、譲与基準において人口が多いところに多く配分されているのではないか?と問題があがり、2024年度には譲与基準の見直しがされました。

結果として私有林人工林面積の割合が増え、人口の割合が減り、現在は下記の譲与基準となっています。

譲与基準の割合は、市町村と都道府県で同じ基準となっています。

【 譲与基準 】

   ~2023年    2024年~
私有林人工林面積     50%     55%
林業就業者数     20%     20%
人口     30%     25%

 

まとめ

今回は森林環境税の目的や仕組み、どういう基準で都道府県や市町村へ譲与されるのか等を見てきました。

気候変動にはいろいろな理由があると思いますが、対策の一つとして、森林を整備して気温上昇を食い止めることができたらいいですね!人間だけでなく動植物が生きやすい環境を作ることで、私達の食べ物も安定して手に入れることができるのではないでしょうか。

次回は実際どこの都道府県・市町村にいくら譲与されているのか、実際どのように使われているのか等を見ていきたいと思います。

 

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田中 智恵

あなぶきハウジングサービス 
財務・経理本部 経理課
田中 智恵(たなか ちえ)

2009年入社
2年程組合の庶務業務を経た後、会社の経理業務に携わってきました。
現在は、九州エリアの経理を担当。
主に預金関係、売上・原価のチェック、立替精算書チェック、問い合わせ対応を行っています。

趣味:庭の手入れ、音楽鑑賞、読書
資格:日商簿記二級・管理業務主任者・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士ほか
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