こんにちは!あなぶきハウジングサービスバイオエナジー事業所の竹中です。
弊社が取り組むバイオエナジー事業では、産業廃棄物の焼酎廃液(粕)と規格外のサツマイモを活用し、新たな資源として、エタノール燃料(バイオエタノール)と土壌改良剤(農業用資剤)を製造しております。
前回の肥料(土壌改良剤)に引き続き、種をまく(苗を植える)前の準備として、非常に重要となる土づくりについてご紹介いたします。
目次
1.はじめに
2.土(土壌)の役割・成分・種類
3.土づくりに求められる要素
4.土づくりの必要性
5.さいごに
1.はじめに
植物を育てる際に、適正な量の肥料(養分)を与えるのと同様に、それ以上に重要となってくるのが土づくりとなります。
昨今では、植物をプランター等で育てることも多く、種(苗)や肥料と同様に、園芸用の土も園芸店やホームセンター等にて購入されている方も多いかと思いますが、花壇等で植物を育てる場合、毎回、土を入れ替えることは困難であり、植物を作付けする前に土づくり(メンテナンス)を行い、植物を育てる環境を整える必要があります。土づくりの内容を理解することで植物の生育に、より関心や興味が湧いてくるかと思います。
今回は、基本的な土(土壌)の成分や役割から、土づくりの趣旨と手順等についてご案内致します。
2.土(土壌)の役割・成分・種類
植物を栽培する際の土(土壌)の役割は、①植物を倒れないように支える、②植物に必要な栄養を供給する、③適切な水分を保持し植物に供給する、④植物の根が成長する基盤となる土壌構造を提供する、⑤多種多様な生物(微生物)が生息する場所でその生態系を支える、⑥二酸化炭素の吸収と貯蔵に寄与し気候変動への対策に役立つといった役割を担っており、以上の機能を維持する為にも、『土づくり』が必要となります。
土(土壌)の主要な成分は、鉱物、有機物、空気、水であり、鉱物は主に土壌の骨格を形成します。また、有機物とは炭素を含む化合物の総称であり、簡単に言えば燃えたり焦げたりするものであり、例を挙げると、砂糖(焦げる)は有機物、塩(焦げない)は無機物となります。土づくりでは、この有機物の存在は非常に重要であり、土壌中の微生物が有機物を分解し、そこから得られた営業分が植物に供給されることになります。(※肥料は不足する栄養分を補う意味で別途必要です。)
物理的な性質(土性)で分類すると、粘土と砂の混ざり具合で、砂土・砂壌土、壌土、埴土・埴壌土(粘土含有量の少ない順)に分類され、粘土の割合が多くなると、養分や水を保つ力が多くなる半面、排水や通気性は悪くなる。反対に粘土の割合が少なく砂の割合が多くなると、養分や水を保つ力は小さくなり、保水力と保肥力のバランスが良い『壌土』が、植物を育てる上ではもっともすぐれている土(土壌)と言われております。
壌土のイメージとしては、土壌に水を加えて指先でこねた場合、鉛筆ぐらいの太さに伸ばせる程度となります。
また、日本国内にて植物(果樹園・野菜・水稲等)を育てる土壌においては、地形の違い(山地~丘陵地・台地と低地)や地域の特性(火山灰の多い少ないなど)により、標高の高い順に褐色森林土、赤色(黄色)土、や黒ボク土、灰色低地土やグライ土、褐色低地土等の種類に分かれており、それぞれの土壌特性に応じて、栽培に適した植物(果樹・野菜・お米)が栽培されております。昔から地域の特産品として栽培されている植物(作物)は、気候と同様にこれら土壌環境が大きく関係していることがご理解いただけるかと思います。
3.土づくりに求められる要素
土づくりに求められる要素とは、物理性・化学性・生物性の改善という3つの要素があり、分かりやすく言えば、
①通気性(水はけ)が良いこと
②保水性(水もち)が良いこと
③保肥性(肥料もち)が良いこと
④土の酸度(PH)が適正であること
⑤病原菌や害虫が少ないこと
