今回はマンションで発生するトラブルの中でも比較的トラブル件数の多い「生活音問題」について対策をご紹介します。
※こちらは2016年10月に投稿された記事を加筆・修正しております。
目次
- 居住者間のトラブルをめぐる発生状況
- 上下階の世帯情報を把握(コミュニケーション)
- ご近所さんに防音対策を伝える
- マンション管理会社に相談する
- まとめ
居住者間のトラブルをめぐる発生状況
国土交通省が5年に1度マンションの管理状況を調査しています。
上のグラフはその調査の中の居住者間のトラブルをめぐる発生状況です。違法駐車の次にトラブル件数の多い問題は生活音となっています。
上下階の世帯情報を把握(コミュニケーション)
マンションのお部屋は戸境壁という住戸と住戸を分ける壁で分けられています。
近年ではその戸境壁の厚さも20cm以上になっており、サッシも二重サッシになっているため遮音性や気密性も向上していますが、生活音におけるトラブルは完全にはなくなりません。
「生活音問題の対策」と聞くとフローリングにカーペットやコルクマットを敷くことを第一に考えられるかもしれませんが、一番最初に取り組んでいただきたいのは上下階の世帯情報をお互いに把握すること(コミュニケーション)です。
お隣や上下階の方のお名前・お顔・家族構成をご存知ですか?
生活音におけるトラブルで一番多いのは小さなお子様の走る音です。小さなお子様に「走っちゃダメ!」と言ってもなかなか改善されることはないでしょう。
音というのは一度気になりだしたら、ちょっとした音でもうるさく感じてしまいます。
小さなお子様が居るご家庭は入居した際、もしくは走り回るような年齢になった際に、上下左右の住戸の方に「小さな子供が居ることでご迷惑をお掛けするかもしれません。」とお伝えしてみてください。
お伝えすることで多少の音がした場合でも上下左右の住戸の方は小さな子どもが居ることを認識しているので「今日も元気ね。」という反応になりますが、どんな家族構成か分からないと「うるさい部屋だな。」という印象になり、トラブルに発展することがあります。
お子様が原因の生活音トラブルは、このように事前に世帯情報をお伝えしておくことで未然に防ぐことができるのです。
ご近所さんに防音対策を伝える
また防音対策としてカーペットやコルクマットなどを敷いて下左右のお部屋に配慮をしているのであれば、その対策を講じていることもお伝えしておくといいでしょう。
生活音に何の配慮もしていないより対策を講じていることを伝えることで理解を得られることもあります。
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マンション管理会社に相談する
防音対策を講じても近隣で理解が得られない場合はマンション管理会社に相談してみましょう。マンション管理会社が管理組合に代わって仲裁に入ってくれるでしょう。
当社の管理しているマンションで生活音が原因でトラブルが発生した際の事例をご紹介します。
音が発生しているお部屋には小さなお子様がいらっしゃいました。
実際にお子様に普段通りの生活をしてもらいその音をお子様の保護者に聞いてもらい、どの程度の音が出ているか確認してもらいました。
ただ聞いて確認するというわけではなく騒音測定器を用いて測定し、その音が騒音に達するレベルなのかを被害者の方にも確認してもらいました。
被害者の方もお子様の走る音程度では騒音レベルに達していないことが数値でも分かったので、「なんだ、気にしすぎだったのか。」と言われていました。
またお互いに顔を合わせて生活スタイルを見直すことで生活音が改善できるところがないかを話し合い、トラブルを解決することができました。
まとめ
マンションの生活音問題は今日ご紹介した取り組みで解決するケースがほとんどですが、近隣への配慮が足りないことで裁判にまで発展し、結果負けてしまうケースもあります。
マンションは多くの方が生活する共同住宅なので、日頃からのコミュニケーションがとても重要だと思います。
日頃から挨拶ができる関係性であれば多少迷惑を掛けていたとしてもお詫びなどをすることで大きな問題へ発展しませんが、大きな問題に発展した当社の事例を確認すると、ほとんどがお互いに面識のないケースが多いんです。
”気遣い・気配りで近隣トラブルは未然に防げる”ことを覚えておくと、快適なマンション生活を送ることが出来るでしょう。
松井 久弥
2000年あなぶきハウジングサービス入社。
全国10都道府県において、管理担当・リプレイス営業・新規拠点立上げ・部門責任者に従事。特にマンション管理会社のM&Aにおいては、案件化からデューデリ・譲渡契約・お客様対応全般・統合後プロセス(PMI)までを実践。
マンション管理士、M&Aシニアエキスパート。
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