今回、マンション管理組合の理事を任されることになったあなたへ。
理事会の3つの活動ポイントについてまとめてみました。
あなたのお住いの近くのマンションを見ながら、自分のマンションと比較しながら歩いて見てはいかがですか?
街歩きで、いろいろなマンションを見ますと、その建物の維持保全、清掃状態、駐輪場の整理整頓、植栽剪定、貼り紙、イベント開催等から、それぞれのマンションの「顔」が浮かんできます。理事会活動が活発であれば、マンションライフも楽しくなります。「1年の計は元旦にあり」と言われますが、理事会活動も最初の計画が大切だと思います。
本題に入る前に、「理事会」と「役員」について、理解しておきましよう。
理事会について
理事会は管理規約で定められた業務執行機関です。理事会は複数の理事で構成され、管理規約で定められた業務を担当するとともに、総会で決められた事項を実施します。また、総会に諮る議案等の作成や管理組合を運営するための具体的な業務を担当します。
さらに、管理組合に関する大事な事柄は、総会の場で議論して決められますが、突発的なトラブルが起こることもあります。その都度、区分所有者全員が集まり議論するのは、現実的ではありません。管理会社に委託している業務や管理費等を滞納している区分所有者への対応などを確認するなど日常的な業務もあります。こうした管理業務全般についての確認や検討を行うのが理事会です。
役員(理事・監事)について
理事会のメンバーは、総会で選ばれた理事です。理事の中から互選で、理事長、副理事長、会計担当理事、理事が選ばれます。マンションの規模にもよりますが、町内会の業務を担当する「町内会担当」、お祭りやイベントを担当する「イベント担当」、掲示板や広報誌を担当する「広報担当」、駐輪・駐車場を担当する「駐輪担当」、防犯・防災を担当する「防犯・防災担当」などを設けているところもあります。監事は理事には含まれません。監事は役員の一員として扱われます。
(一般的な業務例)
目次
- 理事会の年間活動計画を作ろう
- マンション内の課題や諸問題を皆で解決しよう
- マンション内でイベントをやろう
- まとめ
理事会の年間活動計画を作ろう
理事会は月1回程度の開催をしましょう
マンションの規模やマンション内の諸問題にもよりますが、月1回のペースが理想です。毎月第〇曜日午前中などのように理事会の日程をあらかじめ決めるところもあり、必要に応じて都度日程を設定するところもあります。できれば、総会後に第1回目の理事会開催日を決め、第2回目に年間のスケジュールを決めておくと、お互いに事前のスケジュールを立てられやすいです。
理事会の回数が少ないと、トラブルが起こったときに、対策が遅れる危険が高くなります。専有部分の修繕、模様替え又は建物に定着する取り付け若しくは取替えによる申請があった場合、承認・非承認することができません。管理費等の滞納問題への対処も遅れがちになります。
マンション内の課題や諸問題を皆で解決しよう
マンション特有の問題や築年数に応じたいろいろな課題があります。例えば、こんなものがあります。
生活上の問題
上下階の騒音問題、ゴミの出し方、駐車場問題、駐輪場問題、ペット問題、バルコニーの物置問題、喫煙問題など。
管理運営上の問題
管理費等の滞納、占有者のルール違反、専有部リフォーム、空き駐車場、機械式駐車場の冠水、防犯カメラの設置など。
建物維持問題
エレベーターや給水設備、消防設備などの日々の点検、長期修繕計画、大規模修繕工事、マンションの耐震、修繕積立金の運用、大規模修繕工事費用の借り入れなど。
マンションの悩みには、大雑把に分けて、「人の問題」「物の問題」「お金の問題」があります。諸問題の解決には、管理規約や使用細則が指針となります。また、各種経験を積んだ管理会社の意見を取り入れるのも方策です。問題解決に処方箋はありません。理事会メンバーを中心にして、解決していきましょう。
マンション内でイベントをやろう
これからのマンション管理は、コミュニティ形成が大切です。
従来、マンションの住民は地域との関わりが大事だということで、町内会に参加することが多かったようです。大震災以降、地域社会との調和を図り、有事の際の対応を地域全体でできるようにすることが大事になってきます。
一方、少子高齢化するマンションにあっては、マンション内のコミュニティ形成にも取り組む管理組合が増えてきています。コミュニティの形成にはイベントが有効です。マンション内のイベントの基本的な考え方は、マンション管理を通して、理事会が中心となって管理組合が行うことが第一歩です。何のために行うのかという理念をはっきり持つことが大事です。
以下は参考例です。大きく構える必要はありません。身近なところからイベントをやりましょう。地道にコツコツと。
消防・防災訓練
消防・防災訓練は年1回実施します。消防署や管理会社の協力を得て、万一の災害において、迅速かつ的確に人命の安全確保と災害の拡大防止措置が取れるよう、実体験を通し習得することを目的とします。
消防・防災訓練後の親睦会も開催しましょう。
親睦会
お子様向けのじゃんけん大会、ビンゴ大会、おもちゃつりゲーム、不用品のコーナー展示など。
大人向け(子供含む)の親睦会、交流会、茶和会など。飲み物、つまみ、巻きずしなどを用意し、親睦を図っていただく。
趣味の集い
麻雀が好きな方、絵の好きな方、カラオケが好きな方、パソコンに興味のある方、写真が趣味の方など、小さなグループの集いができれば、コミュニケーションが図れ、大きな輪になります。
夏祭り、秋祭り
マンションの広場を活用して、祭りを演出する。飲み物、焼きそば、焼き鳥、うどんの釜揚げなどのコーナーを設け、お子様向けの綿菓子、ヨーヨーコーナーなども企画し、祭りを楽しんでいただく。
クリスマス
マンションの一角を電飾で飾り、クリスマスムードを高める。お子様向けのクリスマス企画を催す。ご家族同士のコミュニケーションも促進できます。
草取り大会
マンション敷地内の草むしりを行い、自然に触れ、実施後のご苦労様会などのイベントを開催する。
不用品マーケット
居住者様のご協力によりご提供いただいた、お中元、歳暮、引き出物の不要なものを出品し、また、お子様の古着マーケットを開催すれば、居住者同士のコミュニティに役立ちます。
まとめ
年1回の総会に出席するだけではなく、各種イベントを通して、出来るだけ顔見知りを作り、住民同士の挨拶、会話が行われていれば、日常のトラブルも少なくなります。イベントを企画・運営する場合、理事会の結束力がないと、イベントを実施してもお仕着せになり、一過性に終わります。居住者の意見や要望を取り入れ、地道に継続してみてはいかがでしょうか。
以上
北林真一
大学卒業後、一貫して不動産業界に従事してきました。
皆さまの大事なお住まい(マンション)のことは私にお任せください。
【得意分野】・合意形成の進め方 ・大規模修繕工事
【モットー】謙虚であれ、誠実であれ
【特技】日本酒と音楽(邦楽除く)は少しだけ詳しいです。
最新記事 by 北林真一 (すべて見る)
- 管理組合役員必見!マンションにおける消防訓練3つのポイント - 2023年12月6日
- マンション管理組合役員必見|分譲マンション収益事業の税務申告3つのポイント - 2022年10月4日
- マンション管理組合の会計監査のチェックポイントⅡ~貸借対照表を監査する~ - 2022年9月10日