高齢の母親と安心して過ごせる、マンションの介護リフォーム事例のご紹介

山本由美

こんにちは、はじめまして!あなぶきデザイン&リフォームの山本です。

これからマンションリフォームのあれこれを皆さんにお伝えし、参考になる情報を発信していきたいと思っています。どうぞ、よろしくお願いします。

マンションリフォームといっても目的が異なれば、リフォームの内容もさまざまです。今回は私が実際に携わった「親の介護と将来を見据えた住まいづくり」を目的に行ったマンションリフォームの事例をご紹介します。

介護や加齢は避けて通れない、現実として起こりうることです。他人事だとは思わず、明日は我が身と関心を持っていただけると嬉しいです。実際のマンションリフォーム事例を通じて、住まいの安心・安全を一緒に考えてみませんか?

 

リフォームのきっかけ

100歳を迎える母親と安心して過ごせる住まいにリフォームしたい。まだ使えないことはないけど築26年、キッチンやお風呂、床材や壁紙など古くなってしまって…

予算内に収まる範囲で、設備の取り替えや、内装をきれいにしたい!!というのが大まかなご要望でした。

 

希望をすべて実現するとなると予算オーバーになってしまう!など悩みは尽きません。

まずはリフォームの目的を明確にし、やりたいこと、優先順位、おおまかな予算をリフォーム会社さんに伝えましょう。その方がお互い内容を整理しやすく、スムーズに進めることができると思います。

私は日々お客様とのコミュニケーションを大切にしています。なにげない会話からリフォームのヒントをもらうことがあります。しっかり対話をし、「こんなはずじゃなかった!」がないようにしたいですね。

金額の安さだけではなく、信頼できる会社を選ぶことが大切です。

 

リフォーム内容をご紹介

【和 室】

間仕切り壁・ふすま・押し入れ・畳を撤去し、床はリビングと同じ高さでフローリング張りにしました。リフォーム前はリビングと約5㎝の段差がありましたが、畳を撤去したことで段差が解消され、リビングを広く使うことができるようになりました。

 

【ファミリークローゼット】

収納を増やしたいご要望があり、和室の押し入れだった部分に、ファミリークローゼットを設けました。広いスペースを確保することはできませんでしたが、一部パイプハンガーを上下に分けて設置し、2段使いすることでスペースを有効活用できるようにしました。取り出しやすく、納めやすいことが収納の鉄則です。
お母さんは介護が必要なのでリビングにベッドを置き、1日の大半をリビングで過ごされています。動線をコンパクトにまとめることも考慮し、リビングにクローゼットを設けることにしました。

 

【キッチン】

180度キッチンの向きを変え、キッチンに立っていてもお母さんの様子が見えるよう対面式にしました。
ガスコンロから火災が起こりにくいIHクッキングヒーターに変更し、安全面にも配慮しました。今回吊戸棚は設置せず、明るくオープンなキッチンにしました。

★キッチン収納について★
キッチンの収納棚として吊戸棚がありますが、あまり活用できてない方が多いのではないでしょうか?
一度収納してしまうと、それっきり!!みたいなことありませんか?
高いところに設置されているので取り出しにくく、特に上の段の出し入れには踏み台が必要になってしまいます。高齢になると踏み台に乗って、手を伸ばす行為は危険です。
家族が多いなど収納が必要な場合もありますが、設置しないという選択肢もあります。

 

【浴 室】

ユニットバス入り口の段差を解消し、開き戸から引き戸に変更ました。手すりを付けると狭く感じやすいので、ユニットバスを10㎝広いものに取り替えました。

【トイレ】

廊下とトイレの床がフラットになるよう高さ調整をし、トイレはまだ使えそうなので既存のものを利用することにしました。安全に立ち座りができるよう、L型手すりを取り付けました。

【建 具】

室内のドアを開き戸からすべて引き戸に取り替えました。
開き戸は開くスペースが必要なため、開閉時の動作も大きくなります。高齢者や体の不自由な方、介護をする人にとっても使いにくいとされています。
引き戸は風にあおられて戸が勝手に閉まる心配がなく、風を通すときにも便利です。現在はおもいっきり戸を閉めても、閉まる直前に減速する構造になっているので、閉める時の「バターン」という音を気にする心配はありません。ただ引き戸は気密性が低いことや、引きスペースが必要なので、付けたい場所にスイッチやコンセントが付かないというデメリットもあります。
今回のリフォームをして感じたことは、戸を開けた状態でも戸は壁の中に納まるので、スッキリとして開放感があり、お部屋を広く見せる効果があるように感じました。

 

まとめ

住宅のリフォームは頻繁に行えるものではありません。後悔しないリフォームを行うためには、長期的な視点で考えることも必要です。
近年ではバリアフリー化が進歩し、マンションにおいてもバリアフリー設計になっていますが、昔はバリアフリーの概念がありませんでした。そのため、築年数がたっている住宅にはお部屋の中に段差があったりします。今回ご紹介した事例のように、段差の解消、手すりの設置、建具の取り替えをするだけでも、暮らしやすい住まいに生まれ変わったのではないでしょうか。
参考にしていただけると嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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山本由美

山本 由美(やまもと ゆみ)

広島県出身。
マンションの内装リフォームを担当しております。打合せから完工まで携わり、お客様の思いをカタチにしていく業務です。お客様に身近な存在として感じていただけるよう、日々努めております。
以前介護の現場で働いていた経験を活かし、体が不自由になっても安心して住むことができる住環境のご提案にも取り組んでいます。

保有資格:福祉住環境コーディネーター2級、介護福祉士、整理収納アドバイザー2級
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