マンション大規模修繕工事を成功させる4つのステップ|ステップ2.計画

福田 純行

こんにちは福田です。
さて、今回は前回の「マンション大規模修繕工事を成功させる4つのステップ|ステップ1.準備」に続き、”ステップ2.計画”について3つのポイントをお話します。

2sマンション大規模修繕工事を[1]
2

目次

  • 劣化診断報告会や長期修繕計画(案)説明会の実施
  • 設計監理もしくは責任施工の選択
  • 大規模修繕工事の計画概要説明会の実施
  • まとめ

劣化診断報告会や長期修繕計画(案)説明会の実施

劣化診断を行いましたら、結果を組合員に対して説明会を実施します。
マンションの劣化状況について詳しく説明します。

と同時に、できれば将来の長期修繕計画(案)のシュミュレーションについて説明を行います。
目の前の状況のみならず、今後の、よりよい修繕サイクルの考え方や、大規模修繕工事の必要性に理解を求めていきます。

また、長期修繕計画(案)では資金計画についてもシュミュレーションが可能ですから、その結果次第で積立金の改定や金融機関などからの借り入れについても説明を行います。

なぜ、大規模修繕工事が必要なのか、今後の資金計画についてどう対応していくのか、理事会としての方針を打ち出して、場合によっては、大規模修繕工事を直ぐに着手する必要があるかどうか臨時総会の開催が必要になるかもしれません。

たとえば仮に現状の積立金が不適切な金額だとした場合は今後のほぼ10年~12毎の大規模修繕工事修繕計画が挫折するかもしれません。
「今回の大規模修繕工事を無事乗り越えられても、次回の大規模修繕工事には資金がショートする予測です。今後の修繕積立金の改定は必至です。」こんなことになるかもしれません。

大規模修繕工事はなぜ必要?

マンションの住まいとしての快適さを確保し、その資産としての価値を維持・向上させていくには、建物の経年劣化状況に応じて修繕工事を行い、マンション全体を良好な状態に保っておく必要があります。
修繕工事には、外壁改修や屋上防水工事など様々なものがありますが、これらを別々に行うよりも、修繕が必要な時期に来ている工事をまとめて、大規模な修繕を行うことが効率的です。
このため、あらかじめ、いつ、どのような修繕工事が必要かを把握しておき、計画的に修繕工事を行っていくことが大切です。

さて、道のりは長いですが無事、劣化診断報告会・長期修繕計画(案)説明会も無事理解を得ることができたら、次のステップに進みます。

設計監理もしくは責任施工の選択

ステップ1でも触れましたパートナー選びを具体的に決定する必要があります。
特に初めての大規模修繕工事の場合、パートナー選びは非常に重要です。委託・契約の方式によって次の2つの方法があります。

①設計監理方式

大規模修繕工事の仕様の検討と、工事施工の監理を委託し工事の施工は別の施工会社と契約する方式です。施工の監理とは施工会社が契約通りに施工を行っているかどうか を監督することです。専門的な知識や経験が必要とされるいろいろな検討事項を含め施工会社の選定のアドバイスなどの業務を委託します。
一般には設計事務所(コンサル会社等)が挙げられますが、それまでの信頼関係を背景に、管理会社に委託す場合も考えられます。どのような委託先を選択するにしても、管理組合を公正な立場から支援するパートナーとして信頼できる委託先を選ぶことが重要です。

<この方式の特徴・注意点について>
この方式は、工事の内容が多岐にわたり、工事の規模が大きい場合に適していると考えられます。そしてメリットとしては、管理組合の立場に立つ第三者の支援を得られるということです。ただし、工事と異なり、具体的な仕事の中身が形として見えにくいので委託する範囲・内容につて双方で十分協議を行い納得しておくことが望まれます。なお、設計監理方式の場合工事の費用とは別に設計費用・監理費用が必要となります。

実際には複数の設計事務所(コンサル会社等)などを面接してパートナーを決定していくことが望まれますし、総会での決議となりますので比較検討して1社に絞りこむことが大切ですね。
手間がかかりますが、複数の比較検討⇒1社に(1案)への絞り込み⇒総会へ上程⇒賛成多数⇒GO!!となりますね。
このことは施工会社選定の時にもまったく同じことが言えますので、設計監理者、施工業者それぞれを決定する総会を開催することになります。

<概念図>
1

②責任施工方式

大規模修繕工事の仕様から工事施工までの全般にわたり一括して契約する方式です。
端的に言いますと良くも悪くも施工会社主導型で物事が進みます。
どのような会社と契約する場合でも、あくまで修繕工事を実施する主体は管理組合であって、修繕工事の内容・費用等修繕工事の全般にわたり契約先から十分な説明を受けてください。あくまで主体は管理組合であることをお忘れなく。

<概念図>
3

<この方式の特徴・注意点について>
管理組合でマンションの劣化診断の結果を検討し、工事内容や材料、工事の範囲等を定めた仕様書を作成します。
この仕様書を統一の規準として複数の会社に見積や工事内容についての提案を依頼します。
そしてその中から理事会で検討して契約する施工会社を決定することが大切なことですね。
もし、統一の仕様書が無いままに依頼すると、各々の会社が別々の仕様で見積を作成することになるのでどの会社が良いのかの判断が非常に分かりづらくなってしまいます。
また、仕様書の作成や施工会社の選定については専門的な知識が必要になることから、特に管理組合にノウハウがある場合を除き、公正な第3社のアドバイスを受けることが最も大切ですね。

責任施工方式ではこの仕様書の存在価値が重要なので信頼のおけるアドバイスを得ることが求められます。なお、責任施工方式では、通常、工事費用に設計費用や管理費用が含まれます。

大規模修繕工事の計画概要説明会の実施

大規模修繕工事の着工まであともう少しという段階にくると、住民に向けた工事説明会の開催が必要になってきます。説明の内容としては、工事の仕様、範囲、時期、工期、施工会社の選定等についてです。おそらくここまでの道のりは短くても6ヵ月、長ければ10ヵ月以上になるかもしれません。

この計画概要説明会が重要なポイントになります。
今までの理事会、修繕委員会の行ってきた計画のいわばプレゼンテーションの場になります。満を持して臨みましょう。

最終的には総会へ上程して管理組合員の賛同を得なければなりません。

まとめ

大規模修繕工事の計画についてご紹介しました。
組織作りができたらこれから実際に行動が必要です。この過程も管理組合にとって相当なエネルギーを費やすことになりますが、頑張りましょう!
次回は、ステップ.3の「実施」についてお話しです。

The following two tabs change content below.

福田 純行

あなぶきハウジングサービス:福田 純行(ふくだ よしゆき)
前職の設計事務所時代に手掛けた設計・監理物件は北海道は北見市から南は長崎の佐世保市まで。今となってはとても懐かしい。現在は主にマンションの大規模修繕工事に関するコンサルティング(大規模修繕工事の改修設計・長期修繕計画(案)の作成等)を担当。人が住むマンションのストーリーを一つずつ守るのが役目です。
目指せ、「チェンジ・ザ・ワールド」・E.クリプトン・・・・グルーブな仕事を
皆さんのために。
有資格:一級建築士
  • twitter
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

ブログの読者になる

ブログの読者になると新着記事の通知を
メールで受け取ることができます。
読者登録はコチラ

最近書いた記事

関連の記事

  • facebook
  • feedly
  • rss
backtotop