あなぶき実重(さねしげ)建設の葛西です。「初めてお部屋をリフォームする」という方のお役に立てればと筆を走らせております。
今回は現在のマンションを「終の棲家」とするための介護関係のリフォームについてお話していきたいと思います。
目次
・介護リフォームの必要性
・ポイント1 通路幅
・ポイント2 手摺の位置
・ポイント3 色味や材質
・福祉介護ショールームのご紹介【画像&動画】
・まとめ
介護リフォームの必要性
介護と聞くと、やはりご両親との同居などを想定されるかもしれませんが、最近はどんどん核家族化が進んでいますので、今回のブログではお子さんが巣立たれて、夫婦二人で今住まわれているお部屋はそのままに、将来、車イスでの生活やベッドで過ごす時間が長くなった時を想定して書いていきます。
一昔前に「老々介護」という言葉がTVなどで頻繁に流れてましたが、これは高齢者が高齢者を介護するという現在の家族のカタチから生み出された言葉です。
実際、私もまだアラフォー男子ですが、あと何十年か後には、足や腰が悪くなり、車いすや寝たきりの生活を送る可能性は大いにあると思います。
しかしながら、子供やその家族に介護をしてもらうというのは、正直、子供たちの将来を想えば負担になりたくないと考えてしまいます。
そうなると頼れるのは、妻だけということになりますし、逆に妻が車いすでの生活になった場合は最も頼りにならなくてはいけないのは私しかいないなと考えています。
かといえ、妻もそのころには体力的に相当衰えがあるでしょうし、だからこそお部屋の中で出来る限り自分で生活できる範囲を増やすことが大切なのではないかと思います。
まだ私達には早いとお考えの、私と同世代のアラフォーの方も、是非一度、介護が必要な時期を迎えた際に、現在のお部屋にそのまま住めるのだろうかとお考えいただきながら読んでいただければと思います。
では実際にどのような部分に手を加える必要があるかと言うのを大きく3つにわけてご紹介していきたいと思います。
ポイント1 通路幅
まず一つ目は「通路幅」です。
この場合の通路とは生活動線のことを指しますが、一般的に50cm~60cmあれば成人男性でも通りぬけが可能ですが、車いすではそうはいきません。
大体、自走用の車いすは62cm程度ありますので、ハンドル操作の為の手や腕のスペースまで考えると80cm弱が必要です。
これならば大体いまの住宅の廊下などは大体80cm以上はあるはずなので、問題なさそうに思えますが、これは玄関から各室までがまっすぐの場合は問題ないかもしれませんが、実際はそうはいきませんよね。
方向転換するスペースを考えると、直角に曲がる場合でも90cm程度、360度回転する場合は150cmほどのスペースが必要になります。
また廊下の幅は80cmあっても、ドアが80cmなければ入室できませんのでドアの大きさも非常に大切です。
対策としては、マンションは隣の部屋と隣接している壁以外は自由にリフォームが可能ですので、いらない部屋を壊して廊下などの幅を広げることが重要です。
仮にリビングが南向き、北側に廊下を挟んで洋室が2室ある2LDKに住まわれている場合、北側のお部屋の片方を半分程度の大きさにし、納戸などとして使います。
これにより廊下幅が確保できるようになります。
お子さんが巣立ったあとは物置になっているケースも多く見受けますので、思い切って納戸にしてしまっても、使い勝手はさほど悪くないかと思われます。
廊下以外にも、ドアと家具、キッチンと家具の間のスペースなんかも広くとる必要がありますので、上記のような案は廊下だけではなく、リビングなどのスペース拡大にも使える手ですので覚えておいて下さい。
ポイント2 手摺の位置
介助があれば歩行ができるといった場合、非常に大切になるのが、手摺です。歩行の際も非常に頼りになりますが、立ち上がるときや、座るときにも大活躍しますので、手摺を必要な場所に、もっとも力が入りやすい高さや位置に設置することは大きなポイントになってきます。
また体力が衰えると握力も弱くなり、手摺を握る力も弱くなり、つかんでいたつもりが、手が離れてしまい転倒するといったケースも多々ありますので、つかみやすい形の手摺をつけることも大切ですね。
具体的には形状がストレートなものではなく、波打っているものや、滑り止めがついているものがオススメです。
取付ける位置としては、お部屋のほうでいきますと、まずは廊下です。
