こんにちは、三原です。今回は分譲マンションの寿命が短くなってしまう原因等についてご紹介します。
コンクリート自体の寿命は100年以上とされているにもかかわらず、実際にはそれよりもずいぶん短い37年程度で建て替えられることが多いのはいったい何故なのでしょうか。
目次
- 耐震基準の問題
- 構造の問題
- コンクリートの品質等の問題
耐震基準の問題
まずは耐震基準の問題が挙げられます。平成24年末時点では日本全国にあるマンションは589万戸超あり、その内、旧耐震基準(新耐震基準は昭和56年施行)で建築されたマンションは約106万戸と言われており、その半数以上が実際の耐震性がないものと推定されています。
つまり、見方を変えれば耐震補強も実施していないマンションが大半で、少ない建て替え事例の中で見れば築30年代で建て替えられていることが多いと考えることも出来ます。
構造の問題
次に構造の問題です。配管設備の寿命は材料にもよりますが25年~30年と言われており、昔建てられた分譲マンションはコンクリート内に配管を埋め込んでしまったものが多く、取り換えが困難となり、配管設備の寿命と同じくして建て替えに至ってしまうこととなります。最近ではスケルトン・インフィル(SI)といって建物の躯体をそのままに設備を一新できる分譲マンションも出てきましたので、配管設備の寿命がそのまま分譲マンションの寿命にはならないようになってきていると思います。
コンクリートの品質等の問題
次にコンクリートの品質等の問題が挙げられます。1970年代の高度経済成長期には分譲マンションが大量に建築されただけでなく、民間や公共のビル建設も盛んに行われました。そのような大規模な建設ラッシュの中で川砂が足りなくなり、コンクリートの材料に海砂までもが多用された時期もあったようです。水洗いが十分ではなく、塩分を含んだままの海砂が使用されたことで品質の低下を招き、竣工当時から「欠陥マンション」として社会問題化したほか、1980年代には築10数年(つまり1970年代築)のマンションに雨漏りが相次ぐ問題も生じました。そのような致命的な欠陥までには至らずとも、その時期に建設された分譲マンションが現在では築30年を超え、建て替え実施に至ったとも言えます。
次回は維持・管理上の観点から見たマンションの寿命についての情報等をご紹介します。ではまた次回!
三原 章
はじめまして!三原章と申します。入社以来10年以上、管理フロントとして業務に従事しております。長年フロント業務に従事してきた経験に基づくお役立ち情報や事例などを配信していきたいと思っています。宜しくお願いいたします。
保有資格:管理業務主任者・宅地建物取引士・マンション管理士
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