マンション管理組合が賠償責任を負った際に補償となる保険とは

後藤隆史

みなさんこんにちは。あなぶきセザールサポートの後藤です。
みなさんがお住まいのマンションが原因で他の方に賠償責任を負うような事故が発生した場合どのような保険が適用されるかをご存知でしょうか?
今回はマンション共用部火災保険に付帯される特徴的な特約の一つである“施設賠償責任保険”について過去の支払事例を踏まえて紹介します。

 

目次

  • どのような場合に補償してくれるの?
  • 当社管理マンションでの具体的な支払事例
  • 保険金設定額はどのくらいがいいの?
  • まとめ

 

どのような場合に補償してくれるの?

個人が日常生活において他人に損害を与え賠償責任を負うこととなった場合には、個人賠償責任保険の適用となりますが、分譲マンションの建物や設備など共用部分の欠陥や管理の不備が原因で他人に損害を与えてしまった場合には誰が責任を取るのでしょうか?
分譲マンションの場合には区分所有者(マンションを購入した人)で構成される管理組合があります。

共用部分では“持分割合”というものがありますが、原因の箇所が特定の区分所有者の持分と認定することができないため、この場合管理組合が責任を取ることとなります。
その時に必要となるのが“施設賠償責任保険”です。

次に補償となる一部の例と補償とならない一部の例を紹介します。
【補償となる一部の例】
■ 建物の外壁タイルがはがれ、通行人にケガをさせた。
■ 共用部分の給水管から水漏れし、専有部分(お部屋)に損害を与えた。
■ 階段の手すりが外れ、子供が転落しケガをさせた。

外壁タイルの落下や階段手すりが外れるようなことは日頃の管理や計画的な修繕を実施していれば防ぐことができます。
また、ケガでは済まず最悪の場合は死亡してしまった事例もあります。

【補償とならない一部の例】
■ 専有部分の給水管から水漏れし、他の専有部分に損害を与えた。
■ 地震、噴火、津波が原因となって共用部分が破損し、他人に損害を与えた。
■ 屋根(屋上)、扉、窓、通風筒などから入ってきた雨により専有部分に被害を与えた。

専有部分からの水漏れにより他の専有部分に被害を出してしまった場合には個人賠償責任保険の適用範囲となります。(詳しくは「さまざまな場面で活躍する「個人賠償責任保険」とは」をご覧ください。
屋根(屋上)などからの雨漏りについては意外かもしれませんが、劣化と判断されることがあり補償の対象外となります。

 

当社管理マンションでの具体的な支払事例

これまで当社で管理をお預かりしている管理組合様の施設賠償責任保険での支払事例を紹介します。
バルコニー排水口詰まりによる水漏れ事故
【事故概要】
5階ルーフバルコニーに設置されている雨水用の排水口にゴミが詰まった状態でゲリラ豪雨により大量の雨水が排水されずに溢れた結果、階下(4階・3階)の専有部分へ水が漏れ被害が生じた。
【被害金額】
合計金額 : 1,973,530円
各専有部分の内装復旧および家財の損害額
【支払保険金額】
合計金額 : 1,704,096円
事故鑑定の結果、内装復旧費用の一部以外は認定された。

 

保険金設定額はどのくらいがいいの?

施設賠償責任保険では個人賠償責任保険と同様に保険契約時に保険金額を設定することができます。では、設定する保険金額はどのくらいがよいのでしょうか?
上記の支払い事例では100万円~200万円くらいの金額でしたが、補償となる例の中でマンションの外壁タイルがはがれて通行人に直撃してしまった事故は全国で実際に発生しています。最悪の場合にはその通行人を死亡させてしまうかもしれません。そうなると保険金額は1,000万円では足りなくなる可能性があります。
当社で管理をお預かりしている管理組合様への提案としては基本的に1億円以上に設定することを推奨しております。(管理組合様の意向もあるため1億円以下で設定していることもあります。)

 

まとめ

今回はマンションが原因で他の方に賠償責任を負うような事故が発生した場合どのような保険が適用される施設賠償責任保険について紹介しました。
事故発生率高くはありませんが、実際に事故が発生した場合に非常に高額な賠償額となる可能性が高いため、保険金額の設定額については管理組合で協議のうえ、単純な保険料だけで判断するのではなく万が一の場合に備えることを意識して検討してみてください。

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後藤隆史

あなぶきハウジングサービス 後藤隆史(ごとうたかし)
北海道出身。管理組合様用火災保険の提案や管理委託契約書の作成、各種設備点検の発注業務を行っています。
フロント担当者の経験を生かし管理組合様の費用負担軽減ができるような火災保険の更新提案や各種設備点検項目の見直しなどを目指しています。少林寺拳法有段者(小学校2年生からやっていました)。火災保険や点検項目の見直しの際にはぜひとも御用命ください!
保有資格:管理業務主任者・宅地建物取引士
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