少なくとも片側には長い距離を設置しておきたいですし、出来れば両側につけておけば左右いずれかの半身が衰えても安心ですね。
ただ、廊下などの比較的狭い部分に手摺を設置する場合は、将来的に車いすに乗ることも考えられる場合は手摺設置後の幅は十分に考慮してください。
次は水回りも重要です。
トイレなどは、座ったり、立ったりとかなり力のいる動作になりますので、できればドアの横に、トイレ内側もトイレ外側も縦に1本設置しておきたいですし、トイレ内には横に一本設置しておかなければいけないと思われます。
あとお風呂も同じで、ドア付近の内外に1本ずつ。
それから、浴槽のまたぎ部分に縦に1つ。浴槽の奥に1つ。浴槽の中にも一つあると動作がラクになります。
浴槽の中まで必要なのと思われるかもしれませんが、水中で立ち上がるというのは負荷が強く非常に困難なものです。水中に握れる場所があれば、体勢もラクになりますので、是非ご検討下さい。
あとは各お部屋の出入り口や、立ち上がり動作が必要な場所に適宜配置できれば良いかと思われます。
ポイント3 色味や材質
高齢者や、体力が衰えた方が怖いのは転倒です。
屋外以上に、屋内での転倒事故は多く、また打ち所が悪くなくても、高齢の方は足や腰の骨を骨折してしまうことがあります。そして十分なリハビリが出来なければ、寝たきりになってしまうという状況になってしまうこともあります。
ではどのようにすれば転倒防止になるのかを考えていきますと、まずは家具の配置などを最大限考慮し、安全に充分なスペースを確保することが大切かと思います。
次に段差を極力お部屋内に作らないことです。
とはいえ、築10年以上の物件になってくると、水回りなどに10cm程度の段差があたりするかと思われます。
この段差は洗面所やトイレの床下にそれぞれの排水管などが設置されていることが主な理由であり、なかなか解消は難しくなります。
しかしながら、逆に生活に必要な部分の床を上げてやるというような工事も、非常に大がかりではありますが、可能ですので、段差のないお部屋に引っ越されるか、大改修を行う方が経済的かは比べてみることは必要かもしれません。
また床がフローリングの場合はやはり気を付けていても転倒の恐れはあります。これに対しては、滑り止めの効果が高いフローリングに貼り換えるか、今のフローリングに滑り止め効果の高いフロアコーティングをすることで劇的に滑りやすさが変化してきますので、覚えておいて下さい。
あと最後は色の問題です。高齢の方の80%がその可能性があるという白内障にかかりますと、視界が白く濁ったようになり、薄い色味の色を判別するのが難しくなるのです。
ですので段差があるところは思い切って色味を替えておかないと段差を識別できず転倒してしまったり、手摺なんかも壁やドアと違う色味にしておかないと、手摺がある位置がわかりづらく、つかみそこねて転倒というケースも十分に考えられますので、識別しやすい家具や手摺等の介護用具を選択することが大切です。
福祉介護ショールームのご紹介【動画:間取り&内装材編】
香川県高松市にありますあなぶきPMアカデミーの5Fにあります「介護福祉リノベーションエリア」を画像と動画でご紹介してまいります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?いつかは他人ごとではないとお考えいただけるきっかけになり、またいざ必要な時に少しでも今回のブログを思い出していただければ幸いです。
次回は引き続き、介護リフォームに適した水回りの設備などをご紹介していきたいと思いますので、またどうぞよろしくお願い致します。
葛西健太郎
葛西 健太郎(かっさい けんたろうう)
香川県の建築系の専門学校を卒業し、その後、あなぶきグループにて新築マンション購入者様に向けてカーテン・照明などのインテリア商品の販売を経て、現在は主にマンションの室内リノベーション工事を担当しています。
インテリア販売で培った知識と経験で、リノベーション工事の際にも家具等のインテリア商品との調和までしっかりとご提案致します。
学生時代はずっとテニスに明け暮れていました。現在の趣味は各都道府県のご当地麺類を食べることです。(福岡はラーメンだけじゃなくうどんもおススメです!)
保有資格
宅地建物取引士 管理業務主任者 福祉住環境コーディネーター3級 第2種衛生管理者
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