となり、以上の5つのポイントの中でも、①と②が最も重要であり、通気性保水性が豊富な団粒構造の土(大小の粒が混ざり合った土)が理想となります。
団粒構造と相反するものが単粒構造と言い、土壌の粒子が集合せず、単一粒子だけで構成されているものを指し、この場合、空気や水が入り難いため、根の生育に良くありません。団粒構造を維持するには、堆肥・腐葉土・稲わら・牛ふんなどの有機質の資材を与え続けること(メンテナンス)が大切となり、これを怠ると単粒構造に変化していきます。
4.理想的な土(土壌)つくりの手順
花壇等での土づくりを例に、次のとおりご紹介致します。
①土の酸度を調べる
酸性雨等により徐々に弱酸性(一般的な植物を育てる際の理想的な酸度)から酸性土壌に変化するためです。一般的な植物を育てる際に最適なPHは6.0~6.5です。(※育てる植物によっては、酸性寄りやアルカリ性寄りを好むものもある)です。酸度を調べる為には、専用の機材等が必要となる為、土づくりを行う際は、安心して使用できる牡蠣殻石灰等の有機石灰や苦土石灰を、毎回ご使用されることをお勧めします。
②土を掘り起こす
雑草や小石を取り除き20~30㎝を目安に土をほぐします。
③鍬などを使って土粒を細かくする
細かくすることで植物の根に水や栄養分、酸素を送り込みやすくなります。
地面に棒をさして軽く棒が入る作土層(さくどそう)と、力いっぱいにさして到達する有効土層(ゆうこうどそう)があり、植物は作土層までは楽々と根を張ることができますが、有効土層は根を張る限界の場所ということになります。一般的に作土層が20cm以上、有効土層が60cm以上あれば、作物がよく育つ土と言えます。
④堆肥・腐葉土と肥料を入れ、土全体を混ぜ合わせる
これらを混ぜることで、土の通気性や保肥性が高まり、かつ植物が必要な栄養素が整います。
堆肥とは、稲わらや落ち葉、家畜ふん尿、食品残渣などの有機物を、微生物の力を使って分解させ、腐熟させたもので、用土に混ぜると、土の中の土壌微生物や作物の根から放出されるクエン酸などにより分解・溶解されて、養分として作物の根から吸収されます。(堆肥にも栄養分は若干含まれておりますが、植物の生長に必要な栄養分を補う意味で肥料も必要です。)
また、育てる植物が野菜の場合、畝(細長く直線状に土を盛り上げる)をつくることにより、土の通気性が良くなり作業効率も上がるため、野菜つくりには欠かせない作業となります。
5.さいごに
今回、花壇などで植物を育てる準備として、土づくりの必要性についてご紹介しました。わたくしども事業所にて製造しております土壌改良剤は、先にご説明しました堆肥と同様に、土づくりを行う際に活用される資材です。原料は焼酎製造に排出される発酵液にサツマイモ加え、再発酵させたものを主要原料としております。有機質(微生物のエサ)が高く、ミネラルが豊富(植物の生長に重要な役割を果たす)な資材です。
今後、堆肥同様に、園芸店やホームセンターでもこの焼酎廃液を原料とした土壌改良材が取り扱われるよう頑張りたいと思います。
次回も、私どもの事業に関連した内容について、ご紹介する予定ですので、引き続き、よろしくお願いいたします。
竹中和幸
竹中 和幸(たけなか かずゆき)
分譲マンションの管理担当(フロント)を経て、2023年より出身地である宮崎(日南市)にて、焼酎廃液(焼酎製造過程で排出される蒸留粕)の再生利用(資源の有効活用)に取り組んでおります。
保有資格:宅地建物取引士・管理業務主任者
最新記事 by 竹中和幸 (すべて見る)
- あなぶきが取り組むバイオエナジー事業 土壌改良剤とは? - 2025年1月23日
- あなぶきが取り組むバイオエナジー事業 土壌改良材とは? - 2024年12月29日
- あなぶきが取り組むバイオエナジー事業 バイオマス燃料とは? - 2024年11月17日